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戦争をしたがっているのは安倍晋三だけ
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2014年02月06日 兵頭正俊 兵頭に訊こう
ネットで著名な、きっこが、2月4日、5日に次のツイートをして、これまでの細川護熙批判の戦線から撤退した。
2月4日
「都知事選に関するツイートの大半は醜い人間のエゴばかりで、ツイッターがぜんぜん楽しくないので、しばらく都知事選に関してのツイートしないことにしました。都知事選に関するリプライもすべて無視します。不毛な都知事選ツイートで自己満足したい人は、申し訳ありませんが他でやってください」
2月5日
「私は都知事選についてのツイートを控えていますので、ネット上で言い争いをするのなら、すみませんが私のIDを外してからやってください」
彼女のネット上の細川護熙批判は凄まじく、彼女自身が、誰もがビビって自分に何もいってこないと、うそぶくほどのものだった。
ツイッターに詳しくない向きに説明しておくと、彼女は11万余のフォロワーをもつブロガーで、影響力もかなりのものがある。わたしも彼女のツイートを楽しみにしていたフォロワーのひとりである。
つまり、彼女に連日悪罵を投げつけられると、リツイートによる拡散もあるから、細川護熙は相当な打撃を受けたと思ったほうがいい。
しかし、ツイッターでの彼女への反撃もあったと思われる。
わたしにいわせれば、きっこは、煽りに煽った挙げ句、収拾がつかなくなり、いよいよ投票を5日後に控えて、逃亡を図ったのである。
彼女がやったことは、最悪の場合、細川護熙の落選として結果するかもしれない。その愚かな「成果」も見届けるがよい。
ところが、このきっこが、2月3日には次のようにツイートしていたのである。
「今、小泉純一郎を賞賛してる人たちは、前回や前々回のように小泉のパフォーマンスがペテンだったと分かった時、いったいどんな言い訳をするのだろうか?
あたしは今からすべての著名人の発言を詳細に記録している。「小泉劇場 第三幕のビフォーアフター」の重要なネタとして」
やれやれ、である。自明のことを述べるが、立候補しているのは細川護熙であって、小泉純一郎は細川を支援しているだけだ。
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、というが、きっこの場合、憎まれたのは小泉ばかりか、小泉の「脱原発」を信じた人にまで及ぶ。
支援した人物を信じた人が許せない、というのは聞いたことがない。
いずれ叩くために「すべての著名人の発言を詳細に記録している」というのだが、顰蹙を買うだけだから、止めたほうがいい。
こういうのはきわめて日本的な現象である。日本人は論理的合理的に対処するのが苦手な民族である。
感情的、情緒的に対処するので、選挙の支援が怨恨にまで昇華してしまうのである。きっこは、こういう政争に不向きな人物なのだ。
彼女の支持する宇都宮健児は、とにかく今回の都知事選に出たかったのである。この動機は相当に強いものだった。前回の都知事選で大敗しているので、再立候補というのは、尋常でない動機だったと見て間違いない。
したがって、ルポライターの鎌田慧ら19人の知識人が、「脱原発」両陣営の一本化に動いたが、実現することはないだろう。
宇都宮健児が細川へ投票を呼びかけることは100%ない。逆に細川にもない。このまま都民の判断を仰がなければならない。
共産党の分裂選挙は、今回の都知事選が初めてではない。何十年にもわたって全国で展開されている戦略だ。
野党では共産党が絶対に候補者を全国に立てる。負けるとわかっていてもだ。だから常に選挙協力をやる自・公の権力が続くのである。
それが今回の都知事選にも出ている。したがってわたしたちは今回だけ一本化をいっているのではないのである。
わたしの個人的な印象をいうと、宇都宮健児には人間的な魅力をまったく感じない。かれの話を聞いていると、間違ったことはあまり語っていないのだが、「この人を」というものが沸いてこない。
だから前回の都知事選でも、支援のツイートをしなかった。
