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安倍晋三首相は、平成25年12月26日に靖国神社に参拝し、「戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました」と発言しました。
首相による靖国神社参拝の問題は、憲法違反の問題と、外交問題の主に二つの側面がありますが、ここでは、憲法違反の問題について考えてみましょう。
日本国憲法の第二十条には、「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」とありますので、内閣総理大臣の地位にある者であっても、私人として憲法上は信教の自由が保障されていると考えられます。したがって、靖国神社に参拝した理由を聞かれて「個人の信仰上の理由による」とだけ答えるならば、靖国神社に公務としてではない参拝をおこなう行為そのものは憲法違反ではありません。たとえ参拝日が8月15日であったとしても、憲法上の問題はありません。参拝がもたらす政治的影響に対する責任は別の問題です。
しかし、安倍首相は「戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました」と発言しました。この行為は政教分離に反する憲法違反です。
まず、「戦争犠牲者の方々の御霊を前に」という文言は、「人は死後も霊魂が存続し、戦死者の霊魂は神として靖国神社に存在する」という靖国神社の教義に沿った「人の死後の世界観」の発露です。
さらに、安倍首相は「不戦の誓いを堅持していく」と発言しました。「不戦の誓い」とは、国の政策を表します。
つまり、安倍首相は靖国神社の教義および靖国神社参拝と関連付けて、「不戦の誓い」という国の政策を述したことになります。
もちろん、「不戦の誓い」という国の政策を単独に述べるならば問題はありません。しかし、「不戦の誓い」であれ、「戦争への誓い」であれ、「積極的平和主義」であれ、公職にある政治家が、特定の宗教の教義および宗教的行為と関連付けて、国の政策についての発言をおこなうことは、政教分離を規定する日本国憲法の第二十条に違反する行為です。
結論として、安倍首相の靖国神社参拝は憲法違反ではありませんが、安倍首相の「靖国神社で不戦の誓い」の発言は憲法違反です。
■日本国憲法
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
○2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
○3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
(http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S21/S21KE000.html) □
■安倍内閣総理大臣の談話
〜 恒久平和への誓い 〜
(平成25年12月26日)
「戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく決意を、新たにしてまいりました。」
(http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/discource/20131226danwa.html) □
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