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2014年03月10日(月) 田崎 史郎
来年度予算案がハイスピードで衆院を通過した2月末、安倍晋三首相は今国会閉会後、秋の臨時国会が召集されるまでの間に内閣改造・自民党役員人事を行う意向を表明した。
人事を実際に行う半年も前にその意向を明言するのは異例だ。その意図が今月下旬の予算成立後に取り組む集団的自衛権の見直し、原発再稼働、環太平洋連携協定(TPP)交渉が大筋合意した場合に生じる党内調整を、人事権をちらつかせることでスムーズに運ぼうとすることにあるのは明らかだ。
閣僚ポストは18だが、副大臣25、政務官27、さらに国会で自民党に配分されている委員長や自民党の役員・政調部会長ポストの人事も同時に行われるので、当選1回議員を除く中堅・若手議員のほとんどが対象になる。
ポストに就くのを早々にあきらめている数人を除く大半の議員は安倍の目を気にせざるを得ない。この時期に人事を断行する考えを示す効果は絶大だ。
■菅、甘利、麻生、岸田、石破は留任の線
人事の中身について、安倍は一切漏らしていない。ぎりぎりまで言わないことで競わせるのは、どの組織のトップでも働かせる知恵である。だが、その組織の運営実態、構造、目標、組織を取り巻く状況などを見抜くならば、代える、代えないの区別はつく。
安倍政権の根幹はアベノミクスという言葉に象徴される経済だ。景気回復の実感に差はあっても、景気、くらしが良くなるかもしれないという希望を抱かせていることが内閣支持率を下支えしている。だから、支持率は特定秘密保護法の強行をきっかけに下がっても回復し、50%を超す高止まり状態を維持している。
そう考えれば、さまざまな内政問題を調整する要となっている官房長官・菅義偉、アベノミクスを理解し推し進める副総理兼財務・金融相の麻生太郎、経済財政担当相・甘利明は代えられない。甘利が昨年暮れ、「舌がん」を患った際、最も心配したのは安倍だった。安倍は甘利に財務省寄りとなることもある麻生をけん制する役目を与えている。
安倍が経済に次いで力を込めているのが外交だ。積極的平和主義を掲げ、首脳外交を激しく展開している。壁にぶつかっている対中、対韓外交も含め、安倍の意のままに動いている外相・岸田文雄は代えづらい。
党役員では、幹事長・石破茂の留任も確実だ。安倍のライバルであり、「ポスト安倍」の有力候補だが、石破は党のカネを使って手勢を増やすようなことはせず、安倍に忠誠を尽くしている。安倍の側近(複数)は石破留任を断言している。
つまり、菅、甘利、麻生、岸田と石破の計5人は代わらないだろう。言い換えれば、この5人以外の閣僚、党役員は交代する公算が大きい。
■7月か9月か
人事の時期は7月か9月か、まだ固まっていない。今国会の会期末は6月22日。同日以降、臨時国会が召集される見込みの10月までの間、安倍は時期を自由に選べる。
ただ、8月はお盆休みがあり、天皇陛下も静養されることから7月か9月ということになる。安倍は先月末、自民党参院議員との会合で「通常国会が終わってただちにやるか、少し時間をおいて臨時国会前にやるか、悩んでいる」と語っている。
7月に行えば、新閣僚が2015年度予算の概算要求から携われるほか、臨時国会を前に勉強する余裕もできる。ただ、集団的自衛権の見直しで最大の難関と言える公明党との調整がいつ決着するのか、まったく見えない。決着までの間、人事というニンジンをぶら下げておいた方が自民党内の反発は収まりやすいと考える可能性もある。
「人事カード」は時の首相にとって、与党議員を操る最大の武器だ。それを安倍は予算案の衆院通過段階から使い始めた。安倍の用意周到さがうかがえると同時に、これから直面する課題の重さを表している。
(敬称略)
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