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2014.03.11
3年前の今日、2011年3月11日14時46分、仙台市の沖70キロを震源とするマグニチュード9.0の巨大地震が発生した。そして、この地震は巨大な津波を引き起こし、多くの人たちの命を奪った。今年1月現在で、死者1万5884人、重軽傷者6150人、行方不明者2640人と発表されている。
だけど、これは、あくまでも地震や津波で直接亡くなった人たちの人数だ。長期の避難生活によるストレスで、持病が悪化したり何かの病気になって亡くなってしまった人たち、原発事故による放射能汚染で生活や仕事を奪われてしまい、東電を恨みながら自らの命を絶った人たち、こうした「震災関連死」は、今年3月現在、岩手、宮城、福島の3県だけで合計2973人にも上る。特に福島県では、こうした「震災関連死」は3県のうち最多の1660人で、地震や津波で亡くなった1607人を上回ってしまった。
震災から3年が経った現在でも、全国で約26万7000人もの人たちが苦しい避難生活を続けているのだから、こうした「震災関連死」は、今後も増え続いていくと思われる。「震災関連死」の大半は行政の対応の悪さが原因だと思うけど、せっかく地震や津波から生き延びられたのに、その後の行政の対応が原因で亡くなってしまう人たちが後を絶たないなんて、ホントに悲しいことだ。
‥‥そんなワケで、今日は内容が内容なので「いかがお過ごしですか?」は割愛して先へ進むけど、この「震災関連死」を少しでも減らすためには、何よりも優先すべきなのが「避難者の数を減らすこと」だと思う。仮設住宅にしろ、借り上げ住宅にしろ、すべてはちゃんとした家が出来るまでの「仮住まい」だ。その上、慣れない土地での生活、それも「いつまで」という期限も分からない生活を続けていたら、健康な人だってストレスで具合が悪くなってしまう。
だけど、自宅を失った避難者のために建てられている災害公営住宅の完成件数を見てみると、今年2月末の時点で、約3万戸の計画のうち、完成しているのは、わずか1000戸ほど、全体の3%だけだ。ちなみに、阪神淡路大震災の時は、3年後には2万1000戸、計画戸数の50%以上が完成していた。もちろん、この2つの大震災は様々な状況が違うから、単純に数字だけを比較してアレコレ言うことはできないけど、どうして東日本大震災の災害公営住宅の建設が遅々として進まないのか、2つの大震災を比較してその原因を考察することは、復興全体にとって重要なことだと思う。
これほどの大震災なのだから、震災直後から災害公営住宅を建設することなど不可能で、まずは避難所の整備、続いて仮設住宅の建設、それからようやく災害公営住宅の建設が始まる。だから、本格的な建設に取り掛かれるのは、どんなに急いでも2年目以降になる。で、災害公営住宅の本格的な建設が始まった2年目以降の進み具合を比較してみると、2年6ヶ月の時点では、阪神淡路大震災での完成率が27%だったのに対して、東日本大震災での完成率は、わずか1.8%だった。
これは、今から半年前の安倍政権が、被災地のことなどホッタラカシで、東京オリンピック招致のために奔走していたからだ。東京オリンピック招致委員会の竹田恒和会長は「東京は福島から250キロも離れているから安全だ」と公言し、安倍晋三首相は「福島の原発事故はコントロールしている」「放射能汚染水は港湾内で完全にブロックされている」と全世界に向けて大嘘をつき、その結果、オリンピック招致に成功した。
「東京オリンピックを被災地の復興につなげる」などという詭弁を弄していた安倍政権は、形だけでもそれらしく見せるために、ホッタラカシにしていた災害公営住宅の建設に発破をかけたが、それでもこの半年間に進んだのは全体のわずか1.2%ほどで、3年も経った現在の完成率がたった3%という、あまりにもお粗末なものだった。
NHKが今年1月に実施した被災者を対象にしたアンケートによると、全体の78%もの人たちが、今も自分のことを「被災者だと意識している」と回答した。これは、阪神淡路大震災の時の震災後2ヶ月目の数字と同じだそうだ。そして、NHKでは、アンケートに回答を寄せてくれた人たちの声を聴くために何人かを尋ねた。そのうちの1人、自宅を津波で流された上に親戚を11人も亡くし、今は仮設住宅で1人暮らしを続けている岩手県陸前高田市の女性は、次のように話した。
「日常生活をありったけ我慢している状態ですから、自分が被災者ではないとは言えません。自宅を再建する土地は今も見つからず、災害公営住宅は希望しても、いつ入居できるか分かりません。帰ってきて仮設住宅に入ってくる瞬間、これがわが家なんだと思うと情けなります。震災から3年も経ったのに、これがわが家かと思うと辛くなります」
