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こちらも安倍首相が大嫌いなオバマ大統領〔PHOTO〕gettyimages
『失望』大統領と『逆ギレ』総理、本当はお互いの顔さえ見たくなかった「オバマ来日」決定までの全内幕
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38535
2014年03月03日(月) 週刊現代 :現代ビジネス
人間、ウマが合わない人とは、とことん合わないものだ。だが、日本とアメリカの最高権力者同士の話となると困ってしまう。締結後63年を経た日米同盟は、大統領来日前に最大のピンチを迎えた。
■「オバマは冷たい男だなあ」
2月12日、米ホワイトハウスは、「オバマ大統領が4月に、日本、韓国、マレーシア、フィリピンの4ヵ国を訪問する」と発表した。
オバマ大統領の来日が決まった。4月22日から23日まで1泊2日の予定。安倍晋三首相とオバマ大統領のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)を巡る最終交渉の場となる可能性もある。
だが、安倍首相とオバマ大統領の視線は、もはや修復不可能とも思えるほど乖離してしまっている。相互不信が重なり、まるで離婚寸前の仮面夫婦のような関係なのだ。
2月19日に、衛藤晟一首相補佐官がユーチューブに投稿した次の内容が問題視された。
〈むしろわれわれの方が(アメリカに)失望だ。(オバマ政権は)同盟関係の日本をなぜこんなに大事にしないのか〉
これは安倍首相の気持ちを、素直に代弁したに過ぎない。
実際、オバマ大統領の来日が決まるまでには、紆余曲折があった。
'12年末に安倍政権が発足した後、安倍首相は「'13年1月に2期目のオバマ政権が発足してから、初の首脳会談を行いたい」と強烈なラブコールを送った。だがオバマ大統領は無視。'13年1月18日に岸田文雄外相をワシントンに送り込み、ようやくホワイトハウスからOKが出た。
しかも、「2月22日に1時間以内で議題は日本のTPP参加問題」という条件付きだった。その後、2月12日に北朝鮮が核実験を強行したことで、45分のランチが加わった。
会談では挨拶もそこそこにオバマ大統領が、「日本のTPP参加について話を聞きたい」と切り出した。同盟国の最高権力者が太平洋を渡って来たというのに、ねぎらいの言葉も笑顔もなかった。
安倍首相が初めて目にしたその姿は、同盟国の大統領というより、相手から自国の国益を最大限引き出そうとする法廷弁護士そのものだった。
会談後、安倍首相は、
「オバマってのは冷たい男だな」
と呟いた。
オバマ大統領は昨年6月、習近平主席をカリフォルニアに招き、丸2日間で8時間半という前例のない米中首脳会談を開いてもてなした。その一方で、同月開かれた英国サミットでは、同じホテルに宿泊しているにもかかわらず、安倍首相との日米首脳会談を断固拒否したのだった。
昨年9月初旬にシリアの空爆問題を巡って、オバマ大統領は安倍首相に電話をかけ、「同盟国として協力するように」と迫った。この時は安倍首相のほうが「国連安保理で議決されれば協力する」と突き放した。
国連安保理ではロシアと中国が拒否権を発動するのは自明の理であり、安倍首相が初めて「盟主」に楯突いた瞬間だった。
こうしたオバマ政権とのギクシャクした関係は、昨年末に安倍首相が電撃的に靖国神社に参拝したことで決定的なものとなった。
「なぜ日本の首相は、国益にならないことをやるのだ?私には理解できない」
これがオバマ大統領の反応だったという。
オバマ大統領からすれば、安倍首相が靖国に参拝すれば、中国と韓国が反発するのは目に見えている。中韓との関係が悪化すれば、それは貿易を始め様々な面で日本にマイナスとなって返ってくる。そればかりか東アジアの不安定要素が増す。
そんなことは子供でも分かりそうなのに、なぜあえて靖国へ行くのか。オバマ大統領から見れば、安倍首相の姿は、地域を不安定化させるという意味において、恫喝外交を繰り返す金正恩第一書記と変わらないのである。
■バイデンの「靖国の恨み」
だがこの時、オバマ大統領以上に怒り心頭だったのが、バイデン副大統領だった。
