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2014-02-21 10:29:41
「米国は中国が気に入らないが、大事な貿易相手国であり、米国債の引き受け手として共存共栄をめざすしかなく、我慢している。ところが、安倍政権は無頓着に中国を刺激してはばかることがなく、いたずらに危機を高めている」と、日米中3か国の関係を言い当てていました。
朝日新聞の本日2月21日朝刊に掲載された冷泉彰彦さんへのインタビュー記事です。冷泉さんは、米国在住の作家であり、ジャーナリスト。日本を遠くから見ていると、冷静に見えるものがあるようです。
冷泉さんが最も鋭く突いているのは、第2次大戦後、アメリカが営々として築いてきた「国際秩序」という資産を、いまや中国側が主役面して利用するようになった。そう利用でlきるのは、日本が中国に対して隙を作っているからだ。中国も許しがたいが、それよりも同盟国であるはずの日本の無頓着が「けしからん」という指摘です。
アメリカは「戦後秩序」として、国連の創設を主導し、IMF(国際通貨基金)や世界銀行、世界の貿易秩序を作り、ドルを基軸通貨として「パックス・アメリカーナ」という世界支配体制を形成してきました。
しかし、その「世界秩序」も”金属疲労”を起こしてあちこちにほころびが出始めた。アメリカはそれをかろうじて持ちこたえている状態です。
それを見透かして、中国は「新しい大国関係」というキャッチフレーズを掲げて、アメリカに挑戦してきています。
日本の首相による靖国参拝や尖閣問題をきっかけとする東アジアでの緊張の高まりは、中国に「日本が『戦後の国際秩序』に反している」と主張する隙を与えてしまっている。アメリカには明らかにそう見えるのです。
安倍首相には、そんなアメリカのいら立ちが少しも理解できない。だから、安倍首相の気持ちを代弁する側近からも、「アメリカはなぜ同盟国の日本を大事にしないのか」などというとぼけたつぶやきが漏れてきます。
安倍首相自身が繰り返し強調する「戦後レジームからの脱却」という内容には、戦後の日本をリードしてきたリベラル系の人々が築いたさまざまな実績、その”知性の輝き”に対する反発もあるようです。自分の知性の無さに対する劣等感からの”反知性主義”と申しましょうか。
ただ、ここへきてリベラル系の人々にも、安倍首相の掲げる「戦後レジームからの脱却」に対抗する有効な思想を打ち出せないでいます。
冷泉さんは、日本はどうなるかという質問に、「日米同盟は崩壊しないでしょうが、(安倍首相のもとでは)日本の衰退と孤立化は早まるでしょう。徐々に破たんしていく」と、見ています。
インタビューをした朝日新聞の真鍋弘樹・ニューヨーク支局長は、取材後の感想として「冷泉さんが語る仮借ない現状認識に、反論できないのが切ない」と記しました。
ボクも、「切ない」です。ただ、今朝は、インタビュー記事から考えるヒントをもらい、「だから新聞っていいよね」と、得をした気分にもなりました。
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