http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/560.html
Tweet |
ブログ「プロメテウスの政治経済コラム」より
http://blog.goo.ne.jp/e-hori/e/cd2ea2164943631beab55edbf855e23b
NHKは、受信料制度によって視聴者が真面目に財政面での自主性を保障しているにもかかわらず、何故、視聴者の要望に応える公平・公正な「公共放送」という仕事ができないのか。何故、NHKの報道は、しばしば政府の意向に沿う世論誘導放送となるのか。NHK問題とは、一言でいえば、建前としての「公共放送」性と実態としての「国営放送」性とにある矛盾である。そして、この矛盾を覆い隠すイチジクの葉の役割を果たしているのが受信料制度である。
NHKは、自己の仕事について次のように説明する。
<公平・公正な立場で放送の自主性を保ちながら、テレビやラジオの放送を通じて国民の生命・財産を守り、公共の福祉、文化の向上に貢献することが、NHKの基本的使命です。
NHKの行っている「公共放送」という仕事は、政府の仕事を代行しているわけではありません。「国営放送」でも、「半官半民」でもありません。NHKが自主性を保っていくためには、財政の自立を必要としますが、それを実現しているのが受信料制度です。NHKの運営財源は、すべての視聴者のみなさまに公平に負担していただくように放送法で定められています。政府のほか、財界などいかなる団体の出資も受けていません(政府から支出されているのは、政見放送の実費や国際放送の一部の実施経費のみです)。受信料制度によって財政面での自主性が保障されているからこそ、NHKは、視聴者のみなさまの要望に応えることを最大の指針として放送を行うことができます。>
NHKが「公共放送」であると言える唯一の拠り所は、視聴者が、NHKは公平、公正、中立な報道を行うものと信頼して受信料を支払い続けている事実だけである。視聴者がNHKの運営財源を負担しても、NHKの報道が自動的に公平、公正、中立になるわけではないのは自明である。組織人事、事業計画、予算など組織運営の実際が、政府や国会の多数党に支配される仕組みになっておれば、「政治的に公平であること」「報道は事実をまげないですること」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」などを遵守することは、単なるお題目となるほかなく、それを実行することは、民放よりもかえって難しいのが現実である。
NHKの最高意思決定機関は経営委員会である。経営委員会の委員定数は12名である。内閣総理大臣が国会の同意を得て任命する。NHKの実際の運営において責任を持つのは、NHK会長、副会長、および理事から構成される理事会である。理事は7人以上10人以内と定められている。NHK会長は経営委員会が任命し、副会長および理事は、NHK会長が経営委員会の同意を得て任命する。
つまり、NHKの人事権の頂点に位置するのは内閣総理大臣である。
これをNHK職員の側から見ると、自分が理事としてNHKの役員になれるかどうかを決定するのはNHK会長だが、同時に経営委員会の同意が必要だ。NHK会長は経営委員会が任命し、経営委員会の委員は内閣総理大臣が任命する。つまり、NHKのなかで、自分の出世、評価の向上を望むなら、内閣総理大臣(=政府・与党)のお気に入りでなければならい。NHKの人事権の仕組みは、基本的に政権批判ができないように仕組まれているのだ。
NHKの毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画は(受信料をいくらにするかも当然含まれる)、総務大臣に提出することが義務付けられている。
そして、これらは内閣を経て国会に提出され、国会の承認を受けなければならないこととされている。
逆に言えば、「みなさまのNHK」と言いながら、放送受信料を払う視聴者の声とは無関係に予算や事業計画を立て、政府と国会の承認を得られれば、何の問題も生じない。政府・与党や多数党の国会議員の政治介入を容易に許す仕組みがカネの面でもつくられている。
政府・与党の政治介入は、時の政府のトップ=内閣総理大臣の個性によって振幅に差がでるのは当然である。今回の安倍内閣の人事はあまりにも極端であったために大騒動となったが、今の仕組みのままでは、NHKに建前としての「公共放送」性を期待するのは、相当の無理がある。とすれば、「公共放送」性の唯一の拠り所となっている受信料制度も今のままでいいはずがない。
政府や財界から独立した真の「公共放送」が必要と思うならば、それに相応しい制度設計の抜本的な改変が必要である。そもそもマスコミとは所詮、権力者のプロパガンダに利用されるものだと割り切れば、マスコミの情報だけに頼らない情報リテラシーが求められる。
NHK問題は、一時的な受信料凍結や拒否で片付くような簡単な問題ではない。いずれにしても、NHKは公平、公正、中立な報道を行うものと信頼して受信料を支払い続けるのは、愚かなことである。私見としては、NHKとの受信契約をすべて解除して「公共放送」か「国営放送」かについて一から議論を始めるときである。NHK放送を視聴しない、視聴したくない、必要と考えない市民に受信契約や受信料支払いを強制することは何人もできない。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK162掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。