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3月5日、保釈後会見する片山祐輔被告(左)と佐藤博史弁護士
パソコン遠隔操作事件 片山祐輔被告単独インタビュー 「検察の主張は矛盾だらけなのです」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38664
2014年03月14日(金) 野田洋人 現代ビジネス
取材・文/野田洋人(週刊現代記者)
4人の誤認逮捕事件を引き起こしたパソコン遠隔操作事件。「犯人」として逮捕・勾留されていた片山祐輔被告(31歳)が3月5日、389日ぶりに保釈された。一貫して無罪を主張する片山被告が保釈翌日、単独インタビューに応じた。
■逮捕3日後から強圧的な「追及モード」に
2013年2月10日に逮捕されてから、3月5日に保釈されるまでの約1年1ヵ月間、「出口の見えないトンネル」にいるような感覚でした。いったい、この状態がいつ終わるのか、ただ時間だけが経過していくような「時計が壊れてしまった」状態でした。
私が最初に勾留されていた東京湾岸警察署は、警視庁本部の所属のようで、警視庁が管轄する大きな事件で逮捕された人が勾留される性質があるようです。留置場内はA・B・Cの3ブロックに分かれていて、Aエリアに特別な事件の被疑者が留置されるようです。ここの5人部屋に1人で入れられていました。
逮捕された初日の取り調べでは、とりあえず私の言ったことをそのまま書いてくれたという印象を持っています。その日の最後には、取調官も、「逮捕して身体を拘束するというのは、大きな苦痛を伴うものだから簡単にはできないことだ。だから裁判所の(逮捕)令状が必要で、それが出たということは証拠がちゃんとあるということ。あなたは否認しているけれど、われわれはこの証拠を一つひとつ、説明していかなければならない」と諭すように話しました。
取り調べの刑事が強圧的な「追及モード」に入ったのは、その3日後です。江ノ島のネコの件でも、私が首輪などつけていないと正直に答えたら、「本当につけていないのか? こちらはあなたの前後に猫に触れた人にもあたって、あなた以外にいないと確信している」と、強硬な姿勢でした。
その刑事は引き続き「追及モード」のまま、3枚の画像を私に見せました。「あなたが売っ払った携帯電話を、こちらは先月入手している。これ(3枚の画像)はその携帯電話から復元したものだ。どう思う?」と、私の顔を見ながら聞くのです。「それがどうしたのですか?」というのが、私の正直な感情です。
その画像とは、私が自室で自分を写したものと、友人といっしょに撮ったもの、旅行先で自分を撮ったものの3点です。パソコン遠隔操作事件とは何の関係もないし、見られて困るものでもないので、刑事の質問の趣旨がわかりませんでした。
仮に、私が犯人だとしたら、携帯電話から江ノ島のネコの画像が復元されて、自白するしかない、ということになるのでしょう。当然、警察もそれを期待していたのだと思います。しかし、(犯人がマスコミや警察に送った画像を)僕が撮ったわけではありません。警察の揺さぶりは空振りに終わったということですね。
■警察の作文だった調書にサインしなかった母
携帯電話を売ったことが証拠隠滅のように報じられましたが、たんに機種変更のために携帯電話を売っただけです。電池の持ちが悪くなったので、それまで使っていた富士通の「ARROWS」を売って、シャープの「AQUOS PHONE」にしました。9000円くらいになったと記憶しています。
留置場では新聞の回覧がありましたが、自分に関係する記事は黒塗りにされていました。なので事件については弁護人から情報を得ていました。テレビでの報道は見ることができませんでしたから、どんな風に創作されていたのか、気になります。片山容疑者の暗い半生なんていうタイトルのドラマ仕立てだったのでしょうか。
自分が犯人であるかのような扱いには「なんだこれは?」という印象です。そもそも誰が悪いのか、混乱が大きすぎて、気持ちの整理がつきませんでした。ウソの大本営発表をする警察が悪いのか、あることないこと報じるマスコミが悪いのか、それともどこかにいる真犯人を憎むべきか、自分自身も判断がつきかねました。いまに至るまで、気持ちの整理はついていません。
ようやく保釈されましたが、まだ落ち着いて考える余裕がありません。家にまで来るマスコミもいて、私はともかく、母のメンタル面が心配なんです。
母は週に一度、必要な買い出しに外出するくらいで、それ以外は息を潜めるように隠れて暮らしていたようです。私よりも母が一番かわいそうに思います。保釈後の夜にホテルでようやく母と再会できました。久しぶりに会った母親は、か細い声で「祐輔、大丈夫?」と。声に張りがなくなり、老け込んでしまった印象を受けました。今後、元通りになるのか……、それが心配です。
神奈川県警は、勝手に作文した調書にサインをさせようと母に迫ったそうです。「息子がこのような大それた事件を起こしてしまい、申し訳ありません」から始まり、「親子の縁を切りたい」とまで書かれた、まさに作文です。
そういう調書に、何の事情もわからない母を騙してサインさせようとしたこと、それは許すことができません。担当した刑事のやり方なのか、警察の通常の手法であるのか知りませんが、人としていかがなものでしょうか。母はよくサインを拒否したと思います。
■真犯人が検察や警察をおちょくった事件
