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2014年02月24日
21世紀は、世界のグローバル化現象の中で、昔から持ち続けた「国境」の概念を考えざるを得ない時代を迎えている。経済活動では、国境なき自由な行動を求められているわけだが、いざ国土と云う話になると、俄然、国境の線引きは人の心を捉え、感情の渦が巻き起こる。東シナ海に浮かぶ岩礁(尖閣諸島)を巡って日中は、一つ間違えば戦争の火ぶたを切ってしまうような鍔迫り合いを展開している。両国の、単純な愛国心と云うものは、相互依存の撚糸で編まれているグローバル経済システムのメカニズムを超えたところに存在する。理屈で無用な争いだと気づいていながら、その感情から生れ出るナショナリズムを制御する機能を持っていないのは、日本だけでなく、中国、米国、韓国、ロシアにもある。時には、地政や歴史によって、捻じ曲げられ、国境の意味すらが、曖昧な国家や民族も存在する。
21世紀の国家の概念を超越したグローバル経済世界と国土の線引き係争は、単純な国土問題を含む外交防衛上の懸案事項になりつつある。おそらく、日本人の興味は、アベノミクスによる経済効果が廿浦浦まで行き渡り、己の生活にも恩恵があるかどうかの低レベルなものに矮小化されているようだが、世界の目は、まったく異なる問題に興味を示している。興味と云うよりも、口には出しにくい危惧である。ウクライナの係争を野蛮な行為だとか、到底民主主義国家の体をなしていないなど、知ったような口を利く巷の日本人やコメンテータもいるようだが、このウクライナ問題は、東西構造のシンボル的位置づけであり、21世紀の新たな世界の枠組みにまで影響を及ぼす重大事件なのである。
そもそも、ウクライナは東南部ウクライナ(ロシア系)と西部ウクライナ(欧州系)に二分されているわけだから、ロシアとEU(NATO圏)の綱引き地域なのである。EU(NATO圏)には、米国やイスラエルなどの加勢もあり、2月23日時点では、ロシア系のヤヌコビッチ大統領が政権から追われ、牢獄の囚われていたティモシェンコ元首相が釈放され、復権しようとしている現在進行形の状態である。無論、このまますんなりデモ隊の中心であるEU(NATO圏)の帰属を支持する西部ウクライナの勝利で終わる保証は何一つない。なぜ今、ウクライナのデモが過激になったのか、または、軍が荒れ狂うう国民に対し傍観しているのかと云う問題は、ソチオリンピック及びパラリンピックの期間を選んで実施された点から見て、ロシアの動きが封じられている点が大きなポイントだ。
つまり、3月16日までは、ロシア及びプーチン大統領はウクライナ問題で、発言や行動を縛られる状況にある点が、今回のデモ集団に勢いを与えていた。当然、その集団の行動を支援する国際的勢力があるわけで、彼らが、ロシア及びプーチン大統領が動きにくい時期を狙ってタイムリーに起こされた暴動(クーデタ)とみることが出来る。実際のところ、EUがウクライナを経済的に取り込むメリットは皆無に近い。単にお荷物を一つ加えるだけの話である。しかし、米国はNATO防衛圏での手抜きをする意味でも、ウクライナをNATO圏に組み込むメリットはある。つまり、政治経済的に問題を抱える国だが、防衛上の一線がどこに引かれるかと云う意味で、大いに重大な地点なのだ。
この流れで、5月に大統領選が再び行われるとして、タイ同様、反対陣営の大統領降しが再燃する可能性は大いにあるし、東西ウクライナの対立が激化、内戦分裂の可能性まで視野に入ってきた。正直ウクライナの歴史をざっと学んでも、大陸国家独特で、国境など何時いかなる時に安定して存在したのか、定める事さえ難しい歴史的経緯があるので、今後ウクライナがどのような展開を見せるのか、簡単に語ることは出来ない。ただ、21世紀以降のウクライナと云う点では、EU(西側)なのかロシア(東南側)なのかと云う対立構造を窺うことも出来る。ウクライナが東西陣営のどちらに帰属するかと云う問題は、中国・ロシアの抬頭とEU及びアメリカの力の減少がバッティングしている現象として眺めておく必要があるだろう。
マスコミに載らない海外記事氏のブログで紹介されている、元米国財務次官補であり、元WSJ共同編集者でコラムニストのPaul Craig Roberts氏のコラムを読むと、その辺の事情が相当理解できるので、紹介しておく。
≪ 内戦と大国間の対立に向けて漂流するウクライナ?
