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2014年03月08日
朝日が、賃上げから見放され、おいてきぼりを食う非正規労働者の問題を、短絡的に取り上げているが、いずれ38%の非正規雇用率は5割、6割になる傾向があるので、何時までも、置いてきぼりを喰らう心配はないのだと思う。まずは、話のきっかけとして、記事を読んでもらおう。
≪ 非正社員、遠い賃上げ 「ベア、まるで別世界の話」
「賃上げ春闘」といっても、もっぱら正社員の話だ。契約社員やパートといった非正社員には厳しい交渉が待ち受ける。多くは労働組合に入っておらず、春闘を縁遠く感じる人も。働き手の4割を占める人たちが、賃上げの流れから取り残されかねない。
■働き手の4割置き去り
千葉県のパンフレット編集の会社で働く契約社員の男性(53)は「世間ではベアの言葉が躍るが、まるで別世界の話。賃上げどころか雇用が心配だ」と話す。
2002年7月から勤めるが、今の上司は不在がち。正社員と毎週、校了日の「ヤマ」を越える日々だ。仕事は正社員と同じなのに、自分の給料は上がらない。退職金もない。会社に泊まり込み、長女(14)ら家族が待つ都内の自宅に帰れないことも。「契約を更新してもらえるか、何度も不安な日を過ごした」
11年夏、非正社員の仲間と2人で労組をつくった。過去2回の春闘では、賃上げや無期雇用への転換を要求した。会社側は交渉に応じたものの、「ゼロ回答」だった。今回は、退職金制度の導入や4%の賃上げなどを求めるが、「会社がきちんと対応するか、読めない」と話す。
北関東で市場調査などを手がける会社の契約社員の女性(43)は、今回が初の春闘だ。非正社員の仲間と労組をつくったのが昨年春。先月末に5%の賃上げなどの要求書を提出した。会社が来年秋から、契約社員の待遇を下げる方針を打ち出しているからだ。とはいえ、女性は「交渉相手と直接仕事で接するため、気まずい」とうちあける。
非正社員の数は年々増えて約2千万人。労働者全体の38%にのぼる。賃金は正社員よりも低く、長年勤めてもほとんど上がらない。
それでも、労組に加わって春闘にのぞむ人はわずかだ。連合によると、加盟労組に入っている非正社員はわずか80万人程度という。
非正社員の労組づくりを支援する派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は、「多くの非正社員は、会社との関係悪化で職を失うことを恐れ、待遇改善の要求すら出せない」と指摘する。
派遣社員の場合、派遣先企業に団体交渉を求めても、会社は直接の雇用関係にないことを理由に応じないケースが少なくない。
連合は今春闘で「時給30円アップ」「だれでも時給千円」などの統一要求を掲げるほか、今年から古賀伸明会長が全国で非正社員との対話集会を重ねる。
ただ、非正社員の間には「労組は正社員が優先」との見方がなお残る。九州北部で日本郵便の非正社員として働く男性(37)は、「先輩から『労働組合は非正規に冷たいから入っても損だ』と言われた」。盛り上がる春闘を横目に、仕事に追われる。 ≫(朝日新聞:豊岡亮)
安倍政権は、一過性の現象の対応に追いまくられ、経済学上の原則、景気循環の原理を無視する詭弁を弄しているわけで、トンでもなく間違った言い訳、アリバイ作りを国民に語り、経済界にも要求すると云う茶番を演じている。このような、矛盾に満ち、論理性のない詭弁的政策が曲がりなりにも、実行されると、正規の労働者自体が、自分で自分の首を絞めるような皮肉に出遭うことになる。取ってつけたような、国家戦略特区は、グローバル展開中の企業の活動がより優しくなることが目的なのだから、当然、人件費の割合が低下する。つまり、安倍が「景気回復の暖かい風を全国津々浦々まで届けたい」と云う目標自体が誤りだと指摘し、それは方便にすぎないと白状するような国家戦略特区なのである。
現在の世界的グローバルな枠組み内で生きる以上、競争に打ち勝つには、国家戦略特区的な傾向にならざるを得ないわけで、景気回復の実感を津々浦々まで行き渡らせ、景気の好循環をつくると云う幻想は、あり得ない。
◆労働者への企業利益分配が増えると云うことは、企業が何らかの形で、グローバルな価格競争に不利に働くので、労働分配率は、原則下げる方向のベクトルが働く。
◆この労働分配率を国策的に増やそうとすれば、企業の競争力は低下する。最終的には、企業存続の危機になる。当然、企業は、それを避けるために賃金を抑えざるをえない。しかし、国策と異なる。そこで、企業は一層の生産工程の合理化に乗り出す。その一つが、正規雇用の大幅な見直しに向かう。
◆正規労働者に代わって、自動化可能なものはロボットにチェンジされるが、多くは、非正規雇用の割合を増やす方向に動かざるを得ない。現在、38%の非正規の割合が5割を超えることも十分考えられる。
◆つまり、日本の勤労体系のモデルがチェンジすることになり、非正規労働が、勤労者のマジョリティになる。ということは、非正規労働者中心の社会システムを構築しないと、社会自体が回らなくなるわけで、国家がそれで成り立つわけはない。そうなると、非正規労働が常識の社会をどのように維持するか、そう云う議論が潮流になる。
◆おそらく、現在の社会保障制度そのものを根本的に変えていかないと、社会秩序が保てなくなる。つまり、ワーキングプワーの群れが、国民の大多数を占めた時、国は制度変更をせざるを得なくなる。半数以上になった非正規労働の問題点をケアするシステムの構築が行われなければ、国家秩序は崩壊する。
