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米、対日TPP交渉で豚・牛肉関税に照準 コメ棚上げ論も
環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る交渉で米国が日本の豚肉と牛肉の輸入関税撤廃を強く働きかけている。コメなどほかの農産物については全廃要求を引っ込め、ひとまず棚上げしたもようだ。ただ、両国の主張にはなおズレが大きく、交渉打開のメドはたっていない。
1月下旬に大江博首席交渉官代理が渡米し、米通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代行と会談した。テーマは日本が重要5項目として関税維持を主張するコメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖を中心とした甘味資源作物の輸入関税の扱い。カトラー氏は「最大の関心事項」として豚肉と牛肉の関税撤廃を強く求めた。日本政府筋は「交渉が大詰めを迎え米国が本音の交渉に入ってきた」とみる。
米国の豚肉輸出の国別割合(重量ベース、2012年)で、日本はメキシコに次ぐ2位。TPPが発効し関税がなくなれば、競合するデンマーク産などより優位に立てるとみているようだ。
牛肉も日本への輸出増を狙う。03年に米国で牛の病気のBSE(牛海綿状脳症)が発生した影響で、日本の輸入は急減。豪州産が台頭した。日本は昨年、輸入規制を緩めたが、13年4〜9月期の日本の牛肉輸入量は豪州産が米国産の1.3倍だ。
コメは日本政府が関税なしで毎年輸入するミニマムアクセス(MA)米77万トンのうち米国産は半分近くある。小麦は国が関税ゼロで買い付ける「国家貿易」で国内需要の大半を賄っているが、米国産は約6割を占める。政府関係者は「米国は本音では自由化を望んでいない」とみる。
米国はオバマ大統領が来日する4月まで関税をなくす交渉を引っ張り、安倍晋三首相との会談で最大限の譲歩を引き出す戦略とみられる。日本は大統領が来日する前の3月までに決着するシナリオを描く。日米双方の思惑を背景に2月22〜25日にシンガポールで開く予定のTPP閣僚会合での完全決着は難しい情勢。今春が最大のヤマ場となる見通しだ。
米議会に慎重論、労組反発に懸念
【ワシントン=矢沢俊樹】米ホワイトハウスは4月のオバマ大統領のアジア歴訪までにTPP交渉を妥結したい考え。だが11月の米議会中間選挙を控え、与党・民主党は慎重論が強い。労働組合などの有力な支持母体でTPPに懐疑的な声が多いためで、大統領も動きにくい情勢になっている。
日本など加盟各国は交渉を急ぐため、大統領に強力な通商交渉の権限を与える貿易促進権限(TPA、通称ファストトラック)法案の早期可決を求めている。貿易拡大に前向きな野党・共和党が多数である下院は望みがある半面、上院はTPPへの慎重論が強い与党・民主党が過半を占める。可決には相当数の反対派の切り崩しが必要だ。
米当局筋によると、日本のTPP参加に猛反発する全米自動車労組(UAW)は最近「権限法案を支持する議員は選挙で支援しない」と民主党議員を突き上げた。牛肉など日本の市場開放を求める米農業界も強硬な姿勢を崩さない。与党内で権限法案の審議を進める機運は冷めつつある。
一般教書演説で妥結に意欲を示したオバマ氏。合意に持ち込むにはTPPに難色を示す自動車業界や労組を納得させる材料が不可欠。今のところ自ら事態打開に動く意欲は感じられない。
[日経新聞2月7日朝刊P.3]
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