勾留中は、弁護人に冤罪関係の本を差し入れてもらって読みました。足利事件や松本サリン事件、袴田事件といった事件についてのものです。また、鈴木宗男さんや佐藤優さんの事件、村木事件といった「国策捜査」と呼ばれるものについても色々と読みました。
ちなみに、私が勾留された東京拘置所の独房はB棟8階というところです。佐藤優さんの『国家の罠』にも出てきますが、私は佐藤さんと同じフロアの独房に入れられていたようです。おそらくそこは世間で話題になったような特別重要な被告が入れられるのではないかと思っています。
冤罪事件や国策捜査にはそれぞれの特徴があって、警察と検察のやり方、裁判所の在り方についても本当に考えされられました。と同時に、私の事件はそのどれとも似ていないということにも思い至ります。おそらく、検察官や裁判官も同じような印象を持っているのだと思います。ですから、私自身も含めて、検察も裁判所も手探り状態ではないでしょうか。
パソコン遠隔操作事件とは、真犯人が警察や検察をおちょくった事件だと思います。(真犯人が送った)「犯行声明メール」や「ラストメッセージ」を見てもわかりますよね。さらに真犯人は私をあらかじめターゲットに絞って、スケープゴートにした。
真犯人が考えていることはわかりませんが、このまま静観するつもりなのでしょうか。有罪判決が出ることを待っていて、それから『片山さんは無罪です』といった声明を何らかの方法で出してくるのか……。とにかく不気味です。
真犯人は「アイシスエグゼ」以外の遠隔操作ウイルスを、私を含めた何十人かに感染させて、それぞれのパソコンを覗き見していたと推測しています。私には前科があるので、スケープゴートに適任だと考えたのでしょう。
自宅のパソコンは最低限のセキュリティソフトしか入っていなかったので、ウイルスを検知することもできませんでした。このことからも私がウイルスやセキュリティに興味がないことがわかるのではないでしょうか。
警察は私の自宅からパソコンを押収していきました。捜査機関は解析をしたはずですが、決定的な物証が出てきたとは聞いていません。
遠隔操作事件は、パソコンに慣れた人間なら誰でもできるというレベルではなく、かなりの能力を持つ限られた人間にしかできないと思います。普段からプログラムの脆弱性を研究していて、ハッカーのコミュニティで情報交換をしている人にしかできないのではないでしょうか。
私もシステムエンジニアというプロの端くれではありましたが、まっとうの業務用プラグラムしか作っていません。私には遠隔操作ウイルスを作成する能力はないのです。
そのために、検察の主張する論理はそこかしこで矛盾があります。たとえば、遠隔操作ウイルスのソースコードが書き込まれたUSBメモリーが埋められていた雲取山の件です。
■片山被告が指摘する「検察の矛盾点」
私が雲取山に登った2012年12月1日には、周囲の状況から考えても山頂にUSBメモリーを埋めることなどできませんでした。そもそもスコップを持って行っていませんし、私が山頂に滞在した時間帯には複数の人がいました。そこで、ザックザックと掘れば、目立ちますよね。
そして、2013年元日に警察は大規模な山狩りをして雲取山山頂を捜索していますが、USBメモリーは発見できなかったのです。5月になって発見されたと発表されましたが、このことから私以外にUSBメモリーを埋めた何者かが存在するとしか考えられません。
その第三者は何者なのか。私が犯人だとして共犯者がいるか、もしくは私が無実で別に真犯人がいるのかの二つの選択肢しかないでしょう。警察と検察側は今回の遠隔操作事件は「単独犯」と主張していますので、前者は消去できます。とすると、私以外の真犯人がいるとしか考えられないのです。
もう一つ、検察が提出した証拠によると、私が在籍していた会社から遠隔操作事件に関するニュースに多数のアクセスがあったようです。その回数は実に数万回というものですが、これは何らかの遠隔操作をされ、自動化された指令を受けていないと不可能です。
仕事をしながら、仕事以外の件で終日クリックし続けるなどという非現実的なことはありえないと思います。一連の遠隔操作事件では、横浜市のホームページに2秒で250文字の書き込みをしたとして大学生が誤認逮捕されていますが、これと似ているように感じます。いずれも人力では不可能ですからね。
検察側の主張への疑問はまだあります。江ノ島のネコの首輪問題です。ウイルスのデータを書き込んだマイクロSDカードは首輪にセロハンテープでつけられていたそうですが、そこからDNAが出たといいます。そのDNAは私のものではなく、別人のものでした。
検察側は、そのDNAがどこから出たのか明かしていません。もしセロハンテープの接着面からDNAが出たのであれば、それは真犯人のもので間違いないでしょう。そして、そのDNAが私のものではないとしたら、無実を証明する物証になるのではないか。この件についても、足利事件で無罪判決を勝ち取った佐藤博史先生が追及してくださることでしょう。
さらに言えば、SDカードに書き込まれたファイルの作成日時には、私はアリバイがあるのです。そのときはちょうど、通っていた居合道の道場の合宿で、集団行動中でしたから。
このように、検察の主張には矛盾がそこかしこにあります。これからは自分でも検察が提出した証拠を精査して、無罪を勝ち取るため、戦い抜きます。
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