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2014年03月01日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆米国「ジャパン・ハンドラーズ」(日本操縦者)と言われる「親日派」主要人物のリチャード・アーミテージ元国務副長官(共和党・ブッシュ政権1期、米CIA軍資金調達担当)が、久方ぶりに安倍晋三首相に「対中国外交姿勢」について苦言を呈して、存在感をアピールする発言をした。2月27日、ワシントン市内で講演し、このなかで安倍晋三首相が行った電撃的「靖国神社公式参拝」(2013年12月26日)について、「中国を喜ばせたことは間違いない」「靖国神社の問題は、日本の指導者が国全体にとって何が最善か判断することだ。しかし、中国の外交を後押しすることになったことは無視できない。これが私の参拝への反対理由だ」などと述べ、中国北京政府の対日工作・宣伝外交活動を有利にする結果を招いたと指摘したのである。
アーミテージ元国務副長官は1月8日、訪米中の日米国会議連の中曽根弘文会長ら会談した際、靖国神社公式参拝について、安倍晋三首相の談話を受け取って説明を受けた。これに対して、アーミテージ元国務副長官は「首相が選挙の公約を果たしたということだ。もう終わったことだ」と述べ、安倍晋三政権が経済政策に重点的に取り組むことが、日米関係の強化や中韓両国との関係改善にもつながるとの認識を示していた。
だが、ここにきて、「参拝への反対理由」を述べたのは、中国北京政府の対日工作・宣伝外交活動、とりわけ安倍晋三首相に対する攻撃が、世界的規模で展開されていることから、「放置しておけない」と危機感を募らせ、憂慮しているからである。
これは、アーミテージ元国務副長官が、日本の保守政界のなかでも、とくに自民党派閥「清和会」(安倍晋三首相の祖父・岸信介元首相=米CIAから資金提供=から派閥を受け継いだ福田赳夫元首相が設立、父の安倍晋太郎元外相も会長を務めた)との関係が深く、日本の政治に大きな影響力を及ぼしてきた一人であったからである。
ところが、民主党のオバマ大統領は、日本よりは中国重視の軍事外交政策を行っており、共和党色の強い「ジャパン・ハンドラーズ」を重用しなくなっている。従来の米国政権が、軍事力をバックとする「ハード・パワー」を重視してきたのを改めて、外交力を発揮する「ソフト・パワー」「スマート・パワー」重視の国際戦略に大転換したことから、「ハード・パワー」重視の「ジャパン・ハンドラーズ」を遠ざけてきたのである。このため、「ジャパン・ハンドラーズ」と親交を深めていた民主党の菅直人政権の長島昭久首相補佐官も、「最近は、親日派のスターがいなくなった」と慨嘆しているほどである。
◆しかし、安倍晋三首相が、日米安保上の懸案であった「米軍と自衛隊の共同作戦」「日本版NSC設置」「特定秘密保護法制定」「集団的自衛権行使容認」「武器輸出3原則緩和・撤廃」や「日本国憲法改正(国防軍創設)」などの実現に向けて、熱心に取り組んでいる割には、オバマ大統領との関係がギクシャクしている。このことにアーミテージ元国務副長官は、危機感を抱き始めたのである。
安倍晋三首相は、親中派の小沢一郎代表と違い、元々、台湾よりの「清和会」を基盤にしているので、中国北京政府とは、本質的に相性が悪い。このため、2012年12月26日に首相就任して、これまでに1度も、日中首脳会談を実現できないでいる。また、隣国韓国とも首脳会談を開けないまま、双方が突っ張り合っていて、最悪な状態に陥っている。
第2次朝鮮戦争勃発の危険が取り沙汰されているなかで、アーミテージ元国務副長官も気が気ではない。そこで、「ジャパン・ハンドラーズ」と言われてきた「日米関係のプロ」として、険悪な安倍晋三首相とオバマ大統領との関係改善にひと肌脱ごうと、名乗りを上げてきたのである。
【参考引用】朝日新聞DIGITALが2月28日午前10時7分、「『靖国参拝、中国喜ばせた』 アーミテージ氏、米で講演」という見出しをつけて、以下のように配信した。
「安倍晋三首相の靖国神社参拝について、米国のアーミテージ元国務副長官は27日、ワシントン市内での講演で、『中国を喜ばせたことは間違いない』と述べ、日本を非難する中国の外交活動を有利にする結果になったと指摘した。アーミテージ氏はブッシュ政権で国務副長官を務めた共和党の知日派重鎮。『靖国神社の問題は、日本の指導者が国全体にとって何が最善か判断することだ。しかし、中国の外交を後押しすることになったことは無視できない。これが私の参拝への反対理由だ』と話した。また、中国が『日本はカイロ宣言やポツダム宣言に基づく国際秩序を順守しない国だ』と日本を非難する主張を展開していることを指摘。『参拝が中国を喜ばせたことは間違いない。中国は各国に《自分の言った通りだろう》と言うだけでよかった』と述べた」
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