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2014年2月22日
2月20日、衆議院予算委員会でNHK問題が集中審議の議題とされた。
NHK会長に就任した籾井勝人氏が参考人として招致され、NHK放送のあり方について、厳しい追及が行なわれた。
放送法は、放送の
不偏不党
政治的公平
公平・公正
を要請しており、NHKは公共放送として、これらの要請を満たす放送を実現する責務を担っている。
ところが、NHK会長に就任した籾井勝人氏は、
特定秘密保護法について、市民の間には反対意見が多く、NHKの報道姿勢が政府寄りであるとの指摘があることについて、
「一応(法案が)通ったので、もう言ってもしょうがないんじゃないか」
「あまりカッカする必要はない」
と述べた。また、国際放送に触れ、
「尖閣や竹島という領土問題は、明確に日本の立場を主張するのは当然のことだ。政府が右と言っているものを、われわれが左と言うわけにはいかない」
とも発言した。
従軍慰安婦を巡る問題については。
「戦時中だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭無いが、この問題はどこの国にもあったこと。」
「韓国だけにあったと思っているのか。戦争地域にはどこでもあったと思っている。ドイツやフランスにはなかったと言えるのか。ヨーロッパはどこでもあった。なぜオランダには今も飾り窓があるのか。」
「慰安婦そのものは、今のモラルでは悪い。だが、従軍慰安婦はそのときの現実としてあったこと。」
「会長の職はさておき、韓国は日本だけが強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか。おかしい。」
などと述べた。
籾井氏がNHK会長の職務を遂行する資格を保持しないことは明白である。
国会は籾井氏の更迭を迫る良識を示すべきだ。
(時事通信社)
この籾井氏の国会での答弁模様は「二人羽織」と呼ばれている。
「二人羽織」とは寄席や宴会の余興などで演じられる芸のひとつで、袖に手を通さずに羽織を着た人の後ろから、もう一人が羽織の中に入って袖に手を通し、前の人に物を食べさせたりするものである。
『月刊FACTA』2014年3月号に掲載された記事
「「二人羽織」籾井NHK会長の因果」
は、次のように記述した。
「1月31日、衆院予算委員会で民主党の原口一博元総務相の質問責めに、天を仰ぐ籾井勝人NHK会長の前に手が3本? いや、ペンと紙を握るのは本人の手ではない。「二人羽織」さながら、背後から懸命にメモを差し入れるNHK職員の手なのだ。このケッサク写真1枚で、いまや世界の笑い者。「政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」との籾井の答弁が、英エコノミスト誌に「私の国は右か左か」と痛烈に皮肉られた。」
国会で質問を受けても、自分の言葉で答弁することができないのだ。
後ろに控えるNHK職員が、質問の内容を聞き取ると、想定問答の答弁原稿を籾井氏に渡し、また、ささやき女将よろしく、後ろから、答弁の言葉をささやいて、その言葉通りに答弁を行っているのだ。
この姿を見るだけで、こんな人にNHKを仕切ってもらいたくないと、すべての放送受信者が考える。
「醜態」とはこのことを言うのだろう。
恐らく、籾井勝人氏自身が、こんな恥晒しの毎日は勘弁してもらいたいと思っているに違いない。
そうであるなら、一日でも早く、自分からNHK会長辞任の意思を表明するべきである。
それが日本国中の放送受信者の利益に適合する行動である。
2月20日の集中審議の模様は、NHKが中継放送をした。
NHK問題の核心は、
NHK放送が放送の不偏不党、政治的公平、公平・公正な放送に反しているのではないかとの疑念
である。
籾井勝人氏は、用意された原稿にあるとおりに、
「放送の不偏不党、政治的公平、公平・公正の原則に沿って適切にNHKの放送事業を執り行ってゆく」
と繰り返した。
ところが、傑作なのは、この国会中継を行っているNHK放送そのものが、まさに、放送の公平・公正に反していたことだ。
テレビ放送の場合、重要なのがカメラワークである。
証人喚問を受けている証人が追及され、核心に迫る質問を浴びせられたときなど、カメラは証人をズームアップして画面に大写しにする。
悪い印象を作る際には、話し手を下から映し出すことなどもカメラワークとして用いられる。
2月20日のNHK中継放送では、籾井会長に後ろから資料が手渡しされる場面、籾井会長が後ろを振り返り、随行のNHK職員のささやきを懸命に聞き込む場面などの映像が、徹底してカットされていた。
これが放送の公平・公正に反する行為である。
通常の参考人招致の場合、カメラは参考人を捉えたままである。
NHKのカメラワークは籾井勝人氏の「二人羽織」を可能な限り捉えないように「徹底配慮」したものだった。
籾井会長が「公平・公正な放送」と繰り返す、その映像を放映するNHKが「公平・公正」でない行為を示していたのである。
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