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2014年02月22日(土) 歳川 隆雄
外交・安全保障政策に関する安倍晋三首相主導による内閣答弁の前のめり≠ェ際立ってきている。集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈の変更問題と、従軍慰安婦問題に関する「河野(洋平官房長官)談話」見直しについてである。
『朝日新聞』(2月21日付朝刊)は一面トップに「憲法解釈変更『閣議決定で』 集団的自衛権 走る首相」の大見出しを掲げ、二面には「首相、危うい独走 集団的自衛権答弁 与党も懸念」としたうえで、20日の衆院予算委員会で従来の政府見解を大きく踏み越えた答弁を行った安倍首相を批判的に報じた。
一方、『産経新聞』(同)は、一面左肩に「『河野談話』裏付けなし 石原元官房長官、国会で証言」の見出しを付け、宮澤喜一政権下の1993年に当時の河野官房長官が事実上、慰安婦を強制連行したと認めた「河野談話」作成の事務方トップだった石原信夫官房副長官(事務担当・当時)が、同予算委員会で参考人として出席し、談話作成に当たって裏付け調査を行わなかったと証言したと大々的に報じた。
集団的自衛権行使容認問題については、『朝日新聞』のみが先鋭的に繰り返し報道している。安倍首相は先の衆院予算委員会で集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を閣議決定した上で、自衛隊法を改正する方針を表明すると同時に、「安保法制懇談会(座長・柳井俊二元駐米大使)の検討を受けて、内閣としてどう解釈するか詰めていく。当然、内閣法制局を中心にその議論を行っていく」と答弁した。
■内閣法制局長官「戦死」の覚悟に動かされ?
さて、肝心の内閣法制局だが、小松一郎長官(1972年外務省入省)が先月24日に検査入院し、ほぼ1ヶ月間、内閣法制局長官不在の国会審議が続く異常事態となり、この間「小松氏がん説」が流布されていた。そうした中で、菅義偉官房長官は21日午前の定例会見で「(小松長官は)腹腔部に腫瘍ができて入院していたが、本日退院し、来週から公務に復帰する。今後は週1回程度の通院で公務に支障はない」と述べた。
残念ながら、事実とは異なる説明である。腹腔部とは胃・腸・肝臓など内臓が収まっている所を指す。断定はできないが、小松氏は検査で胃がんが発見されて、1月下旬に開腹して摘出を試みたが転移が見られ、摘出手術は行われなかったようだ。
問題は、実はそれだけでない。安倍官邸は長官の長期不在により、横畠裕介内閣法制局次長(74年司法修習生)を長官代行に指名、国会答弁に充ててきた。即ち、後任長官を早急に決定する必要が出てきたということだ。
こうした官邸の動きを聞かされた小松長官が病床から安倍首相に対し、「私は命に代えても自分の手で解釈変更を成し遂げたい。どうかしばらくの間、任を解かないで頂きたい」と伝言を託したというのだ。
小松長官の直訴を聞かされた安倍首相は「小松さんは戦死するつもりなんだ」と痛く感動し、解釈変更の閣議決定の時期を早めることを決めたというのである。
集団的自衛権の行使容認のための憲法解釈変更決断は、当初、通常国会(会期末は6月22日)終了後の夏以降に先送りするというのが支配的な見方であった。というのは、連立のパートナーである公明党が、支持母体の創価学会の意向もあって、解釈変更に消極的であることが最大の理由とされたからだ。
ところが、小松長官の直訴もあってか、安倍首相は一転して4月中の閣議決定に踏み切るというのだ。
「河野談話」作成過程で裏付け調査がなかったという石原元官房副長官の国会証言は、実は以前にも『産経新聞』(13年10月16日付朝刊)が同趣旨の石原氏インタビューを含めて記事化していたものだ。
それにしても、上述の『朝日』に「前のめり」との表現があったが、筆者も同様な印象を持つ。国会論戦での野党の体たらくもあるが、安倍首相は「今が攻め時」と考えているに違いない。
安倍政権にとっての懸念材料は、皮肉なことに、今やアベノミクスの先行きだけである。
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