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2014年3月 4日
国会での経済政策論議がかみ合わない。
民主党の櫻井充参院議員は分配の不平等=格差拡大の問題で安倍首相を追及した。
これに対して、安倍晋三氏は景気が回復しているの一点張りで質問に対して正面から答えようとしない。
櫻井氏は若年層の所得水準が低下して単身者が増加している事実を指摘した。
雇用の非正規化が進行し、所得が不安定かつ低水準であるために結婚することができない若年層が増加していることを指摘した。
少子化への対応としても、労働市場の規制緩和が与えているマイナスの影響を質したわけだ。
これに対して安倍首相は、
「民主党政権の時代には景気が悪かった。安倍政権になって景気が良くなり、賃金を引き上げるという企業が増えている」
との主旨の答弁一本やりで、議論がまったくかみ合わないのである。
議論がかみ合わないのは、安倍首相が経済の「循環」の問題と「構造」の問題とを区別できていないことに原因がある。
櫻井氏が質したのは、安倍政権の経済政策が分配の不平等=格差拡大=若年層の非正規化・低所得化が問題ではないかという点である。
これに対して、安倍首相はこうした「構造」問題にはまったく触れずに、景気が上向きになって賃金が増加傾向にあるという「循環」的な側面だけを答弁しているのだ。
国会は、こんなちぐはぐな議論を行う場ではない。
安倍首相は重要な問題点を指摘されると逆切れしやすい傾向を強めているが、日米関係が不安定化し、頼みの株価も下落傾向を強めており、ストレスが溜まっているのだと思われる。
しかし、問題に正面から向き合わずに、イライラだけを募らせることは、問題を悪化させる結果しかもたらさないであろう。
櫻井氏と安倍氏の論議の背景には、経済政策をめぐる根本的な思想、理念、哲学の相違が横たわっている。
安倍氏の主張は成長市場主義であり、分配の公正への配慮を欠くものである。
これに対して櫻井氏の主張は、成長よりもむしろ、分配の公正に強い配慮を置くものである。
成長か分配の公正かという問題は、世界的に広がる経済政策上の重要イシューである。
そして留意が求められることは、安倍氏が主張する「成長至上主義」が、その裏側で「分配の不公正拡大」と不可分に結びついていることだ。
安倍氏は企業の成長だけを追求する。
そのために、
解雇の自由化・法人税減税・規制の撤廃
が提唱、推進されている。
「企業の競争力増大がなければ雇用者の賃金は増えない」
というのが安倍氏の主張の核心だが、重要な論点が覆い隠されている。
それは、企業の競争力を高めるために労働コストの引き下げが求められているという事実である。
成長至上主義は資本の利益を追求するものであり、それは同時に、労働のリターンを引下げることなのである。
経済が「循環的」に拡大する局面で、雇用者所得はある程度増加するが、「長期的」には「労働」の分配所得は減少する。
企業の生産が生み出す「果実」は「労働」と「資本」で分け合う=分配されるのだが、成長至上主義というのは、突き詰めれば、「資本」の分配を引き上げて、「労働」の分配を引下げるものなのである。
これが「格差」問題の根幹に横たわっている。
安倍首相が推進する「成長至上主義」の政策は、中期的に「労働」の分配を引下げ、「資本」の分配を引き上げるものなのである。
安倍政権が支持率を確保してきた頼みの綱は株価上昇だけだった。
しかし、この株価上昇が生じたのは、2012年11月から2013年5月までの半年だけのことである。
昨年後半の株価は一進一退で、今年に入ってから、株価は下落傾向を示しているのだ。
GDP統計を見ても、昨年7−9月期の成長率は年率1.1%、10−12月期の成長率は1.0%である。
昨年4−6月期は13兆円の補正予算効果などで成長率が人為的に3.9%に引き上げられたが、安倍政権はこの数値を根拠に消費税大増税実施を決めてしまった。
また、2014年度は補正予算規模が5.5兆円に圧縮されるため、4月以降、激烈な財政デフレの嵐が吹き荒れることになる。
安倍政権は日米関係をかつてなく不安定化させて、日本の漂流を招いているが、問題は外交だけでなく経済に波及し始めている。
日本経済の不安定化によって、安倍政権の凋落が加速する気配が濃厚に漂い始めている。
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