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Department of State Washington DC
米が人権に関する報告書を発表、日本にはまだ数多くの問題がある(大貫 康雄)
http://no-border.asia/archives/19563
2014年03月04日 大貫 康雄 DAILY NOBORDER
アメリカ国務省は「2013年度の世界の人権状況に関する報告(Country reports on human rights practices for 2013)」を出し、冒頭の国務長官総括で、著しい人権侵害が続くいくつかの国を名指ししている。
シリア:政府の著しい人権侵害が、過激派の激しい暴力を招き、国全体の安全保障が危機にさらされている
ロシア:健全な市民社会が損なわれ、政治的反対者や宗教弱者、同性愛者などへの狙い撃ちのような弾圧が続いている
中国:司法の独立がなく、社会活動の鎮圧や反体制活動家らへの弾圧が続いている……。
また、本文を見ると例年同様、北朝鮮の様々な人権侵害について厳しく指摘している。
日本に関しては、冒頭で人権上疑義がある逮捕・拘束など司法制度の欠陥・不備や、児童ポルノを含む子どもの権利侵害に対する処罰の甘さ、社会的弱者への社会的差別などの人権上の問題を挙げている。また「極右集団(ultra right-wing groups)による在日朝鮮・韓国人への悪意と憎悪に満ちた暴言(いわゆるヘイト・スピーチ)を繰り広げる活動に強い懸念を示している(特に“在特会”集団の活動が社会に著しく有害で危険であることを指している)。
外国政府から指摘されるまでもなく、こうした暴言を放置し、許しておけば、知らない間に社会が劣化する危険をはらんでいる。
この報告書は「世界人権宣言」で規定されている、“個人”“市民社会”“政治”“労働者の権利”の各分野での人権侵害について、1976年度以来、外交を担当する国務省が毎年まとめて議会に提出している。具体的には(1)人権団体や活動に対する迫害、(2)言論・報道の自由の制限、(3)国家の人権侵害に対する抗議の困難さ、(4)労働者の権益保護の不足、社会的弱者への無関心、の分野にわたる。
中国は、以前から人権侵害が続き、毎年のように批判される“常連”となっている。2013年度では、特に政治、民主化、司法、宗教、インターネットなど様々な点で批判している。
(これに対し、中国は国際世論を気にしてか、1998年以来毎年「アメリカ合衆国における人権記録・Human Rights Record of The United States」なるものを出してしている。一般的に見れば、天に唾するようなものだが、アメリカ国内で広がる経済格差、貧富の差、人種差別などの実態を挙げて批判している。また、旧国連人権委員会、現国連人権理事会は、人権に関する特別報告者Special Rapporteursを設置し、1892年以来活動しているが、加盟国の意向など国際政治に影響される問題も時折指摘されている)
日本関連で指摘された「極右集団による在日朝鮮・韓国人に対する悪意と憎悪に満ちた暴言活動」については、懸念を示すと同時に、日本政府高官らがヘイト・スピーチを公式に差別だと言明し、日本社会に住むすべての人々の人権の保護を公約していることも併記している。アメリカは、日本がこの点をどこまで改善するか当然、見守るだろう。
(3月1日、新宿のいわゆるコリアンタウンで、ボランティアの人たちが悪質な落書きを消す活動をした。市民が自ら立ち上がり始めたのは極めて重要だ。一方、警察が初めて在特会の活動を強制捜査の対象にした。また在特会の「京都朝鮮学園」の子どもたちに対する街宣活動を“人権差別撤廃条約違反”として禁止し、損害賠償を命じる判決が出たのは一歩前進だ)
日本の少数民族や障害者など、社会的弱者への差別をなくすべき関連法律の不備・限界になどついての指摘は別の項で出ている。在日朝鮮・韓国人に限らず、中国人、ブラジル人、フィリピン人らも社会的差別を受け、政治的迫害から庇護を求めている人たちの厳しい条件下での拘束もあげている(いわゆる入国管理制度の問題だ)。また、同性愛者や性転換者、障害者、女性に対する家庭内暴力やセクハラを問題視し、さらに外国人の労働研修生の労働の実情を知って“搾取”と見ている。
この報告を読む限り、日本人には当たり前のことに思えても、アメリカ人などの目から見ると“日本には今も数多くの人権問題がある”とアメリカ国務省が見ていることがわかる。
この落差を埋める努力をすることは、現在の日本社会を見ると簡単ではないだろうが、問題を解決することは何よりも我々日本社会にとって有益であると筆者は考える。
この人権状況報告は、各国を順位付けしていないが、「報道の自由」は人権・民主主義と密接に関わる。当然、国境なき記者団が発表している「世界の報道の自由度」と評価がほぼ相応しているのが見て取れる。
【DNBオリジナル】
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