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2014年03月15日(土) 歳川 隆雄「ニュースの深層」
「アベ車」のハンドルを大きく右に切り、アクセルを踏み込んだかに見えた安部晋三首相だが、ここに来てブレーキペダルに足を置いているようだ。安倍首相が執念を燃やす「教育改革」の本丸の教育委員会制度改革案についてである。
■教育委員会制度改革で公明党を懐柔
3月11日に衆院第2議員会館で開催された自民、公明両党の教育委員会制度改革を検討する作業部会(座長・渡海紀三朗元文部科学相=自民党)は、教育委員会の存続と地方自治体首長の教育行政に対する権限強化、新教育長の任期3年などで合意を見た。同作業部会は、2月20日からこれまで計8回の協議を行ってきたが、最終局面で公明党に“配慮”する内容となった。
作業部会での論議は、公明党側の代表である富田茂之幹事長代理が、地方教育行政の最終責任者を首長に移行させ、教育委員会を首長の付属機関に降格させる政府案に強く反発したことから紛糾してきた。だが、首長に権限が集中すると教育の政治的中立が担保できないとする公明党の主張を容れたのである。
それでも『朝日新聞』(13日付朝刊)が報じたように、実態は新教育長が「首長の部下」であることに変わりなく、教育行政に対して首長関与拡大に懸念が残るのは事実だ。
ただ、当初の政府案では、執行機関としての教育委員会そのものを廃止する意向であった。政府は与党合意を踏まえて、地方教育行政法改正案を今通常国会に提出し、会期内の成立を目指す。が、教育委員会廃止を主張する日本維新の会の今後の対応が見えていない。
■閣内からも「憲法解釈」で異議申し立て
では、なぜ安倍首相は公明党への配慮を決めたのか。
一にかかって集団的自衛権行使容認問題に尽きる。首相官邸側の構想では、行使容認問題について「行使を容認する」との憲法解釈変更を5月大型連休後に閣議決定を行い、その後与党の自民、公明両党と協議したうえ、秋の臨時国会で自衛隊法改正など関連法案の成立を図るというものだった。
こうした拙速な政治日程に対し公明党の漆原良夫国対委員長が強く反発、自身のメールマガジンに「歴代首相は戦後50年にわたって『憲法9条の解釈上、集団的自衛権は行使できない』と国民に説明してきた。ある日突然、首相から『閣議決定で憲法解釈を変えました』などと発表されても国民は、到底納得しないと思う」と書いた(2月25日アップ)。
加えて、閣内からも「異議申し立て」が出た。谷垣禎一法相が7日の閣議後の記者会見で「憲法解釈があまりにも不安定だと国家のあり方そのものも動揺してしまう。憲法解釈は極めて安定性がある必要がある」と述べ、早期の解釈変更に慎重な考えを明らかにした。
谷垣氏と同じ自民党旧宏池会をルーツとする現在の宏池会(岸田派)の名誉会長である古賀誠元幹事長はメディアに露出し、安倍首相の右旋回に警鐘を鳴らしたうえで宏池会の原点である保守リベラルへの回帰を主張している。
安倍首相からすれば、「あなたにそのようなことを言われる筋合いはない」というのが本音であろうが、古賀氏と同じ東京・平河町の砂防会館に個人事務所を置く青木幹雄元官房長官の動向が気にかかるだけに、古賀氏発言を無視できないのが実情である。青木氏の関与とは?
■参院自民党も懐柔中
早期解釈変更に慎重なのは、公明党や旧宏池会系だけではない。実は、青木氏が依然として影響力を持つ参院自民党の存在があるのだ。
2014年度予算案が衆院本会議で可決した2月28日の夜、安倍首相は公邸に世耕弘成官房副長官、吉田博美参院自民党幹事長代行、石井準一副幹事長を招き、会食した。
翌日の新聞各紙は当夜の会食で内閣改造の時期が話題となったと報じたが、会食をセットした首相の最側近の世耕官房副長官(参院当選4回・町村派)が企図したのは、実は吉田氏(同3回・額賀派)と石井氏(2回・同)が解釈変更に慎重論を唱えているため、首相から直接揉みほぐしてもらうためであった。
因みに、参院自民党にあって脇雅志幹事長(3回・無派閥)が慎重論を先鋭的に主張しているが、脇氏もまた青木氏に近い。足元の乱れを解消する必要があるというのが、安倍官邸の最優先の判断である。
自民党内では石破茂幹事長が集団的自衛権行使容認のための解釈変更早期実現で安倍首相と完全な一致を見ている。しかし、青木元官房長官の石破幹事長への不信感は根強いものがあり、青木氏直系参院議員説得にはまだ時間がかかりそうだ。
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