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財務官僚が狙っている所得税「改悪」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38687
2014年03月23日(日) ドクターZ 週刊現代
政府が所得税改革の検討を始めるという。具体的には、(1)「個人課税」から「世帯課税」への移行、(2)配偶者控除の廃止・縮小の二本柱とされるが、この改革の方向は正しいだろうか。
まず世界の状況からみておこう。
税制の比較が容易なOECD(経済協力開発機構)の主要24ヵ国において、「個人課税」は日本をはじめとしてイギリス、カナダ、スウェーデン、オランダなど15ヵ国。「個人・世帯選択」はアメリカ、ドイツなど5ヵ国、「世帯課税」はフランス、ルクセンブルクなど4ヵ国となっている。
'70年代以降の制度移行の状況を見ると、「世帯課税」から「個人課税」へは9ヵ国、「世帯課税」から「選択」へは2ヵ国、「選択」から「世帯課税」へは1ヵ国となっており、「世帯課税」から「個人課税」へというのが世界の趨勢になっている。
その理由は、「個人課税」のほうが課税の中立性があるからだ。たとえば専業主婦が働こうとすると、「世帯課税」では累進税率が効いて不利になるが、「個人課税」では中立的。結婚についても、フランス式の「世帯課税」は有利(結婚ボーナス)に働くが、「個人課税」では中立的となる。
経済政策としては、税制ですべてに対応するのではなく、ほかの政策で対応し、税制はできるだけ中立性をもたせるのが「常識」だ。仮に税制対応するときも、各種控除で対応するほうが簡素になるので望ましい。
こうした理由から、個人課税が基本で、必要な時には控除措置で対応するのが世界の常識になっている。つまり、今回の政府案はこうした世界の「常識」にまったく反している。
今回の日本の「改革」は女性の社会進出を促進させることが一つの狙いとされている。しかし、本当にそれを実現させたいのであれば、政府方針と逆に、(1)所得税の基本は中立的である「個人課税」のまま、(2)配偶者控除を拡充すればいい。配偶者控除の拡充で多少は税収が落ちるが、女性に働いてもらってその所得に課税して税収を増やすという、「損して得取れ」方式で対応すればいいからである。
それなのに、目先のことしか考えられない財務官僚は、とにかく配偶者控除をなくして増税したい一心である。それだけでは増税がミエミエなので、世帯課税にして少しばかりの減税を大きく見せたい。
しかし、今のような所得税改革案ができると、結局増税になって、女性の社会進出を「後ろからスカートを踏む」形になってしまう。狡猾な財務官僚は、安倍政権の取り巻きが右寄りで、そうした人たちは、個人単位より家族単位のほうがいいと信じていることをうまく利用して、「個人課税から世帯課税へ」を吹き込んでいるのだろう。
世界の趨勢は、そうしたイデオロギーよりも税制の中立性を選んでいるので、この意味でも日本は逆行している。いずれにしても、女性の社会進出という目的は達成できずに、最終的には増税になるような所得税「改悪」である。そして、世帯課税の国では、所得税の持つ累進課税の効果が薄れて、所得格差に対応できなくなっていることも忘れてはいけない。
思えば消費税に関しても、世界の国では消費税=一般財源であるのに、日本では社会保障目的税にするという世界で例をみない「改悪」を平気で行い、デフレ脱却前に消費税増税を強行して景気を腰折れさせようとしている財務官僚である。
彼らの「増税命」の一念が、日本における正しい経済政策を阻んでいる。
『週刊現代』2014年3月29日号より
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