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[CML 030101] 選挙後の細川護煕融和政策
林田力 info at hayariki.net
2014年 3月 7日 (金) 23:40:47 JST
http://list.jca.apc.org/public/cml/2014-March/030105.html
私は「細川護煕融和政策」と題して選挙中の融和政策の功罪を論じた。宥和政策に消極的な評価をしているが、表向きは融和的な姿勢になることを否定するつもりはない。それは選挙カーが出会ったら相手候補に挨拶するようなマナーである。厳格なルールのように全支持者が真に受けて行動を規定すると、傷つくことにもなりかねない。より重要な点は選挙後である。今度は共闘できる人々とは積極的に共闘すべきである。議論を精緻化するために細川支持者を類型化して分析する。
第一に勝てる可能性の高い候補として細川氏を支持した層である。細川氏の方が勝てる可能性が高いという分析力には言いたいところである。直近の選挙(都議選、参院選)では共産党は民主党よりも得票数が多い。可能性の高い候補とするならば、共産党を軸に考える方が穏当である。
細川氏の優位性は首相経験者であることであるが、元首相が首長選に出馬するにしては軽かった。これは私が育った埼玉県の経験に基づく。埼玉県では革新都政崩壊後も畑和の革新県政が続いていた。5期も続いた革新県政に止めを刺した人物が土屋義彦・参議院議長であった。土屋氏の出馬に際しては「三権の長を務めた人物が万が一にも落選したら大問題」として水面下で様々な動きがあった。
結局、畑氏は談合疑惑を取り沙汰され、不出馬となった。これは権力の怖さを感じた出来事であった。また、革新というだけで無条件に支持できるものではないことも認識した。管見は宇都宮選挙を革新共闘・革新統一など革新のキーワードで位置付けることに消極的であるが、この出来事も影響している。
土屋氏の動きに比べると、細川氏は非常に軽い。元首相が出馬するという重みと本気度が全く伝わらない。宇都宮陣営は一本化要求によってリソースを消耗させられたが、左翼知識人や市民運動家が叫んでいるということは、細川氏が本気で動いていない証拠である。細川氏が本気ならば左翼知識人や市民運動家任せにはしない。
細川氏を勝てる候補とする分析力には疑問を付けたいが、純粋に勝てる候補という理由で選択したならば、そのような人々とは政策や運動論で対立はない。選挙後は仲良くやることに何の障害もない。但し、このように鷹揚な気持ちになれる理由も宇都宮氏が次点になった故である。次点の結果は細川陣営と手をつないで選挙戦をしたことで達成したものではない。仲良くだけでは済まないところがある。
第二に「脱原発さえ達成すればいい。他の政策は知らない」という脱原発至上主義である。彼らとも脱原発運動では共闘することに障害はない。しかし、それは日本共産党の一点共同と同じレベルのものでしかない。何しろ福祉政策や住宅政策、貧困やブラック企業対策の取り組みには期待できないためである。この一点共同路線は、細川支持者を特別扱いすることにはならない。田母神支持者とも、いじめ問題や放射能詐欺業者撲滅では一点共同の可能性はある。
脱原発至上主義に対しては「他の政策はどうでもいいとの主張ではなく、脱原発をブレークスルーにして社会経済構造を変えていく主張」との反論があるが、これも同じである。直面する貧困や福祉の問題を脇に置いてしまうことには変わりがない。改革は地道に一歩ずつ進めるもので、「何らかの構造転換で一気に問題が解決できる」は幻想である。脱原発小児病という批判が該当する。
実は脱原発運動での共闘でも矛盾と対立を包含する。宇都宮流と細川流には様々な相違がある。マルチイシューとシングルイシューの違いがある。また、運動の前面に市民を出すか、有名人を出すのかの相違もある。有名人を出すにしても訴求する世代にギャップがあった。この差異は脱原発運動に取り組む上でも路線対立となり得るものである。もし細川氏や小泉純一郎氏が都知事選挙後に脱原発運動の先頭に立つような姿勢を見せたならば、細川氏や小泉氏を担ぐ脱原発運動グループができ、別々の道を歩むことになっただろう。しかし、そのようにはなりそうもない。脱原発運動の分裂が避けられることは喜ぶべきかもしれないが、運動が分裂すると細川支持者の方が根無し草のようになりかねない。そのために昔からの同志という顔をして近付いてくる人々も出てくる。その厚顔さには要注意である。
第三に日本共産党嫌いの人々である。思想的には別カテゴリーに分類するが、脱原発至上主義者と重なることが多い。彼らの共産党アレルギーは運動に分断と排除を作り出す。彼らの共産党への思いには理解できる点もあるが、共産党へのアレルギーを持たず、むしろブラック企業批判など最近の傾向を評価している立場としては、共産党か共産党嫌いの一方を選べと言われたら、前者を選択する。それが勝てる可能性の高い候補の選択にもなる。実際、旧世代的な左翼が細川陣営に流れたことは、細川氏の贔屓の引き倒しになった。
第四に新自由主義的脱原発に期待した人々である。彼らとは積極的に話し合える。あまり知られていないが、宇都宮氏も希望政策フォーラムで発送電分離を主張した。電力自由化による脱原発について一緒に話し合いたい。
第五に環境政策や脱成長という経済成長・発展・拡大一辺倒に対するオルタナティブを期待した層である。その政策が本当に具体的な中身のあるものか、民主党の「コンクリートから人へ」のようにならないかは吟味する必要があるが、その主張自体は素晴らしいものである。一緒に議論し、学べるところは学びたい。
第六に選挙戦終盤に細川陣営に助力し、脱原発至上主義を改めて生活密着課題を公約に掲げるように転換した民主党関係者などである。実は選挙終盤では細川護煕氏は生活密着課題などについても、それなりの発言をするようになった。たとえば「解雇規制の緩和、いわゆる解雇特区については、慎重に検討するべき」と発言している。宇都宮氏に優位性がある貧困問題についても、湯浅誠氏との対談動画をインターネットで公開した。
細川陣営にとっては残念なことに序盤の脱原発至上主義が尾を引いて、選挙中は根本的なイメージ改善にはならなかった。脱原発至上主義が批判され、追い詰められて仕方なく言い出したことで、本気で取り組む気はないものと受け止められた。対立候補の側としては、そのように批判する性質のものである。一方で細川氏を正当に評価するならば終盤の路線変更を無視することは公正ではない。
この路線変更は民主党関係者などが参入し、生活密着課題を公約に掲げるように働きかけた結果である。彼らは脱原発至上主義とは相違する。湯浅氏は参院選では今回の都知事選で脱原発至上主義に連なった層からバッシングを受けたほどである。
選挙戦総括の中には彼ら後から参入した人々を混乱の張本人として敗因とする見解もある。しかし、彼らこそが細川陣営立て直しの立役者である。細川氏を脱原発至上主義の論外な候補者から、地域に密着した人々が支持できる、まともな候補者にした。 管見は脱原発至上主義をもって細川陣営を批判するが、それは脱原発至上主義への批判である。細川陣営を脱原発至上主義から転換させることに貢献した人々への批判にはならない。むしろ、問題意識は等しい。この路線を細川陣営が最初から採っていたならば「よりまし候補」の一本化論にも説得力が生じていた。地域で日常的に政治活動をしている彼らとは積極的に連携すべきである。
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林田力Hayashida Riki
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