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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140311-00000003-pseven-soci
週刊ポスト2014年3月21日号
安倍晋三首相は、日本政府が戦争中に慰安婦を強制連行したことを認め、韓国に謝罪した宮沢政権時代の河野洋平官房長官談話の検証に踏み出した。「河野談話」には、事実の「誤り」と政治的な「過ち」がある。
「誤り」は根拠がないまま日本が慰安婦を強制連行したかのように事実誤認して表現したことだ。そして宮沢内閣が事実誤認をもとに外交的妥協で韓国に謝罪し、国際社会に「レイプ国家」という印象を持たれてしまったことは取り返しのつかない政治的な大きな「過ち」である。
しかし、安倍首相が慰安婦問題で真っ先にやるべきことは、一方的に河野談話の文言を見直すことではなく、米国をはじめ国際社会の日本に対する認識を見直させることにあるはずだ。
そうして初めて、過去の自民党政権の「過ち」を挽回することができる。それは政治家にしかできない仕事である。だが、「歴史認識を見直す」と拳を振り上げるだけの安倍首相の今のやり方をみていると、自分に負わされている責任が何であるかを理解しているとはとても思えないのである。
安倍首相は明治政府の不平等条約改正の苦労をもっと知るべきではないか。明治政府は江戸幕府が幕末の混乱期に米英仏露蘭と結んだ不平等な「安政五ヶ国条約」を改正するために、国家を近代化し、法律を定め、欧米列強にものがいえる力をつけながら個別交渉で治外法権などを撤廃させ、小村寿太郎・外相が最後に残っていた米国からの関税自主権を取り戻すまでに50年以上かかった。
河野談話も、戦後、敗戦国の日本が戦争責任を追及され続ける中で、“贖罪的”に出させられた「公平ではない外交文書」という性格を持つ。だからこそ米国をはじめ各国の信頼を得ない限り、真の意味で河野談話を見直すことは不可能なのである。日米外交が専門の春名幹男・早稲田大学大学院客員教授が指摘する。
「安倍首相は歴史認識の見直しを公約している以上、河野談話に手を着けざるを得ない。しかし、官邸は米国の反応から談話の内容をいきなり見直すことには外交リスクがあると感じている。
そこで菅官房長官はまず談話をまとめた経緯を検証すると言いだした。これは何を意味するかというと、誰が悪いのかという国内の犯人捜しです。そうすれば談話そのものを見直さなくても、河野談話に批判的な国民や安倍支持の保守層の目をそちらに向けさせることができる」
米国の反発を目の当たりにするや、「河野談話の見直しは国内問題。米国を怒らせるつもりはない」という保険をかけ始めたという指摘である。
その姿を見て大喜びしているのが韓国であり、中国だ。安倍首相が「俺の公約だ」といって断行した靖国参拝は、結果として「戦後最悪の日米同盟」といえる状況を生み出し、冷え込んでいた米中・米韓の関係を近づける触媒となった。「河野談話見直し」でも、それと同じ状況が生まれつつある。安倍首相がいきり立つほど、皮肉なことに首相が頼みとする「日米同盟」の綻びが大きくなり、中国や韓国が米国と接近する。
靖国参拝と河野談話見直しは、安倍首相の自己満足を満たしても、それが日本の国益に結びついているとは思えない。
繰り返すが、現在の歪んだ日韓関係をもたらした河野談話の見直しは、きちんとなされるべきだ。だが、それは安倍首相が「撤回する」と宣言したところで、それを周囲の誰も理解しなければ、まさしく「夜郎自大」にしかならない。そこに安倍首相の自己満足外交の最大の不安がある。
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