2014年2月20日 Paul Craig Roberts
人々は解決策を求めているが、偽情報ばかり流されている世界では、解決等ありえない。ほとんどあらゆる場所の人々は不満を持っているが、実際の状況 を多少とも理解している人々はごくわずかだ。解決策を得る前に、人は問題についての真実を知らねばならない。それを伝えたいと思うむきの少数の方々にとって、概して報われない仕事だ。
人間は理性的な動物だという前提は間違っている。男性も女性も感情の動物で、スター・トレックのドクター・スポックではないのだ。人間は、文化化と 教化とで洗脳されている。愛国者達は、自分達の希望であり、妄想である国、自国政府に対する批判に対しては、敵意で答える。例え耳に届いても、彼らの感情がそれを押しつぶしてしまう。願望と妄想が真実を凌駕する。
多くの人々は、自分達が聞きたがっていることを、言ってもらいたがるものだ。その結果、彼等は 常にだまされやすく、連中の幻想と自己欺まんのおかげで、連中は、たやすくプロパガンダの犠牲になる。これは、社会のあらゆるレベル、そして指導者自身にもあてはまる。
無分別な大学生や、アメリカ政府の世界覇権への衝動の手先が混じり合ったものが、雇われた抗議行動参加者や、国粋主義者中のファシスト分子と一緒になって、ウクライナに、大変な苦難を、そして恐らく、世界に、破壊的戦争をもたらしつつある西ウクライナで、我々はこれを目撃しつつある。
抗議行動参加者の多くは、あぶく銭を稼ぐ失業者に過ぎない。無分別で、理想主義的な連中が、自分達の国の独立を破壊しているのだ。アメリカ世界覇権を狙いとするアメリカのネオコン国務次官補ビクトリア・ヌーランドが、ウクライナ国民に、彼らの今後の見通しについて、昨年12月13日に語ったのに、抗 議行動参加者は余りに妄想じみている為に、それが聞こえていないのだ。
アメリカ・ウクライナ財団、シェブロンと、在ワシントン・ウクライナ人ロビー集団が後援した記者クラブでの8分46秒の演説で、ヌーランドは、ウクライナをEUにとりこむ為の動揺を醸成するのに、アメリカ政府が50億ドル使ったと自慢した。EUに捕獲されてしまえば、ウクライナは、IMFを通して影響を及ぼす欧米に“助けられる”ことになる。
ヌーランドはもちろん、IMFを、ウクライナのあえいでいる経済から、あらゆる命を搾り取る、欧米による過酷な支配としてでなく、ウクライナを救援するものとして表現していた。 ヌーランドの話を聞いていた人々は、掠奪と、アメリカ政府が任命したウクライナ政権とのコネで豊かになる、あらゆる連中だ。演説するヌーランドの傍らの大きなシェブロンの看板をご覧になるだけで、これが実際には一体何者かおわかりだろう。
ヌーランドの演説は、ウクライナの独立を破壊し、自分達の国をIMFの手中に渡して、ラトビア、ギリシャや、IMFの構造改革プログラムの対象と なった他の国々同様に、掠奪ができるようにすると固く決意したウクライナ抗議行動参加者を目覚めさせはしなかった。抗議行動参加者が、アメリカとEUから 支払われている全ての金銭は、間もなく、ウクライナが欧米の掠奪によって“調整される”際、何層倍にもなって返還される。
短い演説の中で、ネオコン扇動者ヌーランドは、その育成にアメリカ政府が50億ドル注ぎ込んだ抗議行動参加者は、残虐な政府に対し“計り知れない自制心で、平和的”抗議行動をしていると主張した。 アメリカ国務省(アメリカのイラク侵略をお膳立てする為、イラク大量破壊兵器の“証拠”を示しながらの、国連での国務大臣コリン・パウエル演説を覚 えておられよう。パウエル演説は後にブッシュ政権の虚偽情報として否認された)より遥かに信頼性の高いRTによれば、ウクライナの暴徒は、軍の武器庫か ら、1,500丁の銃、100,000発の弾丸、3丁の機関銃と手榴弾を捕獲したという。
