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政府は3月14日の閣議で、集団的自衛権の行使容認問題に関し、法律に基づいた検討機関の設置は不要であり、有識者でつくる安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)で行使容認に向けて進められている検討だけで足りるとの見解を示したと伝えられています(北海道新聞)。
法律に基づいた検討機関の設置は不要という意味が、内閣法制局による法案審査をもおこなわないことを意味すかどうかはわかりませんが、新共産主義クラブはこのような決定を政府主導だとして決して歓迎はしません。
筆者の考えでは、立憲主義は、論理学や数学の証明論でいうところのにおける公理主義に似ているものだと思います。
公理主義とは、数学において、公理から出発して演繹的に証明できるものだけを正しい定理として扱うべきだという主張です。ゲーデルという人が、意味論的に正しい定理がすべて証明できるわけではないことを証明しましたが、一階論理学というものに限れば正しい定理ならば必ず証明できることがわかっています。
立憲主義における憲法は、公理主義における公理のようなものだと思います。たとえば幾何学の証明問題において、ある定理を証明するために、その問題を解くためだけに公理系を変えてしまうことは許されません。ある法案を通したいために、内閣が憲法の解釈を変えてしまうことは、ある問題を解くために公理を変えてしまうことに等しいものです。
しかし、誰もが幾何学の証明の達人ではありません。内閣法制局は、たとえるならば幾何学の証明を考えるプロだと思います。公理系に矛盾しないことを政府が提案する前に、先に証明しておく必要がありますが、その証明を考える「定理証明器」が、内閣法制局だと思うのです。幾何学の証明ならば、補助線を引くことなどを思いつかないといけません。今では簡単な証明問題ならばコンピュータ上で証明してしまう自動定理証明器(オートプルーバー)もありますが、ある法案が憲法に違反していないかを事前に証明するには、今でも人手に頼るしかありません。
ただし内閣法制局が出してくる合憲性の証明が、いつも正しいどうかは、わかりません。何しろ、人手で証明しているのですから。最終的にその証明が正しいかどうかは、結局国民ひとりひとりがチェックしないといけません。しかし証明問題を解いて最初に証明をおこなうことよりは、与えられた証明が正しい証明であることをチェックすることは簡単なことです。今では簡単な証明ならば、コンピュータ上で正しい証明かどうかを判定してしまう自動証明検査器(プルーフチェッカー)もありますが、ある法案が憲法に違反していないかを事前に証明をチェックするには、今でも国民ひとりひとりが自分の頭でおこなうしかありません。
安倍首相は「自ら顧みてなおくんば、千万人ともいえども我行かん」と言いますが、憲法に違反していないことを論理的に証明することなく、総理大臣の思い入れと思い込みだけで法案を通すことだけは止めてほしいです。
正しい計算結果ならば、千万人が計算しても同じ結果になりますし、正しい科学的な知見ならば、千万人の科学者が実験しても同じ結果が得られます。
安倍首相は、自分の正しさを自分で論理的に説明できるようにならなくてはなりません。
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■集団的自衛権で検討機関不要 政府が答弁書決定(北海道新聞,2014.3.14)
政府は14日の閣議で、集団的自衛権の行使容認問題に関し、法律に基づいた検討機関の設置は不要とする答弁書を決定した。安倍晋三首相は有識者でつくる私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を設置して行使容認に向けた議論を進めており、私的諮問機関による検討で足りるとの見解を示した形だ。
安保法制懇での議論内容に関し「集団的自衛権を行使できるようにすべきではないといった意見は表明されていない」と明記し、14人いるメンバー全員から行使容認に異論が出ていないことも明らかにした。
(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/527011.html) □
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