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2014年02月13日
東京新聞の夕刊に、「国境なき記者団」による、世界各国の報道の自由度ランキングが報告されたそうである。それによると、世界の先進主要国の中で唯一「顕著な問題」のある国家に格付けされた。大変名誉なことである。福島原発事故の透明性への疑念と、国会で成立した特定秘密保護法案への、自由諸国から、疑問符を突きつけられた。驚くべきは、韓国、台湾以下の報道の自由度と海外からは見えるようである。今回は米国も“不適切なNSA情報収集活動”の恩恵で、自由度46位にランクを下げたが、わが日本は59位で、西側諸国と思い込むのも恥ずかしいほどの地位に陥落した。今後は、NHKの経営委員や会長の言動を含め、中国、ロシアと肩を並べるのかもしれない。
舛添新東京都知事が得意満面の面持ちで、記者会見。質問者を指さし気分上々、あの不快で狡猾で気味の悪い笑みを始終浮かべていた。まぁ2,3か月は蜜月かもしれないが、その先は不明だ。昨日時点では、そつなく記者の質問に答えていたが、今後は週刊誌ネタものが出回り、どのような窮地に陥るか愉しみでもある。問題の多くが、彼の人格に関わるわけだが、法に抵触しない限り、舛添知事にとって、人格の卑しさは、彼にとって、勲章であるかもしれない。
本日は多忙のため、取りあえずWSJの、敗戦国の謝罪姿勢にウンザリしている日本を、多少揶揄しながら表面をなぞるように評論している。この記事への筆者のコメントは、金曜日に書くつもりだが、WSJは、現在表面的に起きている幾つかの事象を、一面的に見ているきらいがある点だけは、つけ加えておく。皆様も、WSJの見方をどのように評価するか、記事の内容を吟味していただきたい。
≪ 過去への謝罪にうんざりな日本
【東京】学者で評論家の秋山信将氏の言葉を借りれば、日本は第2次世界大戦で負けたことをはっきりと認め深く謝罪する「グッド・ルーザー」役を演じ続け、久しく二級国家としての地位に甘んじてきたが、その役回りにすっかりうんざりしている。
秋山氏によれば、それが安倍晋三首相の国内政治における目を見張るような成功の一因である。安倍首相は、過去について謝罪することに嫌気がさした国民の上に戦後ずっとのしかかってきた汚名を返上しようとしている。
だがそれはまた、中国や韓国が安倍氏に対しあからさまな反発を示す理由でもある。中韓は、日本がアジアで2000万人弱、中国だけで約1000万〜1500万人の犠牲者を出した戦時中の残虐行為を十分に謝罪していないと非難する。
日本を「普通」の国家にするという安倍氏の取り組みの中には、戦後の占領時代に制定された他に類のない「戦争放棄」をうたった憲法の改正に向けて の取り組みもある。安倍首相は、ごくわずかではあるが防衛費を増額し、地域を越えた外交の立役者として派手に振る舞っている。一橋大学国際・公共政策大学 院の秋山信将教授は、「日本のナショナリストは『グッド・ルーザー』として扱われることに飽き飽きしている」と指摘、「もうこれ以上敗者ではいたくないと思っている」と話す。
安倍氏がナショナリストであるのは疑いない。日本の過去に対する誇りと将来に対する自信を回復しようという彼のキャッチフレーズは、終戦後約70年間の敗北の重荷を背負い続けたくないと思っている日本の若い世代に特に共感を呼んでいる。
例えば、先週末行われた東京都知事選で、元航空幕僚長の田母神俊雄氏は20歳代の有権者から驚くほどの支持を集め、表情の暗さや硬さにもかかわらず同氏は16人の候補者のうち4位と善戦した。田母神氏は、2008年に日本が行った朝鮮半島の植民地化や中国の一部占領を正当化するとともに日本は米国の謀略で開戦に追い込まれたとの考えを示唆する論文を執筆し航空幕僚長を更迭された。
しかしながら、こうした見解は安倍首相が昨年12月に参拝した靖国神社に併設された遊就館の展示品の説明にもみられる。
安倍氏の参拝は東アジア諸国に衝撃を与え、ワシントンでは同氏の政治的な判断に疑問が投げ掛けられ、中国からは同氏は戦後のアジアの平和に挑戦する頑固な軍国主義者だと非難を浴びせた。
だが、日本国内では靖国参拝は安倍氏に大きなダメージを与えなかった。最近の世論調査では、安倍氏の靖国参拝を支持するとの回答が41%で、反対は46%だった。
支持者が全員、右翼というわけではない。世論調査の専門家や学者によれば、支持者の多くは現職の首相の言動について中韓から命じられる筋合いはな いとの考えから支持したのだという。つまり、日本の国民は日本が近隣諸国にもう十分に悔恨の情を示したとのメッセージを送っているのだ。
だが近隣諸国では、日本が永久に謝罪を続けることを広く期待している。そうした感情を配慮している日本の政界、学界、報道界の多くの人は、安倍氏 の靖国参拝に失望のため息をついた。これらの人たちは、参拝は道徳的な観点からは必ずしも間違ってはおらず、やり方がまずいだけと言う。それは、台頭する地域の覇権国、中国をけん制する力の一つになることを自らの新たな役割とすることで、過去の戦時のイメージから脱するという安倍氏の本当の課題に暗い影を投げ掛けた。
一方、安倍氏は軍国主義者であるとの中国の見方に対して、日本では共鳴する人はほとんどいない。東京大学の高原明生教授(政治学)は、国防費を爆 発的に増加させ、ミサイルや潜水艦を増強している中国と、最近わずかばかり防衛費を増やした日本のどちらが軍国主義者なのかと疑問を呈する。
安倍氏自身は、「グッド・ルーザー」としての日本の地位に終止符を打つという彼の使命を多少違うやり方で明確にしている。「戦後レジームからの脱 却」という表現を使っているのだ。だが、安倍氏の政策課題の問題点は、日本の歴史上の罪の大きさゆえに、これ以上少しでも申し訳ないという敗北の姿勢から離れると、東アジア地域に計り知れない不安をもたらすことである。
ワシントンは、安倍氏の憲法改正の方針をおおむね支持している。また、日本が自衛のためより多くの責任を持つことを歓迎している。だが、安倍首相 が近隣諸国をいら立たせていることには警戒感を抱いており、彼がナショナリズムを振りかざしてどこに行こうとしているのか漠たる不安を持っている。
外交問題評議会(CFR)の日本担当上級研究員であるシーラ・スミス氏は、「我々の問題は、安倍氏がどういう人物で、彼の戦略的目標が何であるのか分からないことだ」と話す。スミス氏によれば、「安倍氏は自分に力があることを分かっている。だが、彼にシナリオがあるのかどうかは私には分からない」 と語った。 ≫(WSJ日本版)
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