バイデン副大統領は昨年12月3日から7日まで、日本、韓国、中国を歴訪した。
12月3日午後に首相官邸で行われた安倍首相との首脳会談では、靖国参拝に関して、特にどちらからも言及しなかった。
ところが6日に「青瓦台」(韓国大統領府)で行われた米韓首脳会談で、朴槿恵大統領が「近く靖国参拝の可能性がある」と言及した。そこで初めて、バイデン副大統領は、事の重大さに気づいたのだった。
バイデン副大統領は、ワシントンに戻って5日後の12月12日夜(日本時間)、安倍首相に電話を入れた。
「朴大統領は、あなたが靖国神社を参拝するのではと心配していた。同じ同盟国の韓国を心配させないためにも、靖国参拝はやめてほしい」
これには、安倍首相がカチンときた。
「私は前回の政権の時、参拝できなかったことを痛恨の極みと考えている。しかるべき時期に参拝する所存だ」
バイデン副大統領が続けた。
「日本の内政に干渉するつもりはないが、東アジア情勢を不安定化させるような行為は慎んでほしい」
両首脳にとって不幸だったのは、双方がこのやりとりを勝手に解釈したことだった。すなわち安倍首相は、近々靖国神社を参拝することをホワイトハウスから承認されたと解釈した。
一方のバイデン副大統領は、靖国を参拝しないよう安倍首相を説得したと思った。そのため、直後に電話した朴大統領に、バイデン副大統領は「安倍が靖国を参拝することはないから安心してほしい」と伝えたのだった。
それが、わずか2週間後に、安倍首相が参拝したことで、バイデン副大統領は怒り心頭となったのだ。
参拝の日、アメリカ全土がクリスマス休暇中だったため、バイデン副大統領は、ケリー国務長官ではなく、東京のケネディ大使に直接、電話を入れた。
「『アメリカ政府は失望している』という強いメッセージを出してくれ」
東京は26日の午後になっていた。安倍首相が靖国参拝を終えた後、ケネディ大使の指示で、東京・赤坂のアメリカ大使館から緊急声明が出された。
〈日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに、アメリカ政府は失望している〉
この声明に、安倍首相は面食らった。1951年に日米同盟を結んで以来、アメリカ政府から「失望した」などという声明を出されたのは、前代未聞だった。
「外務省は一体、何をやっているんだ!アメリカへは、事前によく根回ししておくよう言っておいたではないか。もう一度きちんと私の参拝の主旨を説明し、すぐにオバマ政権と修復を図ってほしい」
外務省からすれば、首相が靖国参拝すれば、近隣諸国ばかりかオバマ政権をも怒らせるということは、安倍首相に事前に警告していた。それでも聞く耳を持たずに参拝を強行したのだから、これは安倍首相の自業自得と捉えたのだった。
■ライバル韓国の攻勢
そうはいっても、日本の最高権力者に歯向かうわけにはいかなかった。
そこで外務省幹部は一つの提案をした。
「オバマ大統領は4月下旬に、マレーシアとフィリピンを歴訪しようとしています。その際、2泊3日で国賓待遇として、日本へ寄ってもらってはいかがでしょう。'96年にクリントン大統領を招聘して以来、アメリカ大統領の国賓待遇はありません」
この提案に、安倍首相の頬が緩んだ。
「ぜひその線で進めてほしい」
国賓待遇というのは、外務省が定めた5段階の招聘の最上級にあたり、全費用を日本政府が負担する。天皇主催の晩餐会から、天皇の見送りに至るまで、2泊3日の公式訪問である。昨年は、フランスのオランド大統領を国賓待遇で招いている。
ワシントンのクリスマス休暇が明けると早速、日本大使館を通して、国賓待遇でのオバマ大統領の訪日申請を行った。
だが、待てど暮らせどホワイトハウスから色よい返事は来なかった。そのうち理由が明らかになった。
韓国政府も同様に招聘を申請している―。
ワシントンの韓国大使館は、比較的早い時期に、「日本が4月にオバマを国賓待遇で招聘しようとしている」という情報を掴んだ。そこで朴槿恵大統領が「必ずソウルにも来てもらうように」と厳命したのだ。
ここからワシントンの韓国大使館を挙げての「攻勢」が始まった。
「安倍政権の右傾化が顕著になる中、日本だけを訪問することは、東アジア情勢の不安定化を増すことになる」
「2月末からの韓米合同軍事演習を終えて北韓(北朝鮮)の脅威が最も増す4月に、オバマ大統領が訪韓し、韓米の同盟強化を見せつける必要がある」
