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論考は、酷い事故が継続している福島第一に日本国民の多くが“無反応”であることに驚いている米国メディアの記事を取り上げているが、その問題は脇におくことにする。
日本は、原発を即時廃炉にする政策に舵を取らなければならないと考えている。
同時に、それを国策とするにあたって大きく立ちはだかる難関が使用済み核燃料(放射性廃棄物)の処分問題だとも思っている。
政府が「エネルギー計画」で“原発は重要なベースロード電源”としたのも、原発を何とか存在させたい勢力の願望が込められていることを否定しないが、使用済み核燃料問題が火を噴くことを考えると「原発はもうやめ」と言えない事情が大きく関わっているとみる。
技術も未確立、危険性がより高く、費用も膨大という見通しも取り柄もない「核燃料サイクル」や「高速増殖炉もんじゅ」についてさえ、政府が“やめる”と言えない状況がある。
昨年秋に下北半島のむつ海岸に3000トン規模の新たな中間貯蔵施設ができたが、それも、「核燃料サイクル」事業の継続が前提で受け容れられたものである。
日本列島には、使用済み核燃料棒が1万7千トンほど保管されている。六ヶ所村の再処理施設には頼み込んで運び込んだ2900トンほどが保管されており、残りの1万4千トンは、各原発施設内にあるプールに保管されている。
エネルギー政策策定に権限を有する政府が、「原発はもうやめる」と言った途端、原発の後処理を押し付けられてきた六ヶ所村や下北半島は、当然、再処理に使われることを前提に預かっている使用済み核燃料棒を元の原発に返還するよう主張するだろう。(昨年秋にできた中間貯蔵施設も受け入れを拒む)
六ヶ所村が返すと言ったからといって、各地の原発立地自治体がそれを受け容れることはできない。各原発の使用済み核燃料保管プールの余裕がなくなったからこそ六ヶ所村に移送したという背景があるからである。
というより、この使用済み核燃料棒問題は、そんな対立がたわいもないことのように見えてしまう大騒動に発展してしまうエネルギーを秘めている。
賢明な選択とは言えないが、原発立地自治体は、経済的利益のために危険を承知で誘致し稼働も認めてきた。それゆえ、原発が廃止されるとわかった途端、使用済み核燃料棒にとどまらず、原発プラントまでの“超絶危険物”を地元からすぐに撤去するよう強く求める。
米軍基地についてはウソやゴマカシであっても“必要性”や“存続メリット”といった言い訳ができるが、どんに強力な政権であっても、「原発施設&使用済み核燃料棒」の撤去を求める運動を鎮めることはできないはずだ。
原発廃絶を国策にするためには、何が何でも、使用済み核燃料棒の最終処分に見通しをつけなければならないのである。
そうしなければ、本音は脱原発であっても、使用済み核燃料棒問題を抑え込むためだけに、“安全な”原発は稼働すると言い続け、解決を先延ばしにすることになるからである。
官僚は、火が噴くような問題を提起する根性はないから、ずるずると先延ばし策を選択する。
総選挙で勝利し内閣総理大臣に指名されたものが、責任を持って解決策を提示しなければならない。
これまでも書いてきたが、私は、恥をさらすことでもあり心苦しいことでもあるが、“核のゴミ”の受け入れを政策ともしたロシアのプーチン政権と交渉し、使用済み核燃料棒最終処分問題の解決に向け道を拓いて欲しいと願っている。
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「静岡新聞」2月25日付第2面「論壇」より
米核廃棄物処理の新事情
ニューヨーク大名誉教授 佐藤 隆三
岩塩層地帯に処理施設
ニューヨークタイムズ紙は原発と核廃棄物処理に関する記事を頻繁に掲載するようになった。これは、原発ゼロの都知事選候補者が敗れ、原発をベース電源とする自民党支援の舛添要一新知事が就任して以来、特に顕著となった。
記事の一つは、福島第1原発汚染水漏れで、約100トンもの高濃度汚染水が漏洩した、との報道である。過去6カ月間で最悪の事態となり、放射性物質1リットル当たり2億3千万ベクレルが検出された。これは、日本政府による安全基準の380万倍の濃度である。にもかかわらず、政治的問題に発展していないのは、日本人がこうした事実にもう馴れっこになっているためか、と疑問を投げ掛けている。
同紙の別の著名人り記事は、小泉純一郎元首相の核廃棄物処理に関する問題提起に触発されたものである。米原発もこの問題は回避できない、として詳細な現状報告を行っている。一口に核廃棄物といっても、核兵器の研究開発からの廃棄物と原発や核の平和利用からの廃棄物は異なった性質を持っている。前者の廃棄物の放射能は低レベルだが長い寿命(1万年)を持っている。一方、原発などからの高レベル放射能廃棄物は比較的短命である。
米政府は核兵器の研究で生じる廃棄物の恒久的処理のため、ニューメキシコ州に米国核廃棄物隔離試験施設(WIPP)をすでに設置している。この記事は何故WIPPがこの地域に設置されたかを一般読者向けに平易に説明している。
この地域は数億年前につくられた岩塩層でできている。廃棄物保管場所は地下約700bの岩塩層につくられている。廃棄物を入れると、その熱で水分が少しずつ蒸発し、岩塩層が更に硬化する自然現象が起こり、数億年後には廃棄物も岩塩層の一部となる。
一方、原発などから出る高レベル放射能廃棄物に対しては、米国でもまだ最終処理場所は決まっていない。議会はネバダ核実験場のあるユッカ山脈に核廃棄物処理場をつくることを決めた。だが、地元住民や米国の有力議員リード氏の反対で計画は頓挫している。
日本には適地「皆無」
前述記事の執筆者は、地質学者やその他の専門家の意見をまとめて、ニューメキシコ州に設置したWIPPの岩塩層地帯に、原発などからの廃棄物も永久的に封じ込めることが科学的見地から最適であろう、と論じている。
だが、ここでも地元住民や環境保護団体は、この地域でとれる食用塩が放射能まみれになる、と猛反対をしている。ただも、賛成者も反対者も同意しているのは、この岩塩層地域には何億年もの間地震の発生が皆無で、処理場の必要条件を満たしている、という点である。
小泉−細川連合の主張では、地震大国日本には、どこを探しても地震発生ゼロの必要条件を満たす地域など存在しない。原子力規制委員会が認めても米国の基準から見れば、廃棄物の永久処理場は無論のこと、原発の再稼働に適した場所も日本には皆無ということになる。
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