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細川氏は「脱原発を次の世代に残す闘い。日本を戦前に戻そうとする勢力との闘いだった」と総括した。=9日夜、平河町 写真:島崎ろでぃ=
【都知事選】 マスコミが伝えない 脱原発二候補・敗戦の弁
http://tanakaryusaku.jp/2014/02/0008741
2014年2月9日 23:51 田中龍作ジャーナル
東京都知事選はきょう投開票が行われ、分裂選挙となった脱原発2候補は共に敗れた。二人ともマスコミの争点そらしを厳しく批判した。
午後8時33分、細川候補が平河町の選挙事務所に姿を現すとカメラのシャッター音が滝のように鳴り響いた。細川氏は17日間の厳しい選挙戦を闘った疲れを見せる様子もなく、よく通る声で敗戦の弁を語った。
開口一番出てきたのはマスコミと原子力村に対する批判だった。「原発が争点に取り上げられなかった。原発を争点にさせまいとする力が働いていた」。細川氏は無念さをにじませた。
「街頭の熱気と結果の差の大きさに努力が不足していたことを痛感する」と続けた。「努力が不足していた」とするのは謙遜だ。
細川氏の街頭演説はどこに行っても盛況だった。聴衆の目が真剣だった。昨夏の参院選で山本太郎候補(現議員)の演説に集まった聴衆と同じ目だ。山本氏同様、当選するのではないだろうかと思わせるほど迫力があった。
この熱気が票に結びつかなかったのはマスコミの争点そらしのためだった。テレビニュースはそもそも都知事選挙を大きく取り上げなかった。とりあげても福祉やオリンピックなどを優先した。
告示前、都庁記者クラブで行われた出馬の記者会見は、その後の展開を予想させた。記者クラブメディアは舛添候補には厳しい質問をしなかったが、細川候補に対しては徹底してネチネチ追及した。
佐川急便からの借金問題はある程度予想できた。「原発は国政の問題だ。なぜ都知事なのか?」と質問する社があった。いささか驚いた。東京都は原発事故を起こした東電の大株主なのである。
都知事選で原発問題が争点になるのを嫌がっていることがヒシと伝わってきた。前者の質問も後者も共に原発推進メディアの雄だ。
テレビ局は人気のない舛添候補の演説会に、聴衆で溢れかえる細川候補の演説会の映像をつないだ
海外メディアは「原発問題が今回の都知事選のメインイシュー」と報道している。しかし日本のメディアはそうではなかった。筆者はこれを細川氏に質問した。細川氏は「日本のメディアの半分は(原発問題を)伝えなかった」と残念そうに答えた。
アナウンサーとニラミ合う宇都宮候補。メディアが政策を論争させないことに怒りをぶつけた。=四谷 写真:山田旬=
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舛添氏の当選確実をNHKが8時ちょうどに速報してからおよそ10分後、宇都宮候補は共同インタビューに臨んだ。宇都宮氏も細川氏同様マスコミを強く批判した。
「討論会が開かれる機会があったのになかった。精いっぱい政策の宣伝をやったが、メディアを通しての政策討論会が必要だった。NHKでも公開討論会をやるべきだった」。
「1080万人の都民がいる。メディアはこれからの選挙戦の扱いを考えて欲しい。民主主義の危機を感じる。都民にきちっとした情報を届けるのがメディアの役割だ」。
宇都宮候補がインタビュアーの質問に鋭く切り返し、マスコミの不作為を非難すると支持者達から割れんばかりの拍手が巻き起こった。
テレビの開票速報で「舛添当確」の速報が流れると支持者の女性は涙ぐんだ。=同、山田旬=
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マスコミがいくら “盛り上がらない都知事選” と書こうと、「左翼でなくても原発は要らないと言っていい」ことに市民は気付いた。脱原発をタブー視する風潮が消えていき、街頭に人が増えていった。細川氏が立候補し、小泉元首相が連日選挙カーに乗った意味は計り知れれないほど大きかった。
宇都宮、細川両氏の上記のコメントがマスコミに載ることは決してないだろう。
両氏は今後について次のように語った―
細川氏「今回立ち上がってくれた人々と脱原発の活動を次の世代に伝えてゆきたい」
宇都宮氏「選挙が終わったからと言って運動をやめない。つながりを生かして市民運動をやっていく」
脱原発の火は消えていない。マスコミが妨害しようともそれが確認できただけでも今回の都知事選挙は意義深かった。
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