◆当面は、富の取り崩しで耐えていた国民の生活も、いずれは破たんする。まさか、そこまで放置することは社会秩序が崩壊し、安全安心な日常生活そのものが崩壊するわけだから、必ず手を打つ。おそらく、非正規が雇用を失った場合の期間に対する手当てを充実される政策を打たざるを得ない。つまり、非正規雇用を補足するシステムの充実と、失業が発生した場合のケア体制は作らざるを得ない。
上述の推論は、ひとつの事例に過ぎないが、非正規が労働者の半数を超えた時点で、国家は、その対策に甚大な財政出動を要求される。おそらく、上述のような政策を打つだけの余裕は日本にないだろう。選択としては、正規雇用制度の撤廃を求める声が生まれ、社会保障全体の縮小も議論されることになるだろう。非正規の失業時のケア制度は出来るが、そのケア内容は、漸減の方向に向かうのも当然だ。
このような展開で、現実のマクロ経済事情が動かないとしても、マクロ経済はシーソーゲームのようなものなので、どのような選択をしても、同じような副作用を生み出すので、社会不安の増大などのと云う生易しいものではなく、日本人の社会生活の秩序維持に、国家財政は徹底的圧迫を受け、更なる社会保障の削減を迫られる。当然、国家全体の消費力は冷え込み、元気だった内需も、見る影もない状況に追い込まれる。
我々が、最も注意深く考えるべき経済事情は、給料が増えるとか、福祉が充実することではないのだ。安倍晋三が、現在喧伝し強弁している「全国津々浦々論」はグローバル経済下では、成り立たない理屈である。給料が増えたからと云って、給与者がモノを買うかどうかの保証もないし、日本製を購入するかどうかも判らない。現在でさえ、相当の海外製品が買われているわけであり、且つ日本企業の海外拠点からの逆輸入も流入するので、日本の製造業の製品が内需のメインストリームを闊歩できるとは思えない。
グローバル経済下では、製品に組み込まれる部品の汎用化が顕著で、組み立て工賃が安いところの製品が価格競争で有利になる。特別な権利(特許)を持つ独自の製品を開発するか、独自のデザインを考案するか、そのような方法でないと、常に価格競争に晒される。行き着くところは、安価に製品を製造できなければ、その国の輸入数量だけが伸びるわけで、輸出は競争力を失う。既に輸入超過は顕在的であり、貿易収支は構造的に赤字体質になっている。
日本の製造業を助けようと、もがけばもがくほど、泥沼の深みに引きずり込まれるわけで、円安政策は、軽い風邪だった日本経済を、肺炎以上の重篤な病に導くことは、ほぼ確実なようだ。安倍晋三が選択する道は、どう考えても「国家戦略特区」のモデルに、日本全体を覆い尽くすしか選択はなくなるだろう。要するに、「1%対99%の世界」を実現することになる。毒を喰らわば皿までもの選択以外、グローバル世界で勝ち抜く道はないのだ。
水が低きに流れるように、生産拠点が移動するか、乃至は国内で安価な労働力を手にするかどうかの問題になる。勿論、ひっきりなしに、世界を席巻するような新たな技術や新案を導き出し続ければ救われる道もあるが、こういう望みに国家経済の解を求めるのは妥当ではないだろう。森永卓郎か誰かが言っていた「年収200万円生活のすすめ」は今や手の届くところまで来ていると言っていいだろう。つまり、グローバル経済下では、労賃は低きに流れるわけで、誰がイイの悪いの、の問題ではなくなっている。
日本はグローバル経済下でやっていく以上、このような現象が起きる事、国民には腹を決めてもらうしかない。日本の製造業を経済のメインストリームに置いてく限り、この原理原則から抜け出すことは不可能だ。官僚組織のつまみ食い体質が良いとは言わないが、このマクロ経済全体で見る限り些末な問題である。問題は、国内の輸出製造企業を護送船団的に擁護しようと云う思考を変えない限り、日本経済は日々衰退するしかないだろう。
ここで考えるべきは、グローバル経済下の価格競争の戦禍真っただ中に、飛び込む選択が正しいのかどうかと云う問題である。たしかに、製造業や公共事業(土木建築)の雇用のすそ野が大きいのは事実だ。しかし、そのすそ野が大きいからと云って、それに頼ることが、グローバル経済下では国力を失うことであると云う視点が欠かせない筈なのだが、どうもそのように思わない人が多いようだ。筆者にとっては不可思議現象だ。日本人の特性として、このグローバル経済は不向きだと思う。
中央集権的体制と地域独立体制の混在した形態が、日本人には向いているのだ。いまだに、日本人の心に「おらが国意識」が厳然とあるのは、日本民族のDNAであり、そのNDAが発揮できる国造りを考えるのが英知であり、グローバル経済に打って出るのは、狩猟民族の得意分野の土俵に上る愚挙であり、勝てるわけがないか、勝つために国民生活や国家財政を犠牲にする羽目に陥る。大局的に見て、この思考にほぼ間違いはない。個人的感想だが、明治維新こそ、日本の歴史の大誤謬であり、新幹線による日本の金太郎飴国家像が、とどめを刺したと云う感慨が強い。
折角、お天道さまが、日本人に気づきのチャンスを天然現象と人災の激甚をもって知らせてくれたのだが、多くの人は、その意味を深く受けとめず、復旧復興に向かおうと努力している。局地的な観測だと、そのように思うのはムベなるかなだが、国家の指導的地位にいる者が、その感情に付和雷同しているようでは、到底、お天道さまの苦渋の選択も無駄骨と云うもののようである。
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