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実質賃金は1.8%減 「賃上げ・ベア」報道3つのマヤカシ
http://gendai.net/articles/view/news/148453
2014年3月5日 日刊ゲンダイ
首相が経団連に要請したが…/(C)日刊ゲンダイ
厚労省が4日発表した1月の毎月勤労統計調査(速報値)。「基本給1年10カ月ぶり増」と、アベノミクスの賃上げ効果をうたった新聞もあったが、統計数字は読み方次第。じっくり見れば、そんな明るいムードじゃない。春闘でも電機や自動車などベア実施のニュースが相次いでいるが、ウラのカラクリを知ったら手放しでは喜べない。
■押し上げたのは不動産
勤労統計では確かに所定内給与(基本給)が23万9156円の0.1%増だった。しかし、全業種でまんべんなく上がっているわけではなく、不動産・物品賃貸業が4.7%増と突出していた。
「銀行や信用金庫の貸出先を見ても、増えているのは消費増税を前に先行して活況を呈している不動産だけですよ」(東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏)
そもそも、物価変動を考慮した実質賃金総額は1.8%減で、7カ月連続のマイナスが続いている。
■限定的な駆け込み需要対策
こんな興味深い数字もある。給与総額は、一般労働者が0.5%減なのに対し、パートは1.4%増だ。そのうえ、所定外労働時間は7.0%の大幅増。これは何を意味するのか。
「4月の消費増税を前に製造や建設などの現場では駆け込み需要に対応した増産態勢になっています。しかし、4月以降は消費が落ち込むのが確実ですから、どこも雇用は増やさずパートの残業増で対応している状況です。持続的な賃金アップや雇用増にはつながらないので、限定的な『悪い賃上げ』といえます」(東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満氏)
■ベアに「年齢差」の企業も
ベアを実施する企業でも全従業員に一律というわけではなさそうだ。もちろん非正規は対象外だし、正社員でも年齢によってはベアがゼロの可能性もある。
6年ぶりのベア実施となりそうなパナソニックでも、年代別にベア幅に差をつけることを検討しているという。
「安倍首相の要請に対応して、見せ掛けの賃上げになりそうです。20代の若い人だけ賃金を上げるという会社が予想以上に多い。例えば2%の賃上げという会社でも、それが社員全体の1、2割の若年層中心ならば、トータルの賃上げ率は0.2〜0.4%に下がります。40〜50代はあまり期待しない方がいいですよ」(斎藤満氏)
安倍政権と一体化した大メディアの報道にだまされてはいけない。
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