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元委員が証言「NHK経営委はハイヤー付き追認機関」(上)
http://gendai.net/articles/view/news/148184
2014年2月23日 日刊ゲンダイ
元NHK経営委員で国立音大名誉教授の小林緑氏(右は浜田委員長)/(C)日刊ゲンダイ
年収500万円、常勤ではないのに退職金…
都知事選で田母神氏以外の候補者を「人間のクズ」呼ばわりした作家・百田尚樹氏の言動などを見ていると、NHKの経営委員会とは「何なのか?」と思ってしまう。一応、表向きはNHKの会長人事や予算の割り当て、事業計画などを議決する「最高意思決定機関」なのだが、その内実はほとんど明かされていない。そこで2001年7月から07年7月まで2期6年間、委員を務めた国立音楽大名誉教授の小林緑氏に「経営委員の実態」を聞いてみた。
――まず、なぜ、小林さんが経営委員に選ばれたのでしょうか?
きっかけは就任の約2カ月前、総務省からの1本の電話です。いきなり「次期、経営委員になってもらいたい」と言われたのです。全く身に覚えがなかったので驚きました。総務省は「NHK全体の経営監督や会長の任命権がある」「VIP待遇です」などと説明する。なぜ自分なのか聞いてみると、「データベースで検索したら浮上した」と言うんですよ。退任する作家の平岩弓枝氏の代わりに文化系の女性を探していたらしいのです。私は大学で、女性の作曲家の研究・講義をしているが、それでよいのか? と尋ねても無反応でした。委員に70代が多い中、50代だったことなどが加味されたようです。音楽に携わっていたので、NHK交響楽団に意見を出すこともできるかもしれないと期待して、引き受けることにしました。
――打診は総務省からあるんですね。で、具体的なお仕事は?
NHK職員から“御殿”と呼ばれる東京・渋谷の放送センター12階にある部屋で月2回、2時間ずつ定例会が行われるんです。当時、地デジ移行に伴う機材の入れ替えは大きなテーマでした。私が、今までの機材がゴミになることや高齢者は地デジに対応するのが難しいのではないかと意見したら、地デジ専門の理事からは「国策です。いまさら何言ってるんですか」と怒られましたね。委員会事務局からも「そのことは触れちゃいけません」と言われました。議題を用意するのはNHK側で、会議の1週間前に大量の資料が送られてきます。事前に目を通しますが、財務や放送の専門用語などがあり、内容を理解するのは難しい。しかし、直接、説明を受けられるのは定例会の2時間だけですから、皆が個人的意見を言っていたら時間がなくなってしまう。そう考えて、結局、「はい、聞き置きました」と答えることが多かったです。議題が差し戻されることはほぼなかったし、委員会は追認するための機関なのだと感じましたね。
――委員の方はたいてい2期6年間務めますね。待遇はどのくらいなんでしょうか?
年収は2004年の不祥事以降徐々にカットされ、退任時はボーナスを加えて約500万円(現在は非常勤の場合、約495万円)。当初退職金もありましたが、当時経営委員は全員非常勤でしたから、私は常勤でないのに退職金はおかしいと意見しましたが、「もらって当たり前」という意見の委員もいました。黒塗りハイヤーの送迎もありますが、時間的にとても急ぐ場合以外、それは辞退して公共交通を使いました。そうしたのは、私と委員長だったJR東海会長くらいですね。委員や理事の入れ替わりなど節目には12階の“御殿”でパーティーがありました。今はどうかわかりませんが。高級ホテル顔負けの料理が並び、和服女性やタキシードの男性が給仕してくれます。委員会の運営費は相当、かかっているのではないでしょうか。
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元委員が証言「NHK経営委はハイヤー付き追認機関」(下)
http://gendai.net/articles/view/news/148185
2014年2月23日
――04年には、制作費不正支出問題などの不祥事が発覚しました。海老沢勝二会長に多くの批判が集まりましたが、この時はどんな感じでしたか?
委員長が委員一人一人に海老沢氏の続投について意見を聞きました。私は「お咎(とが)めなしで3期目はおかしい」と言いましたが、定例会の発表では「多数決により全会一致で続投」になっていた。他の委員と議論していないし、不透明さが残りましたが、後に委員長と海老沢氏は仲良しだったと聞いて納得しました。現会長の籾井氏の慰安婦発言騒動も同じではないでしょうか。浜田委員長は「辞任を求める委員はいなかった」と言ってますね。
――その辺が非常に不透明ですね。「お咎めなし」では、という条件がいつの間にか、削除されてしまう。籾井続投も「条件付き続投」だったかもしれませんね。
07年6月には、委員長に任命された富士フイルムHD社長の古森重隆氏について、安倍首相と個人的関わりが深いとメディアで騒がれました。定例会でそのことに触れましたが、橋本元一会長は「議題ではない」とし、議事録には残してもらえませんでした。
――従軍慰安婦問題を取り上げた「ETV2001」(01年1月放送)の改変問題については、どうですか。07年1月、東京高裁は改変を認定し、NHKは即日上告する騒ぎになりました。
上告した日のNHKのニュースは、敗訴していることが分からないように画面から勝訴側の女性の姿を抑え気味にしたり、関連報道も19時のニュースではなく21時に回したり、扱い方があまりに酷かったため、次の定例会では、経過報告がなかったことも含め、抗議しました。すると、NHK側は委員会は個々の番組のことはノータッチですと。NHKには中央、地方と全体のそれぞれに「番組審査委員会」があるので、経営委員会は“関係ない”というのです。また、裁判をした女性国際戦犯法廷のグループが、「政治的な忖度(そんたく)がないのであれば元の番組と比べる上映会をしたい」と申し出ていたため、定例会で「公平なら堂々と見せるべき」と指摘しましたが、これも「著作権があるから」と拒否されました。
――まさに伏魔殿ですが、6年間を振り返ってみて、今、どういう感想をお持ちですか?
収穫がなかったわけではありません。04年に相次いだ不祥事をキッカケに議事録が作られるようになった。議事録は00年9月から公開されてはいますが、発言者の記録はおざなりなものでしかなかったんです。多くの経営委員が「記名じゃないと意味がない」と指摘して実現させました。また、このとき、NHKの理事会側だけではなく経営委員会にも独立した事務局ができました。そのため議事録もNHKのチェックが働かないように確認できるようになりました。とはいえ、経営委員だけで議論する機会がほとんどなく、十分な改革とはとてもいえませんでした。精いっぱい意見は伝えてきたつもりですが、振り返るたび、もっと萎縮せず言えばよかったと今でも思っています。
▽こばやし・みどり 1942年生まれ。東京芸術大学、同大学院を経てフランス給費留学生としてパリ大学付属音楽学研究所でフランス音楽史を学ぶ。帰国後、国立音楽大学音楽学教員。現在は名誉教授。
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