http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/595.html
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だからといって、脱原発を安倍首相に委ねればいいという話でない。
まわりからの“説得”を受けて「原発維持派」に変節する可能性もあるが、安倍首相は、一昨年秋の自民党総裁選で脱原発依存を公約に掲げて当選した政治家である。
そして、原発プラントの輸出促進活動に精を出してはいるが、今のところ、安倍首相が脱原発の旗を降ろしたようには見えない。
転載する記事も、脱原発依存派らしく再稼働を急がない安倍首相へのいらだちが隠せないものである。
転載する記事の主である日経新聞社もそうだが、原発維持派メディアは、安倍首相をなんとしても原発維持派に仕立て上げたいようだ。
12年末の総選挙と13年夏の参議院選挙の結果を考えるなら、脱原発を願う勢力は、安倍首相を原発維持派と決めつけるより、公約である脱原発依存の政策を具体化するよう安倍首相に迫るほうが合目的的だと思う。
※ 参照投稿
「脱原発派の安倍首相が脱原発を宣言できないワケ:細川氏への期待は安倍首相の“脱原発依存”意識サポート」
http://www.asyura2.com/14/senkyo161/msg/191.html
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進むか 原発再稼働
審査停滞 結論待ったなし
昨年7月に始まった原子力発電所の安全審査が遅れている。昨年末には再稼働第1陣が決まるとの期待があったが、8カ月たった今もメドが立たない。全国の原発50基すべてが止まった昨年9月から半年。電気料金の再引き上げを検討する電力会社も出始めた。結論は待ったなしだ。
「その姿勢はいかがなものか」(原子力規制庁の桜田道夫原子力規制部長)。5日、原子力規制委員会の関西電力大飯原発(福井県)審査会合。規制委の指摘に関電幹部は天を仰いだ。
再建の生命線
3期連続で最終赤字となる見通しの関電にとって原発再稼働は再建の生命線。「今度こそ突破したい」との決意で5日の会合に臨んだが規制委は「地震動の解析が十分でない」(島崎邦彦委員長代理)と素っ気なかった。
規制委は2月19日、審査で先行する原発を1〜2つ選抜し優先審査する方針を示した。5日の会合では九州電力の川内原発(鹿児島県)の審査が前進したが、結論は先送り。審査を申請している残りの15基の扱いは大飯を含め一進一退だ。ある電力担当者は「どこまで何をやればいいのか、出口が見えない」とこぼす。
「半年程度で結論を出したい」。規制委の田中俊一委員長は昨年7月、再稼働審査の開始にあたってこう語った。だが、審査が大幅に長引き、規制委のさじ加減が電力会社を翻弄する状況が続く。
「今さら言われても」。北海道電力幹部は漏らす。昨年7月に審査を申請した泊原発3号機について、緊急時に原子炉を冷やす装置の予備配管がないという致命的な問題点を規制委が通告したのは審査開始から半年以上過ぎた2月初旬。配管工事は「数カ月では終わらない」(北海道電)。今年6月を想定していた泊3号機再稼働は逃げ水のように遠のいた。
関電の場合、大飯と高浜原発(福井県)の稼働が遅れれば、1日10億円の利益が吹き飛ぶ。「効率的な審査と速やかなご判断をお願いしたい」(関電の八木誠社長)。行きつ戻りつの審査に電力側の不満は強まる。
再値上げ浮上
規制委にも言い分がある。日本は火山や活断層が多く、学問的に定説が確立していない世界で判断を迫られる。せめて大量のデータや資料で審査の死角をなくしたいと思うが「必要な書類が電力会社から出てこない」(田中委員長)。ためらう規制委と、当局の出方を見ながら情報を小出しにする電力。不毛なすれ違いが遅れを招いた。
結論の先送りは難しくなっている。「債務超過の可能性も否定できない」。川合克彦北海道電社長は2月中旬、電気料金の再引き上げを検討すると表明した。関電や四国電力でも「再値上げは不可避」との声が漏れ始めている。
