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「賃上げ脅迫」のファッショ政治がもたらす不幸 【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
http://gendai.net/articles/view/news/148685
2014年3月14日 日刊ゲンダイ
安倍政権のファッショ体質がまた露呈している。甘利経財相が、政府の賃上げ要求に応じない企業について、「経済産業省から何らかの対応があると思う」と脅したそうだ。
この政権は、国民の知る権利を制限する特定秘密保護法を強行採決しているが、自由を奪う対象は個人だけではなかった。民間企業の経営についても、自由裁量を認めないのである。政府が右を向けと言えば、二つ返事で右を向くのが当然と考えているのだろうか。極めて怖い発想だ。
民間企業の賃金は、労働と資本の需給で決まる。資本が労働力需要を増大させている局面では賃金が上昇するし、労働力需要が落ち込んでいるときは賃金が下落する関係だ。この基本を踏まえた上で、経営計画や経営環境などを加味し、労使で話し合って結論を得る仕組みになっている。合理的で民主的なやり方だ。一部のワンマン企業やブラック企業を除き、日本企業にも定着している。
安倍政権は、こうした慣習をぶち壊し、政権の意向で賃上げを強要するのだ。「断ればひどい目に遭わせるぞ」と脅迫し、服従させる。これはもう犯罪的だが、恐れをなした大手企業は、軒並みベースアップの実施を決めた。社員のみなさんは大歓迎だろう。消費税は引き上げられるし、物価も上昇している。生活が苦しくなるのは明らかだ。給与が増えれば一息つけるかもしれない。
ただ、身の丈に合わないいびつなベアである。ムリをすれば帳尻を合わせなければならないし、社員が不利益を被る可能性は高いだろう。正社員は削減されてベアと無縁の非正規社員が増えるかもしれないし、国内の拠点を減らして海外進出を加速させるかもしれない。社員として働ける場所は、どんどん失われてしまうのだ。
安倍政権は大手企業の賃上げに「これぞアベノミクスの成果」と胸を張るのだろうが、その成否が問われるのは今ではない。
グローバル時代の今は、日本企業の多くが海外で利益を出している。現地で生産し、現地で売って儲けたカネを日本に送金している格好だ。賃上げをすべきなのは、そんな現地法人で働く人たちだろう。彼らに十二分に報いた上で、それでも余りがある場合に日本でも賃上げする。これが経営のあるべき姿だろう。権力が出しゃばることではない。
【高橋乗宣】
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