様々な理由をつけて、オバマ大統領の韓国訪問を迫ったのだった。
今年1月末、スイスでのダボス会議とインド訪問から帰国した安倍首相は、いまだ招聘の返事が来ないことに苛立ちを見せ、岸田外相のワシントン派遣を決めた。
だが、平日は国会が会期中で、参議院の野党がどうしても外相の外遊を認めなかった。そうかといって土日は、アメリカ側が御法度である。
次に、2月7日金曜日午前中の国会答弁を終えて、政府専用機を飛ばして訪米する案が検討された。だがあいにく同日、安倍首相がソチ五輪へ向かうので、政府専用機は使えない。
では、予備の政府専用機はどうか。今度は、政府専用機を管轄する防衛省が拒否した。予備機は空で、首相の後を追って30分後に同じルートを飛ぶルールだからだ。
そこで結局、3000万円もかけて全日空機をチャーターしたのだった。
岸田外相を迎えるワシントンの日本大使館も、慌ただしかった。ペンタゴン(国防総省)からは「ヘーゲル国防長官が歓迎する」との快諾を得たが、国務省(ケリー国務長官)とホワイトハウス(ライス安保担当大統領補佐官)が「一体何をしに来るのだ?」と訝しがったのだ。
それでも佐々江賢一郎大使以下、「たとえ10分でも構わないから同盟国の体面を立ててほしい」と言って拝み倒した。そしてようやく「表敬訪問」の許可を取りつけたのだった。
岸田外相は、まず国務省を訪れ、ケリー国務長官と会談した。
岸田「4月にオバマ大統領を国賓としてお招きしたい。これは東アジアの安全保障を大きく前進させる歴史的な機会になる」
ケリー「日程はいま調整中だが、オバマ大統領自身が決めることだ」
岸田「北朝鮮の核開発が進んでいる。引き続き、日米で連携して圧力を加えていきたい」
ケリー「北朝鮮の問題は、今月訪中して、習近平主席らと話す。
それよりも、なぜ同じわが同盟国の韓国を敵に回すのだ?」
岸田「韓国との現状は日本としても残念だ。具体的な協力を一つ一つ積み上げていく所存だ」
このように両者の発言は終始チグハグだった。
岸田外相はその後、ライス補佐官にも「何とか国賓待遇でお迎えしたい」とすがったが、「日程は現在、調整中だ」と、にべもなかった。
■日本より中国のほうが大事
岸田外相は、ソチにいる安倍首相に「残念ながら見通しは悲観的です」と報告を入れた。
安倍首相は電話を切ってため息をついた。そして気分を切り替えて数時間後、プーチン大統領とのランチ会談に臨んだのだった。
プーチン大統領との北方領土問題などを巡る首脳会談は、大いに盛り上がり、安倍首相は何杯もウォッカの杯を合わせ、一気飲みした。
会談後、安倍首相は周囲に漏らした。
「プーチンという男は、オバマよりよほど話が通じる。日本の同盟国は、ロシアでなくアメリカだというのに……」
2月12日にオバマ大統領の4月のアジア歴訪が発表された翌13日、ケリー国務長官が、韓国、中国訪問に向けて飛び立った。日本には訪問の打診すらなく、素通りだった。
2月15日には、訪米した甘利明TPP担当相に対して、オバマ大統領のハーバード時代の同級生であるフロマン米通商代表部代表が吠えた。
「日本の主要5品目(米、麦、牛豚肉、乳製品、サトウキビ)の関税は受け入れられない。これらを基本的に全廃してもらいたい」
2月18日にはルー米財務長官が、「日本経済は過去2年間、内需に牽引されてきたが、いまや国内需要に翳りが見られるようになった」と述べた。そして、そのような内容の書簡を、G20の参加国に向けて発送したと語ったのだ。
同日に日本では、黒田東彦日銀総裁が会見を開いて、日本経済の復活を改めて強調したばかりだっただけに、日本に冷や水を浴びせる格好となった。
ちなみにルー財務長官は就任してすぐの昨年3月に、習近平詣でに北京を訪問している。この時も、日本は素通りだった。
このように、いまやオバマ政権を挙げての日本総攻撃の様相を呈しているのだ。
そんな中、4月に来日することだけ決まったオバマ大統領は、日本で何を語るのか。また日本側は国賓待遇にこだわる必要があるのか。
安倍首相が、少なくともそのような気分でないことだけは確かだろう。
「週刊現代」2014年3月8日号より
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