全国の家庭向け電気料金は震災前と比べ約2割上がった。第一生命経済研究所によると、2012〜13年と同じだけの値上げが14〜15年にあれば、実質経済成長率は14年に0.1ポイント、15年に0.2ポイント下押しされる。永浜利広主席エコノミストは「4月の消費増税後の景気減速が長引く」と見る。
規制委がどんなに優秀でも、完全無欠の判断を下すことは極めて難しい。安倍政権は2月にまとめたエネルギー基本計画案で「原発再稼働を進める」と明記した。規制委が一定の結論を出し、安倍晋三首相自らが原発再稼働の道筋をきちんとつける時期が来ている。
[日経新聞3月8日朝刊P.1]
去りゆく企業 またひとつ
雪なお深い北海道小樽市東部の銭函工業団地。創業約80年の製鉄会社が9日、ひっそりと操業を停止する。新日鉄住金系の電炉メーカー、新北海鋼業の本社工場だ。
値上げで廃業
鉄鋼原料のくず鉄を溶かす時に大量の電気を使う電炉業は、原価の2〜3割を電気料金が占める。昨年9月からの電気料金上げが打撃となり「生き残りは難しい」(同社幹部)と判断。2月19日に事業停止の検討に入っていた。
原子力発電所の稼働停止が、企業の活動をむしばみ始めている。
1キロワット時の発電に必要な燃料費は原発が1円に対し、石炭が4円、液化天然ガス(LNG)が13円、石油が18円。原発を止めたことで燃料を年3.6兆円余計に輸入するようになった結果、全国の電力料金は上昇。特に、企業向けは3〜4割上がったとみられる。
いまの日本の電気料金は米国のおよそ3倍、中国の1.5倍。国際エネルギー機関(IEA)の長期予測は、電気料金の格差が残れば鉄鋼、化学など素材産業での日本のシェアは7%から2035年に4%に下がり、中国や米国が伸ばすと指摘する。
現実の動きはもっと早いかもしれない。
「アルミ製錬の二の舞いになろうとしている」。チタン製錬大手、大阪チタニウムテクノロジーズの西沢庄蔵社長は、1970年代のオイルショック後の電力料金高騰で業界各社が相次ぎ国内拠点を閉鎖したアルミニウム業の歴史にチタンの現状を重ねる。売上高の2割にあたる電気料金の上昇が響き、同社の今3月期の営業利益は前期の約6分の1に減る見通しだ。
航空機用として高い評価を受ける日本勢のチタン原料は世界シェアの3割を握るが、新興国企業との競争も激しい。今3月期に53億円の営業赤字に転落する見込みの東邦チタニウムは1月、サウジアラビアに現地企業との合弁で製錬拠点を新設すると決めた。決め手は「日本の半分以下」(杉内清信社長)の安い電力だった。
「東京電力は韓国より15%高くガスを買っている」。4月に東電会長に就く数土文夫JFEホールディングス相談役は、燃料部門の企業提携や割安な北米産シェールガスの導入を進め、年3兆円近くに膨らんだ燃料費の調達価格を2割程度引き下げることをめざす考え。
だが、シェールガスの導入は早くても17年。調達改革には時間がかかる。燃料費がかさむ火力発電に全体の9割を依存する現状を改めなければ電気料金は高止まりし、企業の競争力が揺らぐ構図が続く。
輸入10兆円増
昨年の日本の貿易赤字は前年比65%増の11.5兆円。化石燃料の輸入が震災前の10年より10兆円増える一方、輸出が伸び悩んだ。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「原発停止に伴う燃料輸入増は付加価値を生まない純粋な国富流出。足元の景気は回復しているが、日本経済の体力は日々弱まっている」と心配する。
「小樽がまた寂しくなる」。5日、小樽の新北海鋼業本社近くで出会った地元の初老の男性が嘆いた。原発再稼働には安全審査が最も重要だが、電気料金上昇のあおりで地域経済の担い手を失う悲痛もまた、日本が目をそらすことのできない現実だ。
古谷茂久、原田逸策、小山隆史、中村元が担当した。
[日経新聞3月9日朝刊P.1]
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