http://www.asyura2.com/14/senkyo162/msg/127.html
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大詰めを迎えているTPP交渉で、日本が重要5項目の一部について関税引き下げを米国以外にも提示したという。
そのような妥協は内々の既定路線だとしても、そのような“公約違反”が「日本の味方をつくり、対米の関税交渉を有利に進める狙い」という言い訳で正当化されていることに、物は言いようとも言えるが、政府や主要メディアのデタラメ度や腐敗度を窺うことができ、哀しみを超えて笑えてしまう。
「日本の味方をつくり、対米の関税交渉を有利に進める狙い」と言える根拠が、「豪州と米国は日本向けの牛肉輸出で競っている。豪州産牛肉だけ輸入関税が下がれば、豪州産が日本国内で割安になり、米国産牛肉の消費が減る可能性がある」では子供のへ理屈にも劣る。
記事の記者も恥ずかしい思いをしながら書いたのだろうが、米国(NZもだが)は、豪州以上に関税を下げろと強く迫り最低でも豪州と同じレベルを勝ち取るだけの話である。
基本は、日本国内の畜産・酪農に対する保護政策を崩すことだから、米豪NZはその点で共闘ができる。
(トヨタが豪州での自動車の生産停止を表明したことで、豪州は、日本が強く要求している自動車の関税引き下げ(撤廃)を受け入れやすくなる一方、日本に対して農産品の関税引き下げをより強く迫ることができる)
TPPは最終的に関税を撤廃することが原則だが、米国・豪州・NZは、日本に対しできるだけ早く農産品の関税を撤廃しろと迫ることで、より低い関税を早期に実現しようとしている。
一方、日本政府も、重要5項目の関税引き下げは織り込み済みで、今年4月からの消費税増税も、そのような関税引き下げへの対策の一つとして実行される。
消費税はかたちを変えた「輸入関税」でもあり、税率が5%から10%になれば、関税が5%引き上げられたことと同じ効果がある。
豚肉や野菜は5.5%程度の関税なので、消費税が10%になれば、それらの関税を仮にゼロにしても、消費税5%時代と変わらない“関税障壁”を設けていることになる。
(グローバル企業の海外生産品に課される消費税“輸入関税”は、消費税の「輸出免税」制度により打ち消されるので障害にならない)
対米従属国であることを度外視すれば、関税を原則ゼロにする経済連携協定に参加しようという判断そのものが誤った政策である。それで輸出増加効果があるとは思っていないが、どうしてもというのなら、二国間のEPAやFTAを促進すればいいのである。
昨年春、台湾漁船に(中国漁船はとっくに)尖閣諸島周辺排他的経済水域での操業を認める日台漁業協定締結をめぐる騒動(沖縄の漁民以外“愛国保守”派もほぼ沈黙)でも、「尖閣諸島領有権問題で台湾が中国と連携するのを防ぐため」という意味不明の説明が行われた。
台湾は尖閣諸島の領有権を71年以降一貫として主張し、中国の主張も「尖閣諸島は台湾に付属する島嶼、台湾は中国領土、だから、尖閣諸島は中国領土」というものであり、日本政府が国益を犠牲にして台湾に“媚び”を売ったからといって台湾が領有権主張をやめるわけではない。
日台漁業協定もわけのわからないでたらめな言い訳が通用したのだから、TPPも推して知るべしと言える。
日本で「振り込め詐欺」被害が増加の一途をたどるのもむべなるかなである。
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重要5項目の関税下げ案 日本、米以外にも提示
【シンガポール=羽田野主】政府は24日までに、メキシコやオーストラリアなど米国以外の複数の国に豚肉や牛肉など重要5項目の一部の関税を引き下げると伝えた。日本の味方をつくり、対米の関税交渉を有利に進める狙いだ。米国も多数派工作を進めており、日米の綱引きは激しくなっている。
政府は米国と優先的に関税交渉を進めてきたが、米国以外の国とも並行して交渉を進める方針に転換。メキシコに豚肉の輸入関税を下げる案を打診した。
オーストラリアについても豪州産牛肉にかかる38.5%の輸入関税を下げる方針。自民党の西川公也TPP対策委員長とオーストラリアのロブ貿易・投資相は24日、現地で会談。豪州産牛肉の輸入関税引き下げを含む日豪経済連携協定について、ロブ氏は「4月に合意したい」と語った。
豪州と米国は日本向けの牛肉輸出で競っている。豪州産牛肉だけ輸入関税が下がれば、豪州産が日本国内で割安になり、米国産牛肉の消費が減る可能性がある。
[日経新聞2月25日朝刊P.3]
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