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アルルの男・ヒロシです。今日は2014年1月30日です。
今日は、地元で都知事選に無所属(共産・社民推薦)で立候補している宇都宮健児候補の演説を聞いた。これで、細川、田母神、舛添、宇都宮と主要4候補の演説を全部実際に聞いたことになる。
だから、私はここで今回の都知事選、いわゆる「リベラル保守」(あるいは保守リベラル)の思想傾向を持つ人にとって誰が最も合理的な投票先かを示す。投票の判断にしていただきたい。
結論から言えば、私は、(当選するかしないかは別にして)仮に当選するとしたら最もリベラル保守(ないしは保守リベラル)の思想傾向を持つ有権 者にとって合理的な投票先は、細川護煕候補であると判断する。この判断にあたっては各候補の政策ビラおよび朝日新聞(1月30日都民版)が掲載した各候補 へのアンケートを参照している。
なぜ、細川に投票するのが最も合理的な選択なのか。それは、大きく分けて3つの理由による。
(1)都民負担を明確に増やすとうたっていない
(2)TPPについてはほぼ反対姿勢である
(3)実際に当選した場合の都政運営の安定度
まず、最初に田母神俊雄は、原発を「事故前の水準にする」と朝日新聞のアンケートで回答しているので、この時点で選択肢から外れる。なぜならばリベラルな 保守(すなわちリバータリアン)にとって、巨額の財政負担・補助金でしか支えられず、官僚主導、中央集権体制の強化につながる原子力はもっとも選択できな いエネルギー源であるからである。
選択肢は細川、舛添、宇都宮に絞られる。(家入さんごめんなさい)
次に外れるのが舛添である。舛添を外す理由を以下に述べる。
<舛添を外す理由>
自民・公明が支持する舛添要一候補の公約は、現在の自民党の政策の延長線上にあり、リベラル保守にとってもっとも重要な、「都民負担の軽減(税金 負担を減らす)」という点において、もっとも都民に不利益な選択を示している。舛添の当選は安倍政権の様々な政策(靖国参拝、安全保障、原発エネルギー、 増税、TPPなど)に白紙委任を与えかねない政治的効果を持つ。
舛添は消費増税について以下のように述べている。
(ア)【どちらかといえば賛成】個人消費を伸ばすため、サラリーマンの給与増加につながる政策と、招来に対する不安を低減する社会保障との一体改革を同時に推進することが重要であると考える。
以上のように賛成している。増税に明確に賛成を唱えているのは、舛添、家入だけだ。そうなると、家入はこの時点で失格である。
また、舛添はTPPについても賛成である。舛添は安倍政権のTPPについてのスタンスをそのまま踏襲している。なお、宇都宮、田母神はTPPには反対である。なお、ともにISDS条項を理由に反対している。
一方、細川は、「どちらかと言えば反対」で煮え切らないふうにも見えるが、回答は以下のようになっており、「多く の産業への影響」を見極めるべきだとしているので、反対に近い。以下に画像で貼り付ける。
(細川のTPPに対するスタンス)
【どちらかといえば反対】交渉の具体的内容が開示されず、国民にメリット、デメリットが示されていない。このため農業、医療など国民生活に密着した多くの需要産業への影響が明らかになっていない。
(舛添のTPPに対するスタンス)
【賛成】海外の成長を取りこむことは、日本の経済成長及び、国際経済社会における地位の維持・向上には必要である。一方、守るべき国益が損なわれないように交渉方針を明確化し、十分情報提供しながら推進するべき。
以上のようにして、田母神、舛添が選択肢から外れた。残るは細川か宇都宮である。
ここでリベラル保守ないしは保守リベラル(いわゆる中道保守、中道リベラル)の政治姿勢が以下の様なものであることを明確にして確認しておく。保守リベラ ルは中島岳志氏の造語であるが意味するところはゆるい社会民主主義に伝統を重視するスタンスであろう。ソーシャルデモクラットであると考えられる。
リベラル保守=温和なリバータリアニズム:大きな政府(増税負担の温床、公務員増加の温床)を嫌い、国民負担や戦争につながる安全保障上の緊張を嫌う。
温和なリバータリアニズムは政府の党制による個人活動の締め付けを嫌うので、基本的には経済的には自由主義であるが、政府と癒着したコーポラティズム(多 国籍企業や労使の協調による権力構造の政治体制)を嫌う。一方、社会民主主義は一定の福祉負担は容認し、それを条件に福祉の充実を図るというスタンスである。
以上のような政治スタンスで候補者を今一度ふるいにかけてみると、福祉政策の充実を語っている宇都宮が同時に消費増税反対と他の財源確保を謳っていることに気づく。ここから宇都宮を外す理由が出てくる。
<宇都宮を外す理由>
(宇都宮の消費税に対するスタンス)
(ア)【反対】消費税は中間層、低所得者層の生活に大きな打撃を与えます。また、これから目指すべきは地域で生活する人々の消費に支えられた経済活性化であり、まずは他の方法での財源確保が検討されるべきです。
(細川の消費税に対するスタンス)
(ア)【どちらかといえば反対】この時期での撤回は困難だが、民意の問い方が不十分であること、景気回復への配慮が足りないのではないかなど問題がある。
