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東京都知事選が告示され、2月9日までの選挙戦が開始された。
立候補者は泡沫候補も含めて16名と乱立ぎみだが、最終的には自民、公明党が推す舛添要一氏と小泉純一郎元総理や民主党や生活の党などが勝手連的に支援する細川護煕元総理の一騎打ちで、社民党や共産党が支援する宇都宮健児元日弁連会長がその後を追うという選挙戦になりそうだ。
石原慎太郎元都知事が推す元航空幕僚長の田母神俊雄氏がどのくらいの票を取るかというのは、政策的にも近いタカ派の安倍政権にとっても気になるところだろうが、票数としては泡沫候補に終わる公算が強いのではないか。
都知事選において脱原発を掲げる細川護煕氏と宇都宮健児氏の一本化がまとまらなかったのは残念な事だが、争点は脱原発=原発ゼロ以外にないはずだ。安倍政権は原発を争点にしないことを勝利の第一歩に掲げているが、福島第一原発でメルトダウンを起こし、いまなお原発施設内の汚染水処理にメドすら立っていない。
むろん、中間処理施設や最終処分場も決まっていないし、廃炉への工程も不透明なままである。それでも、原発利権のしがらみから抜け出せない安倍政権は再稼働と原発輸出を着々と狙っている。むろん、自民党が支持する舛添要一氏も脱原発を明確化しないままに、争点隠しのための総花的政策を掲げているのは周知の通り。
オリンピック東京開催に向けての準備や、福祉、防災などに関しては誰がやっても大同小異。実際、猪瀬直樹前知事が借金問題で辞職しても、東京地検特捜部の事情聴衆を受けても、東京都政に大きな影響は出ていない。石原慎太郎都知事時代も、公職を頻繁に休んでいたのは有名な話だ。安倍総理も通常国会開幕で型どおりの施政方針演説を済ませると、さっさとインド訪問に出かけてしまった。都政も霞ヶ関の官僚組織もトップが怠けていても、行政は粛々と進行している。日本が官僚制国家といわれるゆえんでもある。
そうなると、東京都都知事の重要な役回りは日本の将来の命運を決める重要な国策である原発ゼロを安倍内閣に強く突き付けて、政策転換をはかるための影響力を行使することである。細川―小泉両名は原発ゼロに向けて強い決意を示し、都知事選挙戦に望んでいる。その決意やよしとというべきだが、マスコミも色々。脱原発を争点にするのは都政としてはいかがなものかという横槍を入れているメディアも多い。残念ながら脱原発に関しては、メディアも産業界も利権や私利私欲絡みで色々なのだ。
名護市長選挙で、辺野古新基地建設に反対する稲嶺進市長が、4000票以上の大差をつけて勝利した。昨年末に仲井真弘多知事から辺野古沖の埋め立ての承認を取り付けた安倍政権としては、辺野古埋め立て推進派の末松文信元県議の当選で新基地建設計画に確実な道筋をつけたかったはずだ。しかし、名護市民は、「新基地建設NO!」を突きつけた。
自民党安倍政権は、あらん限りの人脈、金脈を駆使して稲嶺候補の勝利を阻止すべくフル動員をかけた。沖縄地元のメディアにおいては、期日前投票も出口調査でも稲嶺候補の優勢は動かなかった。しかし、永田町界隈から沖縄に入る情報は、投開票日直前の3日攻防で、自民党がカネも組織も全力投入するというもので、事前の予測に確信を持てない要因があった。フタをあけて見れば、自民党陣営は大差で敗北した。
にもかかわらず、安倍政権の首脳たちは、名護市民の直近の民意を全否定し、選挙の二日後には沖縄防衛局が入札の広告を発表し、移設手続きに着手した。名護市長選の敗北の総括も反省もないままに、強権的な専制政治を強行する安倍政権と沖縄の世論は決定的な対立関係に入った。新基地工事を強行すれば、辺野古は流血の惨事になりかねない。
地元に歓迎されないところに基地はつくらないと公言してきた米国の出方が注目される。
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