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2014年3月11日
先日、安倍晋三首相は東日本大震災から満3年目を迎える今日の3月11日を念頭に、官邸記者会見で「これからはハード面の復興だけでなく、心の復興に一層力を入れていく」と強調したそうだ。(東京新聞参照)
これを聞いて眉をひそめる人も多いだろう。安倍首相に人の心を云々できる資格があるのかと。2月14日から関東甲信地方で大雪の異常事態が起きていたとき、安倍首相は支援者などと天ぷらを食べていたと揶揄された。首相はフェイズブックで、政府は降雪前の14日から災害警戒会議を開くなどして事前対策の確認を行ったと釈明している。しかし、その確認が本気であるなら、リアルタイムで入ってくる情報を虎視眈々と受け止め、豪雪の猛威を実感していたはずだ。
当然ながら、その情報はマスコミにも周知させて、被災地や被災地近県などの警戒態勢や支援体制の準備などのためにやるべきことが多くあったはずだ。おそらくマスコミは官邸と意を合わせているのだろうが、斉藤美奈子氏のコラム「ゲリラ豪雨」を参照すると、テレビが報じたのは17日の夕方であり、全国紙が報じたのは17日の夕方ないし18日の朝刊からだった。筆者はこの遅れが無自覚ではなく、ソチオリンピックに国民をくぎ付けにして置くために報道抑制をかけたと考えている。つまり、政府、マスコミが一体となって情報統制した可能性がある。その理由は2020年の東京オリンピックを睨んで、「国家戦略特区」を成功させるためである。
おそらく、被害は一時的、局地的であり、報道事案にしないままに収束するであろうとたかをくくっていたことになる。ところがその読みは外れ、関東甲信地方は広域で記録的な大雪被害に見舞われた。政府調査団の派遣は17日になり、豪雪非常災害対策本部の立ち上げは翌日の18日になっていた。いかに弁明しようとも、この展開を見ると、初動対応が遅れたというよりも、初動対応をあえてしなかったと言った方が正確だろう。14日の災害警戒会議があってから、続く積雪情報に接していたなら、遅くても15日には災害対策本部を立ち上げて起動できる状態に入っていなければおかしい。
この手の災害で、3日も後に初動対応に入るなどという概念はない。常識的には遅れても翌日には災害対策本部が稼働状態に入るべきだ。ところが安倍首相は2日後の16日、豪雪に閉じ込められ、最も救援しなければならない局面で天ぷら会食をしていた。非難されて当然だろう。国民を守るという宰相の心がけがあるのなら、周囲を振り切ってでも、14日か15日中には陣頭指揮に立つのが当然である。著名人が何人か天ぷら会食を批判したことについて、安倍晋三氏のシンパから逆批判が起きたという。それは批判者たちは何かできることをやったのかということらしい。
安倍首相の天ぷら会食や遅延対応を批判する者たちを逆批判する根拠が、基本的には新約聖書マタイ七・三に出てくる「なぜあなたは、兄弟の目にある塵が見えながら、自分の目に梁があるのに気づかないのか」というキリストの言葉を想起させる。だが、国民の命を預かる総理大臣の責務と、一般著名人の批判者を同列に置いて、責任を相対化する逆批判は間違っている。逆批判をする者たちが何を言ったとしても、官邸が実質的な対策に動いたのは3日後なのである。どう考えても、安倍首相の災害認識と判断力に基本的な瑕疵があるのは動かしがたい事実であるから、批判されて当たり前である。
豪雪災害に対する安倍官邸のこの対応を見たとき、昨年1月に起きた日揮が巻き込まれた「アルジェリア人質事件」と重なった。このとき安倍首相は外遊中であり、予定を中止して対策本部の陣頭指揮に立つべきところを、予定日数を短縮して外遊を続けている。指揮官はどこにいても指揮官であるという人もいるが、邦人の命がかかっているときは国家の一大事であるから、直ちに帰国して対応に専念すべきである。総理大臣とはそういうものではなかったのか。外遊などはやり直しができるが、一過性の災害や国際テロ事件にたいしては、一国の宰相たる者、心身を削る覚悟で真剣な対応が要るのである。
この豪雪対応について、原田武夫氏が米国の次期大統領候補のケリー国務長官の事例を挙げて実に興味深いことを述べている。ケリー氏は「気候変動はテロリズム、貧困、そして大量破壊兵器(WMD)にも匹敵するほどの脅威だ」と語ったそうである。今の為政者に求められる重要な資質の一つは、気候変動に対する鋭敏な感覚だという。これは世界の共通一大要素であり、日本も例外ではない。最近の天候は変則的で例年パターンを逸脱した激変的な現象が頻発している。ゲリラ豪雨然り、ゲリラ豪雪然り、竜巻然りである。安倍首相はケリー国務長官のレベルに達するどころか、天候による危急災害に危機感を持っておらず、それどころかマスコミに情報統制をかけた疑いがある。
米国多国籍企業の意を汲んで、国民をごまかすことしか考えない宰相は、自然災害で苦しむ国民を慮(おもんぱか)るはずがないのである。凡愚・大愚の宰相が、3・11災害3年目に当たって『心の復興に注力する』なとと言ったところで、あまりにもブラックすぎる冗談としか思えない。今日の3・11追悼式典で安倍首相はこう言っている。
「大震災の試練からわれわれが得た貴重な教訓をしっかりと胸に刻み、将来のさまざまな災害から、国民の生命、身体、財産を守り抜くため、うまずたゆまず、災害に強い強靱(きょうじん)な国づくりを進めていくことをここに固くお誓いいたします。」
これをうかがっても、この間の大雪対応とアルジェリア人質事件の外遊継続を思い浮かべたとき、「なんだろなぁ、この総理大臣は?」と考えざるを得ないのだ。
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