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フォーブス誌が選ぶ2013年の「世界で最も影響力のある100人」で、オバマは2位に転落しプーチンが1位になっています。ちなみに、3位は習近平、5位がメルケル、安倍57位です。もっとも、一般的には評価をさげたオバマですが、自分のメンツを捨てて問題を解決したとみることもできると思います。
アメリカが主導してロシアへの経済制裁をにおわせていますが、EUは自国経済の首を締めることになるので経済制裁には消極的です。それは、欧州はロシアにエネルギーを多く依存していますし、ロシアへの輸出はEUが大半を占めていますからです。
Russia's trade ties with Europe
そもそも、ロシアにとってアメリカとの貿易は大きなものではありません(欧州の10分の1以下)。そのため、アメリカ単独で経済制裁してもほとんど実効性はありません。EUの協力が必要になります。口でロシアを批判するぐらいは、アメリカの顔をたてるために協力しましたが、それ以上踏み込むことはないと思います。
特にEUの盟主のドイツとロシアのつながりは深いです。
不安定なウクライナを迂回しバルト海を経由でロシアとドイツを直結するノルド・ストリー・パイプラインが完成しましたが、これはドイツ資本が参入しています。パイプはもちろん、住友金属のシームレスパイプです。メルケルは東ドイツ出身ですのでロシア語がペラペラです。一方、マルチリンガルのプーチンがもっとも得意とするのは、東ドイツに住んでいたことありドイツ語です。
この2人は言葉の壁を超えたツーカーなコミュニケーションが可能です。今回のウクライナの政変のあと、メルケルは欧州安保協力機構の調査団を派遣する提案をしましたが、プーチンはこれに快諾してメルケルの顔をたてています。また、ドイツは、アメリカのロシアをG8から追い出すという脅迫について、反対を表明しています。
オバマはシリア危機のときは、プーチンと協力して、国内のネオコンやシオニストをあしらう、うまい対応しました。一応軍事介入をするとみせて右翼に配慮しつつ、ギリギリのところで議会の承認を待つという時間稼ぎをしました。
この時間稼ぎの間にロシアと交渉してシリアの化学兵器廃棄をまとめて攻撃回避を成功させました。軍事的解決ではなく外交的解決です。この件でプーチンは賞賛され国際的威光はさらに高まりました。逆にオバマは批判されました。
オバマはシリアの件で弱腰を批判されてきました。そのせいでアメリカの威信を失わせたと評価されているようです。今回は、それに配慮しているのかかなり強気の姿勢をみせていますが、ぶっちゃけ、今回もポーズにすぎないと思います。本格的に経済制裁することは内心考えていないと思います。
ロシア上院がもし経済制裁が発動されればロシアに進出している欧米企業の資産を凍結する措置を検討しているとしているのも同じくポーズでしょう。保守系やシオニスト、ユダヤ資本家へのリップサービスと、形だけの制裁を課すだけで茶を濁すと思います。
軍事介入はできず黒海に軍艦を派遣して威嚇するぐらいでしょう。派遣するのもイージスや駆逐艦程度で空母打撃群を投入することはないと思います。いい標的になるだけです。今回の件でまたオバマは評価を落とすでしょう。
弱腰で優柔不断にみせるオバマで大衆的には受けが悪いです。逆にプーチンは中国や日本だけでなく世界中で人気があります。しかし、歴史がふたたびオバマを再評価することきがいずれくると思います。日本もここでどう対応するかが問われています。
ここでロシアの足元をみて北方領土問題の解決を狙うようなことをすると、せっかく改善してきたロシアとの関係が悪化することになるので注意が必要でしょう。色丹や歯舞のような小島は別として、国後や択捉をロシアが日本に返却する可能性はかぎりなくゼロに近いと思います。
日本が返還に執着するかぎり、ロシアとの関係の進展は期待できません。ロシアは。ウラジオストックから外洋にでるルートの確保のために北方領土は重要な軍事的意味があります。
潜在的にアメリカの海上封鎖の潜在的脅威があるロシアにとっての北方領土は高い軍事的価値があります。中国にとっての尖閣も同じです。しかし、日本は海岸線が長いのでこれらの島の戦略的・地政学的価値はほとんどありません。
また、既にロシアが実行支配して年数がたっているので既成事実下しているという点もあります。北方領土にはロシア人が住んでいます。これを追い出すことはロシア国内の世論の支持を得られません。そういう判断をすればロシア政府の国内での支持が落ちます。そういう政治的な価値もあります。
一方、日本にとって、北方領土はそれほど大きな経済価値はありません。漁業権などは相対的には微々たるものです。ここに生活の基盤のあるロシア人を追い出して、人口減の日本から新たに人が、わざわざ寒くて仕事もない北方領土に移住を希望すると考えるのは非現実的です。
日本にとっての北方領土の価値は、右翼の感情的利益ぐらいしかありません。
もっとも、アメリカにとっては、北方領土は重要な価値があります。北方領土を抑えればロシアを海上封鎖できるという地政学的利益もあります。また、抑えることができなくても、ここを紛争の火種にすることで、日本に型落ちのモンキーモデルの武器をぼったくり価格で売りつけることができるといううまみがあります。
アメリカは、同盟国の隣国との対立を煽り、防衛の不安を高め、助けてやるからいうことをきけというヤクザのようなマッチポンプをよくやっています。サンフランシスコ講和条約で尖閣や竹島など国境線をわざとグレーゾーンにしたのはこのためでしょう。
日本が北方領土を放棄すれば、ロシアと平和条約や経済協定を結ぶ進展が期待できます。そうなると、北方領土の漁業資源や地下資源を共同開発できます。LNGよりはるかに安価なガスパイプラインをサハリンから北海道にひけます。わざわざコストをかけて液体化し、アメリカからガソリンを大量につかって遠路はるばる太平洋を横断して運んでくる必要はありません。液体を気体に戻すのにもインフラなどのコストがかかります。パイプライン輸送ならコストが何分の一ですみます。
道路や鉄道などのインフラはもう飽和状態で大した経済効果は期待できませんが、ガスパイプラインをロシアから引き、国内に張り巡らせる公共投資なら投資効率が高くておおきな経済効果があります。住友金属などのメーカー、建設業も潤いますし、一部の地域、一部の企業だけでなく日本全土に恩恵があります。もちろん、ロシアと関係を改善することによって無駄な防衛費の節約ができます。ほとんど同じことは尖閣にもいえます。
北方領土や尖閣を放棄してロシアや中国と組めば、アメリカとの関係は悪化します。しかし、日本は、遠いアメリカよりも隣国であるロシアや中国を選ぶことが国益にかなっています。
ロシアと組めばアメリカよりも格安なエネルギーを得られます。中国と組めば、構造的に趨勢的に衰えるアメリカ市場の代替として成長が当分は巨大消費市場での大きなシェアを確保できます。
そして、安全保障の問題も解決し財政を助けます。
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