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東京ゆりかご総括
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2014年02月11日 兵頭正俊 兵頭に訊こう
最近は時の経つのが早い。まるでジェットコースターに乗っているように時間が過ぎてゆく。
わたしがいっているのは状況の時間だ。この都知事選の総括でも、今日・明日くらいが限度で、明後日ではもう発表が遅すぎる。新たな問題、新たな状況が生まれていて、それと取っ組み合わなければならない。
特にネットの住民、ソーシャルメディア村の感度は鋭いので、先にいかないとすぐにおいていかれる。
今回の都知事選は激しかった。小泉純一郎の最後のツイートは、次のようなものだった。
2月7日
「過ちを改むるに憚ることなかれ。これが僕の座右の銘。原発の安全神話、低コスト神話、クリーン神話を信じて疑わなかったのは大きな過ち。これを黙っていることはできなかった。しかし、僕は自分の不明の責任を認め、過ちを改め、原発ゼロに向かって全力を尽くすため敢えて立ち上がった」
「今日は寒かったなぁ。新橋にちょっと早く着いたからその辺を走っちゃったよ。まだ体力があるんだな。細川さんは4つ上だけど元気だね。明日は東京や日本の運命がかかってるから死に物狂いでやる」
2月8日
「いよいよ最終日。細川さんは朝から雪の中で街頭に立っている。今は池袋東口のはずだ。僕は細川さんと合流して、15時から銀座数寄屋橋、19時に新宿東口アルタ前。最後のメッセージを現場で、或いはインターネットを通して是非是非聞いて欲しい」
「打ち上げの新宿はすさまじかった。上から見ていると雪で覆われた傘、傘、傘。その傘がどんどん増えて東口の外を埋め尽くした。猛吹雪の中での街頭演説。こんなことが過去にあっただろうか。生涯忘れられないものとなった。細川さんも力が入るし、僕も張り切った」
「最後は、聴衆からホソカワコールが起きて、胸が熱くなった。駅前に集まった幾千もの皆さんがこれで一体となった。このエネルギーが明日の投票日に爆発することを信じる。皆さん、ホントにご声援ありがとう!」
2月9日
「写真は僕が記者さんに配布した都知事選の結果についての自筆のコメント。慣れないツイッターを続けることができたのは皆さんの励ましやスタッフの協力のおかげ。本当に有り難う。皆さんのご健勝を祈りつつ、これでツイッターを閉じさせていただきます」
これで、小泉純一郎はツイッターを去った。最初から選挙期間中に限定したツイッター開設だった。
都知事選は、投票率46・14%の低水準で、2012年の前回(62.60%)を大幅に下回り、過去3番目の低水準だった。これには、次の4つのゆりかごが影響している。
1 「都民の関心の薄い都知事選」というマスメディアの棄権誘導
2 マスメディアの「脱原発」の争点隠し
3 舛添要一圧勝というマスメディアによる選挙中の世論操作
4 8日から9日未明にかけて降り続いた大雪
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その結果、組織票が堅い舛添要一が当選し、宇都宮健児が次点、組織(政党)に頼らない選挙を展開した細川護熙は、3位だった。
宇都宮は連続しての都知事選立候補だったにも関わらず、共産党と社民党の組織票に上乗せしたのは微々たるものである。いかに魅力のない、敗北必至の候補者であるかを、またぞろ証明してしまった。
かれに降りることを勧めた市民活動家たちの見識が、まったく正しかったことも証明された。
本日(2月11日)の『日本経済新聞』によると、宇都宮は「元首相連合に勝った。達成感がある」と語ったという。
これは勝ちに行った人の言葉ではない。最初から2位狙いの、都民を欺く動機を物語るものだ。負けて「達成感がある」とはよくもいったものだ。
