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祖父の幻影を追う安倍首相の迷走
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2014031402000151.html
http://ameblo.jp/heiwabokenosanbutsu/entry-11796328964.html
2014年3月14日 東京新聞 特報 :大友涼介です。
安倍政権の対米姿勢が分かりにくい。環太平洋連携協定(TPP)や沖縄・辺野古問題、集団的自衛権の行使などで米国に過剰なまでにサービスしつつ、米国が中核の戦後世界秩序に挑戦するかのように靖国神社参拝を強行した。一見相反する政策には首相の敬愛する祖父、岸信介元首相の幻影がちらつく。しかし、2人の間には大きな隔たりも透けて見える。 (出田阿生、榊原崇仁)
◇「対米自立」共通するが
「安倍首相が祖父を語る際、父方の安倍寛・元衆院議員ではなく、母方の岸元首相ばかり取り上げる。岸氏は首相の著書の随所に登場する。著書からは岸氏への憧れが伝わってくる」
ジャーナリズムの高野孟氏はそう語る。
安倍首相が足跡を追う祖父の岸氏だが、あらためてどんな人物だったのか。
岸氏は東京帝大(現・東大)を卒業後、農商務省に入り、東条英機内閣で商工相として入閣した。「北一輝や大塚周明といった国家社会主義の思想家に傾倒していた」(高野氏)
終戦後はA級戦犯で逮捕されたが、不起訴になると「自主憲法制定」「自主軍備確立」「自主外交展開」という対米自主路線を打ち出し、政界にも復帰。
当時の吉田首相と同じ自由党にいたが「軽武装、経済重視」の立場から対米協調路線を取る吉田氏を公然と批判したため自由党を除名され、日本民主党の結党に加わった。
一九五五年の保守合同で自民党が誕生すると初代幹事長となり、五七年には首相に。この三年後の六〇年に手掛けたのが、日米安全保障条約の改定だった。
吉田首相時代の五二年に発効した旧安保条約は米軍の一方的な駐留が強調されたが、新条約では日米の協力で日本や極東の平和維持を目指すと定め直した。
実は岸氏は五五年に当時の重光葵外相と渡米し、対米自主路線の実現に向けて日本からの米軍の撤退を米側に打診していた。
「しかし、米側の激しい反発を受けて、岸氏は対米自主路線を全面的に貫くことは無理だと考えるに至った。安保条約の改定にその考えは表れており、表向き『米側の協力を得る』という形で米側の顔を立てながら、日本の軍備を強化する方向性を打ち出した」
高野氏はこの「親米を装いながら自立を目指す」という岸氏のスタンスこそ、安倍首相との共通点だと分析する。
「安倍首相は米側との連携を念頭に置いて集団的自衛権の行使容認を目指す。その次のステップとして軍事的な自立まで見通す。祖父の岸氏が米側に配慮し、思いとどまった地点までやり遂げようとしている」
ただ、岸氏と安倍首相では相違点もある。
高野氏は「戦前から戦後に掛けて官僚や政治家として揉まれた岸氏は、大局的で合理的な視点を持っていた。安倍首相はそこまで至っていない」と語る。
「それに岸氏の頃は冷戦の時代。旧ソ連や中国を仮想敵にして日米共同の軍事強化を語れた。しかし今は時代が違う。安倍首相は中国や韓国を仮想敵に仕立てようとしているが、米側はそうは思っていない。特に中国は経済的にも大きなマーケット。米国は現在の国際的な秩序を崩そうとはまったく考えていない」
◇米戦略の変化読めず 不要な極東緊張招く
祖父の岸氏と孫の安倍首相。二人はどこで交錯し、どこに距離があるのか。
評論家の太田昌国氏は「サンフランシスコ講和条約で日本が独立国になることと、軍事同盟として不平等な日米安保条約を結ばされることはセットだった。戦前の思想を持ち続けている岸氏は、自立した日本資本主義の力を背景に、条約の対等性にこだわって安保条約を改定した。元来、親米派ではない」とみる。
「安倍首相の著書を読むと、対米自立を目指した祖父の後を追おうとしていることは感じる。ただ、岸氏はせいじかとしての駆け引きの勘に優れ、老獪だった。安倍氏にはそれがない」
安倍首相は第一次政権を一年で放り出した。しかし、現在は全能感に溢れているかのようだ。
「当時と今との違いは社会の雰囲気。失業や非正規雇用の増加で痛めつけられた人々の不満が溜まっている。そんなときは外に敵を作り、強く出る人間を魅力的に感じる人が増える。安倍首相を論理的に批判することはできるが、そこからこぼれ落ちる人びとの複雑な情念をどうするか。社会全体に『考え抜く』ことができない空気が蔓延っている。それが安倍政権を下支えしている」
社会学者の宮台真司・首都大東京教授は「見かけ上のことを除けば、岸氏と安倍首相の間に共通項はない」と断言する。
大きな違いは戦略の有無だ。「岸氏は安保条約改定の際、(米国に守られる代わりに一方的に従属するという)『片務性』を緩和しようとした。日本の立場を少しでも対等に持っていくため、まず米国の信頼を得た上で、タフな政治的駆け引きを繰り広げた」
翻って安倍首相は「戦略的思考よりも、情緒的思考に走っている。『強い国』を目指すというが、具体的な戦略がないので、結果的に『強い国みたいな国』を目指しているだけになっている」と指摘する。
安倍首相の目指す「強い国」の姿は対米自立か、対米従属の継続か。宮台教授は「どちらにしても安倍首相は逆スロットルを踏んでいる」とみる。
「対米自立のためにはアジアの信頼を醸成して憲法を改正し、重武装中立化するという手があるが、それには極東の緊張緩和が不可欠となる。逆に追従を続けるにしても、米国が安定を望んでいる以上、極東の緊張緩和が必要だ」
安倍首相が指名したNHK経営委員や側近議員らの数々の失言は世界中で報じられた。「その結果、世論に押された各国政府が、日本を『民主主義が存在しない三流国』と扱い始めた。こうして国益がどんどん損なわれている」
ジャーナリストの斎藤貴男氏は、岸氏と安倍首相の類似点について「二人には米国と対等になろうとする意識を強く感じるが、それでも米国に絶対に逆らわないという自民党のDNAの範囲内の話だ」と語る。
二人の大きな違いは「戦犯として処刑されかけた岸氏は、大日本帝国の復活を目指していると危ぶまれないよう、米国の怒りを買わない工夫をしてきた。安倍首相は戦争体験がない分、想像力を働かせる必要があったが、靖国参拝ひとつとってもそうした知性がみられない」ことだという。
「冷戦終結して中国が経済成長した今、靖国参拝は大きな火種になる。それを米国にお目こぼししてもらう代わりに、TPP交渉などで米国に譲歩を迫られることがないとも限らない。そうなれば、結果として対米追従が強化される」
※デスクメモ 安倍さんは凡庸な人だと思う。特攻隊員の遺書から「悠久の歴史が続くことを願った」志を読み取ったという。悠久の歴史なるものにしか、自らの死の意味を見い出せなかった絶望に思いを馳せられない。死者への慈しみの欠如は彼の幼さそのものだ。凡庸でもいい。でも、それを隠すための道連れはご免だ。(牧デスク)
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