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週刊文春 2014年2月20日号
総理候補の呼び声も今は昔
「僕は死ぬまで、公明の選挙区で立候補することをライフワークにしていく」
2月8日、唐突に国政での公明党との対決を宣言したのが、日本維新の会共同代表でもある橋下徹大阪市長だ。橋下氏は大阪都構想の実現をめぐって市長職を辞し、出直し選挙に臨むが、そこで飛び出したのが公明党への恨み節だ。
一昨年末の総選挙で、維新は兵庫、大阪の6小選挙区で候補を擁立せず、公明を支援した。橋下氏の言い分は、都構想の住民投票実施まで公明は支えてくれるはずだったのに、大阪市を廃止して新設する特別区の区割り案絞り込みに反対したのは「人の道に反する。絶対に許せない」というもの。公明党と支持母体、創価学会のキーワードである「常勝関西」という言葉をあえて使い「常勝関西の流れを何とか断ち切るため、ありとあらゆる手段を講じていく」とまで挑発してみせた。
「橋下氏の強気は、東京での安倍政権の状況をにらんでのことだ」と公明党幹部は解説する。このところ安倍晋三首相は集団的自衛権の行使容認など公明が慎重な政策課題への積極姿勢を強め、みんなの党や維新との連携に前のめりになっている。「大阪で公明とケンカしても大丈夫だと踏んだのだろう」(同前)との分析だ。
だが、橋下氏の「恫喝」は、実はそれほど効いていない。
次期総選挙は今のところ、再来年の2016年との見方がもっぱらだ。「その頃まで橋下維新が人気を保っているとは思えない」と自民党幹部は冷ややかだ。
しかも、大阪市議会と府議会で維新は少数与党で、公明の協力なしでは立ち行かない。公明党側は橋下氏の挑発に「約束などない。言いがかりだ」と反発している。
また、国政でも、前回衆院選で維新が野党第2党に躍進できたのは、公明党との選挙協力により大阪府の小選挙区で12議席を獲得したことが大きかった。大阪の自民党筋は「公明との選挙協力がなくなれば、維新は壊滅する。大阪でも国政と同じように自公の連携が強化される」とホクホク顔なのだ。
橋下氏の“打倒公明宣言”が出たのは、「維新政治塾」の2期目開講式。だが、応募者数は第1期の30分の1以下の94人にとどまった。同じ日、松井一郎府知事は吉本新喜劇に出演して存在をアピールしたが、天下取りをめざしたはずの「なにわのことも夢のまた夢」か――。
文「週刊文春」編集部
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