細川の場合、上に挙げた4つのゆりかごの影響をもっとも強く受けてしまった。ただ、政党の推薦を断り、2週間だけの闘いで100万票近くとったのは、驚異的といわねばならない。せめて雪さえ降らなければ、と悔やまれる。もちろん雪のゆりかごで投票を止める都民が悪いのだが。
開票結果は以下の通りである。
舛添要一(無所属・新)、当選、211万2979票
宇都宮健児(無所属・新)、98万2594票
細川護熙(無所属・新)、95万6063票
田母神俊雄(無所属・新)、61万865票
家入一真(無所属・新)、8万8936票
ドクター・中松(無所属・新)6万4774票
マック赤坂(諸派・新)、1万5070票
鈴木達夫(無所属・新)、1万2684票
中川智晴(無所属・新)、4352票
五十嵐政一(無所属・新)、3911票
姫治けんじ(無所属・新)、3727票
内藤久遠(無所属・新)、3575票
金子博(無所属・新)、3398票
松山親憲(無所属・新)、2968票
根上隆(無所属・新)1904票
酒向英一(無所属・新)、1297票
鈴木達夫のような優れた人物が、1万2684票というのには、ぞっとする。ほとんどの都民が、日々、ゆりかごのなかで眠り、何も考えていないことがよくわかった。
以下、今回の都知事選の問題点を3点に絞って採り上げてゆく。
1 メディア
都知事選では、犬HKからIWJにいたるまでメディアの堕落が深刻化した。
この国の不幸の中心にはマスメディアがいる。これが24時間、365日、国民を既得権益支配層の利権擁護のために洗脳し、誘導し続ける。
そこにカウンターとしてのIWJの存在理由があり、リベラル左派の、良心的なネット住民の支持もあった。
しかし、今回の都知事選で状況は一変した。IWJは「脱原発」陣営が分裂選挙に及ぶと、明確に社・共といった政治権力の側に就き、宇都宮健児を支援し、細川護熙を攻撃した。
うかつなことだが、選挙に入っても、わたしは「うつチャンネル」という言葉を知らなかった。これは今や完全に宇都宮健児大本営と化したIWJを揶揄した言葉だったのである。
それから注意深く岩上安身を見るようになったが、揶揄はまったく正しいことがわかり、少なからぬショックを受けた。
IWJの岩上は、ご存知のように、しきりにIWJが危機的である、経営資金が底をついた、と支援をネットで呼びかけてきた。
かれを数少ない日本のジャーナリストと評価していたわたしは、乏しい年金を割いて会員になって応援していた。それで現在の偏向した報道姿勢には、すっかり幻滅してしまった。
メディアに放送法が求めているのは「放送の不偏不党」と「政治的公平」である。「なりふり構わぬ」というのは、選挙期間中のIWJの姿をこそいうものなのだろう。
IWJはまったくの社・共の御用メディアと化してしまっていた。
選挙期間中に、岩上の宇都宮健児へのインタビューを見たが、これで他の立候補者は、もう絶対にIWJには出ることはない、と思った。岩上は、宇都宮健児を盛んに持ち上げて他の候補者への批判を誘導していた。これは犬HKでもやらないことだ。
これなら、宇都宮健児以外の候補者は出てこない、と思った。岩上が自分で出てこれなくしているのである。候補者にもメディアを選択し、司会に公平を要求する権利がある。出て来ないからと、岩上にいきり立つ資格はないのだ。
名護市長選で、なぜ「ストップ・ザ・アベ」が成功したか。健全で、金のために魂を売らないメディアが存在したからである。
東京のメディアは、犬HK(自民党)からIWJ(社・共)まで、政治権力と結託し、「放送の不偏不党」と「政治的公平」をかなぐり捨てていた。
選挙期間中に、IWJの岩上が、わざわざ関西にまで行って、小出裕章にインタビューした動画も見た。そこでは小出を巧みに誘導して宇都宮健児支持をいわせていた。
著名人を利用して、メディアが特定候補を支援する。これは犬HKよりひどい偏向報道である。これなら他の候補者がIWJに出演する筈がないのである。もはや、それも承知で、岩上安身は突っ込んでいた。
今後、岩上安身には「記者クラブ」批判など語る資格はないだろう。