このわたしの印象は都民も同じだったらしく、前回の選挙で、かれは猪瀬直樹に4倍の大差をつけられて負けている。
選挙は勝たねばならず、都民の心を掴めない、勝てない弁護士を支持するわけにはゆかないのだ。
かれの話を聞くと、危機感がまるでなく、「脱原発」はこれからもずっと続くのだそうだ。
比喩的にいうと、宇都宮は、日中戦争前夜の都知事選でも、福祉を中心に100の素敵な公約を掲げて、「正義の味方、のんきな父さん、宇都宮健児です」と、にこにこ顔で立候補してきそうだ。
つまりあまり政治家としてのセンスがない人が、たくさんの公約を掲げて立候補してきた。
それを言葉と距離をおけない、別言すれば状況的にものを考えられない共産党や社民党の一部が支援している。これが、かれを取り巻く現実である。
現在の危機的状況は、日中戦争の危機である。これは日本のマスメディアが採り上げないだけで、欧米のマスメディアは盛んに採り上げている。
今や欧米で安倍晋三は極右のルーピーであり、危険人物扱いである。
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それで日中戦争に突き進む安倍晋三を取り巻く状況を、米国がどのように見ているかを考えてみよう。
以前にも述べたが、米国からわが国にくる指示は、ひとつは米国の軍産複合体からくる。これはジャパンハンドラーを通じて官僚と自民党で具現化される。
米国の軍産複合体とジャパンハンドラーに割り振られた日本のミッションは、中国と対立し、緊張を高め、戦争のできる国に構造改革し、米国の兵器を大量に購入し、実際に中国と戦争をすることである。
そのために安倍晋三は、原発輸出から始まって、消費税増税をやり、NSC法案、特定秘密保護法案と通してきた。
今後、共謀罪法案、国家安全保障基本法案、防衛大綱の見直しと進み、自衛隊の海兵隊化を図るだろう。
解釈改憲で集団的自衛権を確立する。新ガイドラインで戦争準備は整う。改憲もTPP参加もやるだろう。
軍国化に日本はふたつに分かれて向かうことになる。
日本の1%は、無責任な対米隷属として向かい、99%は、マスメディアに煽られて反中国のナショナリズム高揚として向かうのである。
これらの準備を日本にやらせながら、米国の双頭のアジア戦略は、オバマ政権を中心に中国との緊密さを深めている。そして米国からは、中国が日本との戦争を望んでいない、という見方が強く出てきている。
つまり安倍晋三の日本が、一方的に好戦的で悪いのだ。このことは非常に重要な視点である。
たとえば、オリエンタル・エコノミスト・アラート誌編集長のリチャード・カッツは、日本のマスメディアの論調とはまったく異なる次の論文を書いている。
「日本に対してどのような路線をとるべきかについて、中国は分裂しているようだ。東シナ海の尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題を意識して防空識別圏(ADIZ)を新たに導入するなど、安全保障問題をめぐって中国は強硬路線をさらに強めている。
だが、日本からのパーツ輸入から日本による投資にいたるまで、経済関係についてはますますハト派的になりつつある。
要するに、中国は政治対立から経済を切り離そうと試み始めている。
2012年当時は、「日本が中国市場に依存していることを利用して、東京から領土上の妥協を引き出せる」と北京が考えていたことを思えば、これは中国側の大きな路線見直しとみなせる。
日本の実効支配下にあるが、中国も主権を主張している尖閣諸島の一部を、野田佳彦首相(当時)が民間所有者から買い上げ、事実上の国有化に踏み切ると、2012年の夏から秋にかけて対日デモ、対日製品のボイコットが中国全土で広がりをみせた(その一部については中国政府が扇動していた)。
中国がこの戦略を見直しつつあることは、2013年11月に日本のハイレベルの経済代表たちが北京を訪問した際の中国メディアの報道にも現れていた。
中国の国営TVネットワークCCTV(中国中央テレビ)は「外交的膠着状況は脇に置いて、日中両国はより堅固な経済的絆を形作ろうと模索している」と伝えた」(『Foreign Affairs Report 2014 NO2』)
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