宇都宮は消費税増税反対をしながら、福祉拡充を謳っているのだが、その内容は、宇都宮が演説や朝日のアンケートで語ったところによれば「シルバーパス(高齢者の都バス無料パス)の復活」や「75歳以上の高齢者医療窓口負担の無料化」や、待機児童対策や特別養護老人ホームの職員の増加である。
(宇都宮の高齢者福祉に対するスタンス)
(ア)お年寄りが安心して医療を受けられるように、後期高齢者の保険料、国民保険料、介護保険料の値下げを目指します。また高齢者医療費窓口負担ゼロに向けて、当面75歳以上の医療費無料化の検討を行います。
(イ)特別養護老人ホームを拡充するとともに、職員を増やします。また、自宅でも切れ目のない必要なケアを受けられるように、訪問介護と訪問看護を同時に行う「24時間巡回型住宅ケア」の仕組みを構築します。
(細川の高齢者福祉に対するスタンス)
(ア)自宅で安心して暮らせる社会を目指すとともに、自宅では介護が難しい高齢者のための施設整備も進める。
(イ)医療機関、介護施設と連携し、地域で支えるシステム作りをしていきたい。
宇都宮が上に述べたうち、リベラル保守の立場からすれば問題に感じられるのは、「福祉削減の反対」ではなく、「福祉増大」という大きな政府を目指す政策を掲げていることだ。
ここで綺麗事を言わずに考えれば、シルバーパスの無料化や高齢者医療の窓口負担の無料化は、財政か病院関係者にしわ寄せがいくことが当然に予 測できる。ただ、特養の職員増加や待機児童の解消は民間の経営努力でも改善できるだろう。
したがって、どうせ当選しないのでと考えているならば別だが、宇都宮の福祉政策はかなり高齢者向けのバラマキに近いものである。自民党が土建屋にばらまくのと同じように財政肥大化が懸念される。
私はこれ以上の福祉削減には反対である。しかし、野放図な大盤振る舞いの福祉の拡充は若い世代にとっての負担を残すことになるのでやはり賛成しない。
したがって、細川の高齢者政策は正直かなりあいまいではあるが、具体的な「大盤振る舞い」を書いておらず、同時に「福祉の削減」も明確にはうたっていないことから、細川の福祉政策が最も保守リベラルにとっては合理的な選択になる。
またソーシャルデモクラットの立場にたつと、舛添の立ち位置が最も現実的で合理的な選択になるので、やはりこの場合にも、他の政策を考慮しても、宇都宮という選択にはなりにくい。
さらに宇都宮になった場合、細川、田母神でも予想されることだが、都議会との関係がうまく行かず、すぐに都政がストップする可能性がある。
ある政治記者(@Xseijikisha_bot)の情報によると、現在の都議会は、127議席の勢力である。現在、自民党59人。公明党23人。日本共 産党17人。民主党15人。みんなの党4人。都議会結維新の党3人。生活者ネット3人。日本維新2人。無所属1。過半数は64人である。共産党は去年の都 議選で大躍進して17人になったが、共産党は事実上、他の会派と連携できず、宇都宮都政になった場合に与党に入りそうなのは、ネット3人、程度だろう。そうなると与党が20人となる。
舛添の場合は、自民党、公明党で過半数を占めているから安定した都政になる。ただ、細川が当選した場合には、民主党だけではなく、与党を狙おうとする公明党やその他の政党がある種の政策協定を結び知事与党になることも可能性としてはありうる。そうなると自民党は59人で少数に転落するわけだ。
上で述べた政策の分析に加えて、都政の安定度という点も重要だ。
公明党が自公与党のままでは宇都宮、細川とともに超不安定な都政になるが、細川の場合は現実的な妥協として、何らかの政策協定を結ぶ ことも考えられるので、民主党・公明党系の与党になる可能性もあるわけだ。政治は理念と同時に現実の議会運営も大事だから、宇都宮がいろいろな妥協をしな い限りは宇都宮都政はすぐに行き詰まる可能性は高い。
以上のように、急進保守、急進リベラルではなく、リベラル保守、保守リベラルの立場を取る 有権者としては細川護煕以外に合理的な選択はない。あとは政策ではなく人柄とか好みとか支持母体に対する疑いなどの要素が影響して他の選択をすることになるかもしれない。ただ、保守リベラルであれば細川以外に合理的な選択は存在しないのは上で見たとおりである。
たしかに細川は政策が不透明な点がある他、所謂「特区」に賛成しているという報道もある。ただ、細川が TPPのスタンスとして示しているように、「農業、医療など国民生活の影響」を重視する以上、多国籍企業主導のコーポラティズムを加速するTPP政策の推進の舛添よりはずっと良い。
したがってこの点でも、細川護煕がもっとも今回は合理的な選択となる。
ただ、現実的には投票率がかなり上がっても、舛添の支持層が圧倒的なので、今回は厳しいだろう。
ただ、それでも今後の野党再編の足がかりになる可能性もあり、細川の二着でつけることは非常に意味があるのである。
もちろん脱原発の細川が当選することによる中央政界へのインパクトは大きい。原発立地県の新潟の泉田裕彦知事と一緒に、政府に対してエネルギー政策の転換を促す十分な政治的な圧力を構成しうる。少数野党の共産・社民の支持の宇都宮ではあまりこの効果は期待できない事も付け加えたい。
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