「記者クラブ」は、本音は原発推進の舛添要一支援だった。岩上安身は「脱原発」の宇都宮健児支援である。
どちらのメディアにも公平・中立がない。だから討論会を呼びかけても警戒される。
IWJの岩上は、自民党を監視すると同時に、社・共も監視しなければならなかったのである。それがメディアが権力を監視するという意味であり、ジャーナリズムの使命なのだ。岩上は、古い社・共のゆりかごで眠ってしまった。
岩上安身はツイッターで、大量に会員が減るかもしれないとツイートしている。そうなのだろうか。わたしは辞める会員よりも新規会員の方が多いのではないかと想像している。ぜひとも会員には報告してほしいところだ。
もはや日本のメディアに立候補者を呼んで議論をさせる資格などはない。立候補者は街頭で、ネットで、集会で、直接に国民に訴える時代になったようである。
2 「脱原発」の分裂、あるいは制度としての古い左翼
『しんぶん赤旗』(2013年8月1日付)は、「参院選躍進 国会が変わる 共産党 広がる活動の舞台」と題して、次のように伝えている。
「参院選で躍進した日本共産党が11の常任委員会すべてに委員を配置し、予算委員会と決算委員会、憲法審査会には各2人の委員を出せることが31日、確実となりました。
あす(2日)召集される臨時国会で確定します。日本共産党は、参院で11人となったことで議案提案権を獲得しており、国民の声を国政に反映させる発言力と活動の舞台が広がることになります。
また、内閣、農林水産、経済産業、環境の四つの常任委員会で理事を獲得。憲法審査会では幹事を得ることになりました。委員会や審査会の運営を協議する場に正規のポストを得たことは重要です」
参院選では、「脱原発」を掲げて闘った「生活・社民・みどり・新党大地」などは惨敗した。共産党だけが躍進を果たした。
余勢を駆って、共産党が一本化に乗る筈はなく、2年半後の衆参選挙に狙いをつけて、都知事選を党勢拡大の絶好の機会と捉えたことは想像に難くない。
共産党は、その目的通りに一定程度の成果を上げたものと思われる。しかし、深刻なのは社民党である。
社民党は大失敗した、というのが、わたしの見方だ。第一、参院選の比例区で1議席と惨敗した社民党が、躍進した共産党と「脱原発」で組めば、共産党のひとり勝ちになる。社民党は食われるだけだ。
民主党の菅直人、野田佳彦、自民党の安倍晋三と悪政が続けば、庶民の期待は共産党にゆく。社民党には決して向かわないのだ。
それを参院選と同じ「脱原発」のテーマで共産党と組んでしまった。しかも担いだ宇都宮健児は敗北必至の候補者だった。人間的な魅力がないのだ。それで前回の都知事選で、都民は4倍差で猪瀬直樹を支持した。
これなら参院選で惨敗し、責任を取って党首を辞任した福島瑞穂の純化になる。代わった党首の吉田忠智の存在理由がない。
この宇都宮推薦の間違いは、社民党のみならずにリベラル左派の分裂をもたらしてしまった。
細川護熙支持に回った部分の、社民党との決別を招いたことは深刻である。かれらは、社民党にとっては虎の子であり、もっとも良質でコアな社民党支持者たちであった。この離反は決別といっていいほどの決定的な意味をもっている。それほど今回の分裂劇が激しかったからである。
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社民党の、選択間違いの罪の深さは、まさにそこにある。社民党さえ細川護熙の、勝手連的な支援にまわっていたら、リベラル左派の分裂と対立はほとんどなかったと思われる。
社民党が宇都宮の推薦に回ったために、細川支持のリベラルとの激しい論争と対立を招いてしまった。
これは修復不可能なような激しい対立だった。
共産党は新党員の獲得など、多くの成果を得ただろう。社民党はいったい何を得たのか。失ったものばかりではないか。戦略なきゆりかごのなかで、何か得たものがあれば、ぜひとも教えてほしいものだ。
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