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2014年02月05日
マクロ経済政策には、常に陰と陽が表裏一体で付き纏う。世界の株式市場で、最も乱暴な乱高下を続けているのは、東京市場である。上にも下にも、他市場より8%程度大きな動きをする。このことは、他の市場以上に、資金の流入・流出が、投資ではなく、投機の対象にされている事実を表している。株価を決定づける、本来の要素よりも、目先の投機的動きが考慮される市場になっており、個別の企業評価はおざなりにされているのが、現在の株式市場といえるだろう。
そもそも、現在行われているアベノミクスは、何が目的で実行された経済政策なのか、もう一度確認しておきたい。雁字搦めの日本経済の現況を、先ずデフレが元凶だと云う言説から、スタートしている。そもそも、デフレが悪で、インフレが善である議論は、殆どなされていない。デフレが悪いと思い込んだところから、この経済政策は始まった。その為に、日銀が無尽蔵な異次元金融緩和策を打ち出し、円安を誘導し、この世をインフレにしようとした。この政策は、一部の輸出大企業にカンフル剤のメリットをもたらすので、経済団体は押しなべて、その政策を評価した。
財務省も、インフレが進めば、対GDPにおける財政赤字も、統計上改善されたように見えるので、好都合。無論、赤字額はインフレでもデフレでも、額は変わらないのだが、財政が改善傾向に見える効果は十分にある。1万円の価値が、半分の5千円になるなら、実質借金の価値も半減するからである。でも、額は変わらないのに、借金が軽くなった安堵感は流れる。しかし、マクロ経済政策なんてものは、あちら立てれば、こちら立たずなわけで、経済効果は功罪相半ばする。
株価上昇で、バブル景気を煽るマスメディアが続出だが、株価に支えられた泡なのだから、いずれ消える。もう消えた人もいるかもしれない。為替操作によって、輸出企業には、一服の清涼剤が提供された。軒並み好決算を叩き出し、マスメディアは、ここぞとばかりに喧伝し、紙面を賑わす。トヨタが世界一に復帰、パナソニックも利益を出した、シャープも好決算!となる。日経平均が610円も下げた日の新聞報道の活字ポイントは、パナの利益が出た方が断然大きい(笑)。だったら、よほど貿易状況も改善にしたに違いないと思いきや、貿易赤字は構造的に定着、着々と赤字を積み上げている。到底、貿易立国などと云う言説は、昔の夢なのである。
その貿易赤字の元凶を「原発が停止して、燃料の輸入額が足を引っ張っている」の一言で、世間の常識を作ろうとしている。しかし、本当に燃料の輸入さえなければ、貿易赤字は黒字に転換するのか?その期待は、まったくの幻想だ。日本のすべての原発を再稼働させても、貿易赤字から脱出は出来ない。挙句に、政府支出の原発維持に要する費用は、多岐にわたる部門に分散されているが、今まで以上に財政を圧迫するわけで、貿易赤字を転換も出来ず、財政健全化に寄与しない。
統計的に見ていくと、日本の構造的貿易赤字体質は、2007年頃から現れだし、徐々に赤字幅を広げていた。そこに、原発停止による燃料代の輸入が重ねあわされ、2013年は11兆5千億前後の赤字に見舞われた。しかし、2007年から、赤字体質は構造的に出来上がっていたので、慢性貿易赤字国になるのは、約束事だったと言えるわけである。輸出は69兆7868億円、輸入が81兆2671億円で、差し引き11兆4803億円の大幅な貿易赤字なのだが、原発停止による燃料代輸入の押し上げ額は4兆円分だけである。つまり、7兆円分は、構造的輸入超過なのである。
つまり、日本は輸入大国であり、輸出大国では、絶対にない。ここが、今後の日本を考えるとき、マクロ経済政策上、最も肝に銘じておく原点である。理屈上は、輸入大国が自国通貨を対ドルで、安くすればするほど、赤字は増大する仕組みになっている。昨年は、1年だけで22%近く円安が進んだ。単純計算だと、15兆円分の赤字が、円安によって生じる理屈になる。実際は為替の様々なオプションで11兆円になったという事だ。
それなら、輸出大国のわが国の、輸出は22%近い円安で、過去最高の輸出額を叩き出したに違いない、と思いたいが、そんなことはない。輸出は金額ベースで9.5%しか伸びていないし、数量ベースではマイナス2%近くになっている。輸入で鉱物性燃料や原材料費、衣料品、通信機器が大きいのは簡単に理解できるが、食料品の輸入には意外感、違和感がある。どこにでも田園や水田風景が見られる日本で、食糧が大きな輸入品であることは、何かが歪められて行われている事の証明なのだろう。農業関連の問題に言及すると、コラムが終わらなくなるので、いずれの機会に回す。
かたや輸出を見ていくと、自動車関連、一般機械、高級鉄鋼が、相変わらず稼ぎ頭であるが、グローバル経済の流れの中で、海外生産と云う空洞化も顕著なわけで、その地位がいつまで安定的にあるかは疑問だ。事実、数量的には下落傾向にある。この辺から、経済学者と社会学的見地で経済を見る筆者との間に、齟齬が生まれる。経済学者のほとんどが、現在の輸出産業が息つきをしている間に、次なる輸出の稼ぎ頭を見つけ、育成させなければならない、となる。その為には笊に水を注ぐように、財政支援の効率的必要性を主張する。
しかし、少子高齢化の人口構成が、ある時から、政策で逆ピラミッドが大転換するなどと云う話は、世迷言だ。まぁ100年も経てば、円柱形の人口構成は可能だ。この問題は、デモクラシー政治体制では自明な問題である。文化水準が上がれば、宗教的背景がない国家では、当然に起きる現象なのだから、そのことに必要以上に政治家関わることは、悪である。個人の自由を完全に冒す。精々現状の環境の悪さを是正する支援を行うのが政府の役目だ。しかも、地球儀を眺めて、比較見地してみれば、日本は既に十分に満たされている。伸びるべき糊代は、殆ど見つからない。成長市場も、日本と世界に資金が集中し、あっという間に飽和状態になる。
つまり、もう市場の拡充とか、あれこれの輸出産業を伸ばすとか、労多くして益少なき目標にまい進する非合理性に着目すべきだ。しかも、この目標へのまい進には、財政出動が必要であり、無駄な金を世間にばら撒くだけで、国家や国民の血や肉に変わることはない。このような経済や文化文明を有する国は、金持ち喧嘩せずの境地を見出すべきである。腹七分目で足るを知る文化を国家の政治哲学に据えて、物質文明的価値観を変えると云う強い意志こそが、次なる世界が見いだせる唯一の光ある道なのである。それこそが「自由社会主義」と縄文文化のコラボである。小さな政府と大きな共同体的社会包摂が歴史ある国家の、新たな旅立ちになる。本日はきな臭い現実論から離れたコラムで、刺激が少なかったようだ(笑)。
最後に、生臭い話の話題も書いておこう。舛添要一の人格問題が、ようやく浸透してきたようだ。どうも世論調査で、誰を支持するか問われると、どのような流れで個人のプライバシーが漏れるとも限らないという疑念だけは、国民にもあるらしく、誰に聞かれても物議にならない返事をしている傾向がわかってきた。マスゾエと答えておく方が支障なし、と思っている有権者がかなり多いそうである。街頭演説が勝つのか、組織力が勝つのか、予断を許さなくなってきた。ちなみに、安倍自民やネトウヨたちの動きが異様にそう状態になっており、ただならぬ気配を醸している。マスゾエ断トツなら、本来、このまま此の儘の筈なのにだ。
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