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2014年2月16日
首都圏を襲った大雪の影響で深刻な混乱が生じている。
東急東横線では停車していた電車に別の電車が衝突し、脱線した。
多くの負傷者が発生したが、一歩間違えば大惨事となっていた。
天気予報は記録的な大雪を予測できなかった。
山梨県では1メートルを超える観測史上最大積雪値の2倍の積雪が記録され、多くの地域の交通手段が遮断されるとともに、ライフラインが途絶える事態が発生している。
道路でも重大な混乱が生じているが、驚きを与えるのが、高速道路上での車の立往生が足かけ3日にも及んで続いたことである。
立往生に巻き込まれた自動車は、まったく身動きがとれぬまま、車中で2度目の朝を迎えた。
厳寒のなかでの立往生は生命の危険さえ伴うものである。
天気予報、道路交通事情の予報の的確さとドライバーのリスク管理が強く求められる。
日本の高速道路には、この意味で構造的な危険がある。
その解消を検討することが急務である。
米国のフリーウェイでは、基本的にフリーウェイと主要な一般道が交差する箇所にフリーウェイの出入り口が設けられている。
フリーウェイは無料で提供されているため、一般道とフリーウェイの出入りが自由なのである。
フリーウェイが無料であるから、一般道との交差箇所ごとに車の出入り口が設けられていても問題が生じない。
ところが、日本の場合、高速道路が有料であるために、一般道との連絡が基本的に遮断されている。
高速道路出入り口の間隔は極めて大きく、ひとつの出口を通過してしまうと次の出口までは、一般道に出ることができない。その間隔がケースによっては20〜30キロの長さに及ぶこともある。
近年になって、スマートICと呼ばれる新規の出入り口がサービスエリアに設置されるようになったが、それでも出入口(IC)の間隔は極めて大きい。
このことが、高速道路上の災害を著しく深刻なものにする可能性がある。
村上春樹氏の小説『1Q84』にも高速道路渋滞の場面が出てくるが、ここでは、登場人物が非常駐車帯からはしごを伝って地上に降りるシーンが描かれるが、高速道路上の渋滞は、文字通りの陸の孤島であり、さまざまなリスクを孕むものである。
高速道路の設計上のリスク管理を検討するべきであろう。
最も優良な方式は米国のフリーウェイ方式である。
基本的にどこからでも高速道路に入ることができて、また、降りることができる。
無料であるから料金所を設置する必要もない。
高速道路上で何か非常事態が発生すれば、いつでも最寄りの出入口(IC)から退却することができる。
今回の大雪では、東名高速道路の神奈川県から静岡県のエリアでの車の立往生が深刻だった。
積雪への対応が不十分な自動車が存在して立往生すれば、それを契機に後続車の進行が不可能になる。
積雪による道路渋滞は高速道路だけの問題ではなく一般道でも発生し得る。
しかし、高速道路の場合、一般道への逃げ道がないために、その影響が著しく深刻になるわけである。
サービスエリアごとに一般道への出口が確保されていれば、まだその影響は緩和されるが、現状ではすべてのサービスエリアに一般道への出口が確保されているわけではない。
また、あったとしても、ETC登載車しか通行できない仕様になっている。
積雪以外にも、道路火災などによる立往生などの事態も想定されるから、リスク管理として検討を要する問題である。
消防や救急車などの緊急車両も、一般道と高速道路の接続箇所が増えれば、それだけ緊急事態への対応も早くなる。
緊急事態が発生し、緊急車両が現場に到達できない事態が発生すれば、事故の被害が一気に拡大してしまうことも考えられる。
2009年に鳩山由紀夫政権が樹立され、高速道路料金無料化や週末料金の大幅割引などが積極的に検討された。
ところが、自公政権が復活して、高速道路料金の割引自体が撤廃の方向に動いている。
道路料金の割引を受けようとしてETC設備を購入した国民は、詐欺に遭ったような境遇に陥れられている。
背後にあるのは道路会社利権である。
原発と同じ図式なのである。
原発とは異なり、基幹道路は極めて有用で価値のある資産である。
ところが、大都市圏を除いて、この貴重な社会資産が十分に活用されていない。
主権者のための政治・行政が実現されていないのである。
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