人権の訓練を受けたウクライナ警官は、暴力が手の付けられないほどになるのを許してしまった。多数の警官が火炎瓶で火傷した。最新の報道では、108人の警官が銃撃されている。多数の死者がでて、63人が重傷だという。
http://rt.com/news/ukraine-kiev-firearms-weapons-police-934/
これらの死傷者は、ヌーランドの言う、計り知れない自制心で“平和的に抗議行動している抗議行動参加者”の産物なのだ。2月20日、選挙で選ばれた、独立したウクライナ政府は、暴徒の銃器使用に、自衛の為、警官に銃器の使用を許可して対応した。
多分ロシア嫌いの西ウクライナ人は、IMFにふさわしく、恐らくEUは、ウクライナ政府を打倒しようとしている過激国粋主義者にふさわしいのだろ う。ウクライナ国民が欧米による掠奪を経験すれば、彼等はひざまずき、ロシアに助けを乞うだろう。唯一確実なのはロシア側のウクライナは、ウクライナの一部のままで残らない可能性が高い。
ソ連時代、クリミア等ロシアの一部が、恐らくはウクライナ国内のロシア人住民の数を増やすために、ウクライナ社会主義共和国内に組み込まれた。言い換えれば、現代ウクライナの広大な部分、東部と南部諸州、は伝統的にロシア領土て、歴史的なウクライナの一部ではない。
1990年代初期に、ロシアがウクライナの独立を認めるまで、ウクライナは、14世紀以来、ほとんど独立を経験しておらず、200年間、ロシアの一部だった。独立承認にまつわる問題は、ウクライナの多くの部分がウクライナではないことだ。ロシアなのだ。
以前ご報告した通り、ウクライナがEU加盟国となり、NATOに加盟し、ロシア国境沿いに米軍基地ができるというような見通しを、ロシアは“戦略的 脅威”と見なしている。ロシア政府と、ウクライナのロシア語地域が、ウクライナに対するアメリカ政府の計画を受け入れる可能性は少ない。連中の狙いが何であれ、ジョン・ケリー国務長官の挑発的な声明は緊張を高め、戦争を煽っている。
アメリカと西欧の国民の大多数は、“自由出版物”の報道しか知らない彼等全員、ネオコン・プロパガンダ路線派なので、本当の状況がどうなっているのか全く分かっていない。 アメリカ政府の嘘は、国内と海外諸国で、市民的自由を破壊しているのみならず、ロシア国内で、ロシアの安全保障に関する懸念を高めている。
もしアメ リカ政府が、ウクライナ政府打倒に成功すれば、西部と南部の諸州は分離する可能性が高い。もし分離が円満な離婚の代りに、内戦となれば、ロシアも傍観してはいられまい。アメリカ政府の戦争挑発政治家連中は、西ウクライナを支援し、二つの核大国は軍事衝突紛争に投げ込まれる。
ウクライナとロシアの政府は、両国とも、長年、何十億ドルも流入し、その資金が、教育や人権擁護団体を装って、両国を不安定化することが本当の狙いである第五列を創り出すのに利用されるのを無邪気に認めて、この危険な状態を進展するにまかせてきた。ウクライナ人やロシアが欧米を信頼した結果が、内戦や広範な戦争の可能性なのだ。
更新: ウクライナにおける状況に関して、リチャード・ロゾフがまとめている様々な外国ニュース報道
http://www.informationclearinghouse.info/article37700.htm