宮城県気仙沼市の仮設住宅で一人暮らしをしている高齢の女性は、次のように話した。
「災害公営住宅が明日できるから引っ越せる、ということならいいんですけど、完成するまでにあと4年も掛かると言われています。4年も掛かるのでは、それまで私の命が持つかどうか分かりません」
‥‥そんなワケで、「震災関連死」が増え続けている原因は、震災から3年も経った現在も多くの被災者が辛い避難生活を続けているからで、それは災害公営住宅の建設が遅々として進まないからだ。そして、災害公営住宅の建設が遅々として進まない理由については、阪神大震災と比較してみることで複数の原因が見えてくる。
まず、阪神淡路大震災では、被害の大半が兵庫県1県に集中していたため、行政上の手続きなどが比較的スムースに進んだけど、被害が複数の県に及んだ東日本大震災の場合は、日本の伝統的な「縦割り行政」が復興の足を引っ張っているのだ。国は複数の県と協議しなくてはならず、被害状況も自治体ごとに多岐に渡っているため、ケースごとに対応が違ってくる。そのため、時間が掛かっているのが現状だ。
それから、今回は津波による家屋の被害が大部分を占めているため、同じ場所に再建するのではなく、高台へ移設したり、町単位で移転したり、防潮堤などの建設と一体化した再建計画など、公私の入り組んだとても複雑な状況だということ。国はどこまでバックアップしてくれるのか、県はどこまで面倒を見てくれるのか、それもハッキリと分からない上に、地元で商売をしていた人たちにとっては、家だけ建てられても仕事ができなければ生活など成り立たない。
そして、安倍政権の「国土強靭化計画」という名の公共工事のバラ撒きが、復興の最大の足かせになっている。これは、1年くらい前から新聞などが報じてきたから知っている人も多いと思うけど、安倍政権が見せかけの景気回復を演出するために、国民に借金を背負わせて無駄な公共工事をバラ撒き始めたために、被災地の復興に必要な資材も労働力も全国に分散してしまい、カンジンの被災地では、資材不足、労働力不足が起こり始めているのだ。
‥‥そんなワケで、ここまでは一般論として「どうして災害公営住宅の建設が遅々として進まないのか」ということを考えて来たけど、そろそろ本題に入ろうと思う。それは、阪神淡路大震災と東日本大震災の最大の相違点であり、安倍政権が最も触れたがらない点、つまり、「原発事故」についてだ。
あたしは、今回の「避難者」にも「震災関連死」にも、2種類のケースがあると考えている。岩手県や宮城県で、地震や津波によって自宅を失ってしまい、避難生活を余儀なくされている人たち、そして、福島県で、地震や津波の被害には遭わなかったのに、原発事故による放射能汚染で避難生活を余儀なくされている人たち、あたしは、この2つのケースを分けて考えるべきだと思ってる。
最も被害が大きかった被災3県で、地震や津波が原因で直接亡くなったと確認されている人の数は、岩手県が4673人、宮城県が9537人、福島県が1607人だ。一方、地震や津波からは生き延びることができたのに、その後、「震災関連死」で亡くなってしまった人の数は、今年1月末の時点で、岩手県が434人、宮城県が879人、福島県が1660人だ。この「震災関連死」の人数を見ると、福島県だけが突出していることが分かると思う。
そして、さらに詳しく調べてみると、福島県の「震災関連死」の1660人のうち8割を超える約1400人もの人たちが、原発事故による放射能汚染で避難指示区域に指定された11市町村の住民だったことが分かった。つまり、これまでに「震災関連死」をしてしまった3県の合計2973人のうち、約半数もの人たちが、原発事故の放射能汚染によって自宅に帰ることができなくなった人たちだったのだ。あたしは、これはもう、「天災」ではなく「人災」だと思う。「震災関連死」ではなく「原発事故関連死」と呼ぶべきだと思う。
地震や津波で自宅を失ってしまった岩手県や宮城県の人たちは、もう帰る家がない。だから、こんな言い方をすると語弊があるかもしれないけど、災害公営住宅が完成するまでは、ある意味、覚悟を持って、辛抱して避難生活を送っていると思う。もちろん、それでも辛く厳しい生活だから「震災関連死」が増え続けているんだろうけど、福島県と比べたら、その人数は大幅に少ない。一方、福島県の避難者たちの場合は、一時帰宅が許されて数時間だけ自宅に戻れば、そこには自分の家がある。生まれ育った山や川がある。それなのに、放射能という目に見えないもののせいで、自分の家に帰ることができない。いつになったら帰れるのか、まったく分からない。これほど辛く悲しいことがあるだろうか?
