http://www.asyura2.com/14/senkyo161/msg/788.html
Tweet |
[FT]待望した安倍首相を今は悔やむ米政府(日経新聞)
2014/2/21 7:00
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2001W_Q4A220C1000000/
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2001W_Q4A220C1000000/?df=2&dg=1
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2001W_Q4A220C1000000/?df=3&dg=1
安倍晋三首相が率いる日本と習近平国家主席が率いる中国との関係を評価するのは極めて簡単だ。どちらも相手をあまり好きではない。日中双方とも政策目標を推し進める道具として、ナショナリズムを利用している。おそらく、どちらも相手側に押しがいのある「タフな男」がいることは都合がいいと考えている。
<写真>ダボス会議の開会式で基調講演する安倍首相(1月22日)=共同
それほど評価することが簡単でないのが、日米関係の状態だ。日米関係は、本来であれば日中関係よりもはるかに容易に読み解けるはずだ。結局、日本は米国にとってアジアで最も重要な同盟国で、第2次世界大戦の終結後に米軍の戦闘機と部隊を受け入れる「不沈空母」だったのだから。
そして今、数十年間にわたり米国から促された末、ようやく強固な防衛態勢を築いて、平和主義の日本が長年大事にしてきた「ただ乗り」の国防政策を見直す意志を持った、安倍氏という指導者がいる。だが、長年求めてきたものを手に入れた今、米国政府はおじけづいている様子を見せている。
■安倍氏の歴史観に懸念見せる米
その兆しの一つは、安倍氏が昨年12月に靖国神社を参拝した後、米国政府が「失望」を表明したことだ。中国と韓国から、靖国神社は自責の念がない日本の軍国主義の象徴と見なされている。以前、米国政府は内々に靖国参拝への不満を述べたが、公然と日本を非難することはなかった。日本政府は今回、米国が「disappointed」という言葉を使ったことに驚かされた。当てられた訳は「shitsubo(失望)」で、日本語ではきつく響く。
他にも緊張の兆候は見られた。米国の政治家は、安倍氏の歴史観に懸念を表明している。バージニア州議会は、学校教科書に日本海を表記する際に韓国名の「東海」を併記するよう求める法案を可決した。米国政府は、安倍氏の指揮下で、やはり米国の重要な同盟国である韓国と日本の関係も悪化したことを懸念する。
日本の観点から見ると、論争となっている島しょへの日本の支配権に、中国政府が防空識別圏を設定すると発表して巧妙に対抗してきた時、米国政府は十分に力強く日本を支持しなかった。米国政府は確かに、中国の防空識別圏内に爆撃機「B52」を2機送り込んで不満を表したが、ジョー・バイデン副大統領は北京を訪問した時、この問題をことさら取り上げなかった。
東京の多くの政府関係者は、事実上、米国政府が中国の一方的な動きを黙って受け入れたと考えている。常日ごろ、中国にどっぷり染まった人々を周囲に置く傾向のあるバラク・オバマ大統領の近くには「ジャパンハンド」がいないことも嘆く。米国政府が日本を支持することは、もはや当てにできないという感覚が広まっていると語る日本政府関係者は1人ではない。
このような背景には、安倍氏にも当然わかる皮肉がある。1950年以降ずっと、米国政府は日本に、再軍備して、安倍首相が提唱しているような国防態勢を取るよう迫ってきた。ダグラス・マッカーサー元帥の命令で書かれた1947年の平和憲法のインクが乾くやいなや、米国人は日本に「交戦権」を永遠に放棄させたことを悔やんだ。
米軍による占領終了の交渉を任じられたジョン・フォスター・ダレスは、日本に30万〜35万人規模の軍隊を構築するよう迫った。中国は共産主義国家になり、米国は朝鮮半島で戦争をしていた。東アジアに無力化された「従属国家」を抱えることは、もはや米国に適さなくなっていたのだ。
■日本は「予測不能で危険」
何年もの間、日本はこうした圧力に抵抗してきた。日本政府は米国の核の傘を頼りにし、ビジネスを築く仕事にいそしんだ。日本の唯一の譲歩は、戦闘を禁じた自衛隊の創設だった。あれから60年たった今、日本には、米国を言葉通りに受け止める指導者がいる。安倍氏には、日本の憲法解釈を見直し、場合によっては平和主義をうたった憲法第9条そのものを覆す、個人的な信念と地政学的な口実がある。
しかし、その瞬間が訪れた今、一部の米国政府関係者は考え直している。ある元ホワイトハウス高官によれば、ジョン・ケリー国務長官は日本を「予測不能で危険」な国と見なしているという。日本のナショナリズムが北京で対抗措置を引き起こすという不安感もある。オーストラリアの学者で元国防省高官のヒュー・ホワイト氏は、これが意味することは明白だと言う。「米国としては、中国と対立する危険を冒すくらいなら日本の国益を犠牲にする」ということだ。
安倍氏が靖国神社を参拝した時、米国政府にメッセージを送る意図もあったのかもしれない。日本の右派の奇妙なところは、最も熱心な日米同盟支持者でありながら、同時に米国政府が敗戦国・日本に強いた戦後処理に憤慨していることだ。米国の望みに逆らって靖国を参拝することは、日本が常に米国政府の命令に従うわけではないという合図を送る一つの方法だ。
■米にしがみつくか、離れるか
ワシントンで見られる安倍氏への嫌悪感は、決して普遍的ではない。ある意味、安倍氏はまさに医師、メンターとしての米国が命じた日本の首相そのものだ。安倍氏は日本経済を浮揚させる計画を持っているし、沖縄の米海兵隊基地の問題を解決する望みを多少なりとももたらした、数年ぶりの指導者でもある。長年、日本は国防費に国内総生産(GDP)比1%という上限を自ら課してきたが、安倍氏は国防費を増額する意思を持っている。
<写真>沖縄県が埋め立てを承認した名護市辺野古沿岸部(2013年12月)=共同
だが、これらの政策には代償が伴う。ワシントンの多くの人が不快に感じる修正主義的なナショナリズムである。
「中国が成長するにつれ、日本が中国の力に不安を感じる理由はますます増え、日本を守る米国の意思への信頼はますます薄れていく」とホワイト氏は言う。同氏いわく、米国は日本の中核利益を守ることを確約するか、さもなくば日本が「1945年以降に放棄した戦略的な独立性」を取り戻すのを助けなければならない。このジレンマに対して日本が持つ答えは、一層強く米国にしがみつくか、米国から離れるか――に行き着く。
By David Pilling
(2014年2月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
(翻訳協力 JBpress)
-----------------------------------------------------------
紙面クリックでソースのフィナンシャルタイムズ記事へ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK161掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。