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2014年03月09日
安倍政権はアベノミクスなる経済政策で、一定の評価を受けた。「1、大胆な金融緩和、2、機動的な財政出動、3、民間投資を喚起する成長戦略」と云う3本の矢が売りだった。多分、経済に大きな影響を及ぼしたものは、(1)の大胆な金融政策だけだったことが、ほぼ衆目の一致する意見である。その景気の「気」を喚起することで、デフレ不況の閉塞感をブレーク・スルーしようと云う、心理的カンフル効果を目指していた。その目的は、円安と株高を誘発し、一時的景気浮揚の情勢を生み出した。
その中身が、海外資金による日本株の好調であったとしても、政府やマスメディア、金融関係企業らに、好景気に向かう日本経済の姿を印象づける効果はあった。しかし、6か月を経過したあたりから、株価の上昇は減速し、一進一退を繰り返し、現在に至っている。海外資金が、アベノミクスの(3)成長戦略が言葉だけである可能性が高くなったことで、流出の傾向を見せはじめた。その後の相場は、下げれば買い上がり、上げれば売りに出る、シーソーゲームが日々展開する相場になっている。参加者が海外投資家、日本の機関投資家、日銀政府系資金、個人投資家等々が、売ったり買ったりを繰り返しているキリモミ相場になっている。
大きな視点で現在の日本株式の相場観を言えば、投機筋資金と日銀政府系資金の攻防と云う見方が一番適切なのだと思われる。今回の日本株を取り巻く相場観は、個別銘柄を峻別する本来の株式売買ではなく、「日経225」を中心とする大雑把な売買の繰り返しの側面が強い。つまり、日本株で儲かるかと云う海外勢と、下落を封じ込めようとする政府側資金の神経戦になっている。その証拠ではないが、為替相場に連動した株価の推移が顕著な点である。現実には、為替の変動により個別企業では、長短があるわけだが、円安は株高、円高は株安のメカニズムだけが、有効に作用している。
明らかに、投機相場であり、買い支え相場となっている。問題点が多々ある株式相場だが、それでも、好景気に向かう日本経済の姿を印象づける効果はあったわけだから、評価しても良いだろう。勿論、政府側の資金が日本株を大量に抱えるリスクは、今後の日本経済に不透明感を与え、信頼に足る市場ではない印象を海外の投機資金勢に与えるリスクを包含している。最近になり、巷で不安視されている、貿易赤字の拡大や経常収支の悪化は、好評価だった金融政策の評価を奈落の底に叩き落とす評価に変わっていく可能性を秘めている。
(2)の機動的な財政出動は、そのターゲットはコンクリート箱もの公共事業依存に偏った相変わらずの財政出動パターンであり、新味は殆ど見いだせず、一部産業に好況を齎しているが、重大な欠点が発露する矛盾が目立ってきた。単なる箱もの公共事業が将来にプラスになる公共事業と位置づけることが困難な事態も惹き起こしている。この問題が、今日のテーマなので、詳細は後述する。
(3)の民間投資を喚起する成長戦略の行方は混とんとしている。国家戦略特区など、規制の撤廃などを目論んでいるが、主に労働者を如何に安く都合の良い労働力として利用するか、と云うテーマに絞られた規制の撤廃が目立ち、既得権益の牙城に迫る要素は、悉くネグレクトされている印象の強いものになっている。つまり、海外からの日本投資が安易に行える素地つくりの要素が強いのだが、労働者の使い勝手が企業に有利になるだけの成長戦略で、投資資金が日本に向かうことはないだろう。霞が関組織が自己権益の枠組みを半部程度手放す改革の姿を見せない限り、投機資金は流れてきても、投資資金は流れてこない。
今日のテーマは、(2)と(3)が合体することで起きる問題点の一つである。その他にも、問題点は多岐にわたるであろうが、本日は建設業における「人手不足」に焦点を当てて、アベノミクスの問題点を考えてみようと思う。さる1月24日に建設業への外国人活用拡大を目指そうと云う政府の動きが報じられた。以下は、日経の記事だ。ただ、筆者はこの記事から、異なるメッセージを感じ取った。「あぁ、移民解禁のシグナルだな?」という事である。直近の理由づけは、報じているような問題解決だろうが、大目標に「移民政策導入」の意図を十分感じさせる。
少子高齢化の人口構成の一大弱点、生産人口の補充は、国家的テーマであり、大きな目で見れば、税金を支払う人口の減少が、国家の力を減少させるのは当然なのだから、手段を選ばずでれば生産人口の補充、納税者の増加を望むのであれば、移民こそが、最後の手段であることは、薄々感じている事政策の一つである。ただ、安倍支持者の多くの人々の思惑とは、あまりに敵対するような人口政策なので、「移民」と云う言葉を絶対に口にしない欺瞞政策を考え出したのだろう。
ただ、今にして思えば、東日本の復旧復興の遅れも、オリンピックの無理矢理招致も、公共事業の入札不調も、この「移民」に向かう大きな政策実現のプロローグの挿話として、国民世論を誘導するには、中々複雑な手である。無論、考え出したのは官僚だろうが、おそらく、このプロローグありきではなく、途中経過から思いついた「移民政策」への導入部に利用することを考えついたのであろう。
≪ 建設業の外国人活用拡大を検討 政府、人手不足に対応
政府は24日、人手不足感が強い建設業で外国人を活用できるようにする緊急措置を検討する閣僚会議を開いた。建設業の人手不足は東日本大震災から の復興需要に加え、2020年の東京五輪に向けたインフラ開発で一段と強まる見通し。技能取得で訪れる外国人労働者の実習制度の拡充などを検討し、15年 度からの受け入れ拡大を目指す。
菅義偉官房長官は会議で「即戦力となりうる外国人材の活用を拡大していくことが極めて重要だ」と述べた。
具体策として、最長3年に限り外国人を受け入れられる技能実習制度の期間延長や再入国の容認、受け入れ人数枠の拡大を検討する。不法就労の防止も踏まえつつ、賃金の引き上げや社会保険への加入といった就労環境の改善も議論する。
建設業の担い手は00年代の公共事業削減に伴って減少。総務省によると、とび職や鉄筋工、左官など技能労働者は12年時点で335万人と、ピークの1997年から25%減った。特に若手の建設業離れが深刻だ。 政府は少子高齢化で働き手が減ることをにらみ、6月にまとめる新成長戦略の検討方針に技能実習制度の拡充を盛り込んだ。製造業や農漁業での同制度を介護分 野などにも広げることも検討する。24日の閣僚会議は、このうち人手不足が逼迫する建設業で先行的に検討していく方針だ。
復興を急ぐ被災地の現場では、人手不足から人件費が大幅に上昇。資材費の高騰も重なって公共事業などで応札者が決まらない「入札不調」が相次いでいる。 ≫(日経新聞)
筆者の「移民政策導入」に関する考えは、今回は留保する。その影響が、少子高齢化対策や勤労のミスマッチ解消と云う問題を解決させる弥縫策にはなるだろうが、国家や国民の努力や思考を飛び越えて、一気に問題を解決しようとしているのではないか、と云う横着さを感じるので、現時点では「移民政策導入」を、単に効果が見込めるからと云う理由で、賛意を示すわけにはいかない。少子高齢化、財政の逼迫問題を抱えている国が、生き残りの為に、西洋医学な手術や投薬も選択に一つだろうが、東洋医学の選択も捨てがたいと思考している。個人的趣味からは、当然後者である。
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