‥‥そんなワケで、あたしは、同じ「避難者」でも、同じ「震災関連死」でも、地震や津波という「天災」による被災者と、原発事故という「人災」による被災者とを分けて考えるべきだと思っている。災害公営住宅が完成すれば新しい生活をスタートできる人たちと、「除染」を繰り返してもなかなか線量の下がらない地域で、累積線量計を身に付けて自分の被曝量を自分で計算しながら生活しなくてはならない人たちを、どうして一括りにしているのか?長い避難生活で持病が悪化して亡くなってしまった人と、原発事故による放射能汚染で生活を奪われ、東電を恨みながら自らの命を絶ってしまった人を、どうして一括りにしているのか?
これは、どう見ても、原発事故という「人災」を東日本大震災という「天災」の中に含めてしまい、原発事故の責任をウヤムヤにするための策略としか思えない。その最たるものが、「除染」という見せかけだけの対策だ。国民の税金を膨大に投入して続けている「除染」だけど、ほとんど意味がないことはすでに証明されている。
あたしがツイッターやメールでやりとりしている福島県在住の人は、自宅を屋根から外壁から徹底的に除染して、庭の土の表面をすべて入れ替えて、ようやく安全な線量まで下がったのに、わずか2週間で元の数値に戻ってしまったと知らせてくれた。また、別の人も、何度除染しても1〜2ヶ月で元の数値に戻ってしまうため、お金が続かなくなり、今は高圧洗浄機を買って自分で除染しながら生活していると言っている。
安倍首相が昨年9月、IOC総会で全世界に向けて公言した「アンダーコントロール」「完全にブロック」という大嘘とはウラハラに、福島第一原発は現在も、大量の高濃度汚染水を海へ流出し続け、大量の放射性物質を大気中へ放出し続けている。こんな状況で「除染」なんかしても、何の意味もない。元栓が開けっ放しなのに、いくら掃除をしたって意味がない。これは、あたしが憶測でテキトーに言ってることじゃなくて、東電が公式に発表したことだ。昨年10月7日の閉会中審査の参議院経済産業委員会で、東電の廣瀬直己社長は、次のように報告した。
「福島第一原発の事故で大気中へ放出されたセシウム134と137は推計で約2万兆ベクレルになると見ている。また、現在も大気中へ毎時約1000万ベクレルの追加的放出が続いている」
多くの人は、海へ流出し続けている放射能汚染水のことばかりを気にしていると思うけど、大気中にも毎時1000万ベクレルもの放射性物質が24時間365日、休まずに放出され続けているのだから、風向きによっては内陸部へと飛散して、せっかく除染した場所をまた汚染していることになる。そして、これはあくまでも昨年10月の時点で発表された数値であって、その前には「最低でも毎時7000万ベクレル」という発表もしている。
また、放射能汚染水に関しても、東電は今年1月30日の会見で、原子炉を冷却するために注入している毎時4.4トンの水のうち約8割にあたる3.4トンが下部の亀裂から外部へ流出していたと発表した。東電は昨年12月に「貯水タンクの不足」を理由に汲み上げを中止したため、1日に約400トンの高濃度汚染水が海へ流出し続けている。海に一番近い観測用の井戸では、計測するたびに濃度が上昇し続けているけど、原子炉に注入した水が流出していたのだから、1リットルあたりストロンチウムなどのベータ線を出す放射性物質が23億ベクレル、放射性セシウムが1万2000ベクレルという目を疑うような数値も、当然の結果だろう。
‥‥そんなワケで、3日前、3月11日を前に福島県を視察した安倍首相は、「地域それぞれの特性に合わせた除染計画を実施する」などと絵に描いた餅をぶらさげて「福島の復興なくして日本の再生はない」などとお決まりのセリフをノタマッだけど、あたしは「原発事故の収束なくして福島の復興はない」と言いたい。毎時1000万ベクレルもの放射性物質を大気中へ放出し続けているのに、何が「除染」だ!毎日400トンもの高濃度汚染水を海へ流出し続けているのに、何が「風評被害」だ!本気で福島県の復興を考えているのなら、本気で福島県の避災者のことを考えているのなら、何よりも最優先して原発事故を何とかしろ!‥‥なんてことを言ったところで、東電を救済するために復興予算を6523億円も流用するような安倍首相の耳は「完全にブロック」されているから、どうせ国民の声などミジンも届かないと思う今日この頃なのだ。
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