を読んで、無意味で破壊的な第一次世界大戦がどのように始まったのかという歴史を思い出した。
民主的に選出されたウクライナ政府を打倒し、EU傀儡国家を押しつけたいという欲に目が眩んで、 アメリカやイギリス、フランス政府は真っ赤な嘘をついて、武力紛争に向かう状況を挑発している。 ロシア政府と国民が、ロシアに対するアメリカ覇権を進んで受け入れない限り、欧米がウクライナで準備しているクーデターはロシアには耐えられまい。
欧米の軍事力とて、ロシア直近の場所ではロシア軍と対等にはなるまいし、独善的で、傲慢なアメリカ政府が敗北を受け入れることはできまい、腐敗した欧米諸国政府がそれに向かって突進している紛争は、核戦争になる可能性がある。
世界的な世論調査では、アメリカ政府は、常に世界平和に対する最大の脅威と見なされている。私が再三書いてきた通り、アメリカ政府は、平和に対する単なる脅威ではない。アメリカ政府と卑劣なヨーロッパ傀儡諸国は、地球上の生命の存在に対する脅威だ。本質的に、アメリカ政府は精神異常で、ヨーロッパ “指導者連中”は、アメリカ政府の精神異常を擁護するため報酬を受け取っているのだ。 支払えない欧米の借金の返済期限が来る前に、世界は終わりかねない。
≫(マスコミに載らない海外記事氏のブログより抜粋)
ウクライナ情勢を通して、21世紀における、東側と西側陣営の力の対立構図の再来を予期しているわけだ。現時点では、西側陣営が優勢な状況を保持しているが、今後もその優勢が保証されるほど安定しているかと云うと、そうでもない側面もかなりある。中国共産党独裁と云う政治体制でありながら、経済成長力を餌に、自由主義的グローバル経済の力学の枠内で経済的には生きると云う離れ業を演じている中国は、成長力が弱まることはあっても、5%以上の経済成長を続けるであろうことは、世界の共通に認識にある。つまり、欧米諸国や日本、韓国よりも成長のパワーは優勢だ。50年先かもしれないが、米国の経済と肩を並べる可能性もあるだろう。中国の経済は極めて実体経済に近いものなのに、米国の経済の中身は金融に特化せざるを得ないだろうから、並んだ瞬間に覇権は中国が有利かもしれない。
軍事力の面があるので、覇権が移行すると云うのは言い過ぎかもしれないが、中国が全面的にロシアとの協調路線を打ち出せば、そこに巨大な勢力が出来上がる事も想像外の話ではない。歴史的に、世界の覇権は、内陸国家から海洋国家に移ったわけだが、再び内陸国家の出番という事もあり得る。既に、このことは多くの論者が指摘している。昨日の拙コラムで紹介したフィナンシャルタイムズのコラムのように「安倍首相を望んだことを悔やむ米国政府」で指摘されているように、安倍の選択肢がどこに向かっているか、ワシントンは理解不能に陥っているし、日本の論者も定まった方向性を捉えきれずにいるようだ。無論、筆者も捉えきれない。
上記のような東西冷戦構造の再構築と云う枠組みを踏まえながら、行われるであろう日露の平和条約締結に向けた“安倍・プーチン会談”は、単に北方領土交渉云々の次元を超えた外交交渉になろうとしている。安倍官邸が、どこまでこの問題の根の深さを理解して交渉に当たろうとしているのか定かではないが、今までのように、単に米国をけん制するツールとして扱うようだと、重大な日本の歴史的転機と云うチャンスを失うことになるのだろう。この問題は、一回のコラムで語り切れないので、明日、日露交渉問題を、東西冷戦構造の再構築と云う枠組みの中で、考えてみようと思う。
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