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2014年01月26日
既に東京市場の株価は大きな下ぶれ局面を迎えている。東京市場は24日金曜日に300円以上値を下げたが、そこが打ち止めでないことは、同日のニューヨーク市場で顕著になった。318ドル安は衝撃的だ。デフォルトの危機に直面する新興国の金融筋が、安全資産のドル、円等に大移動していると云うのが、原因なのだが、実は、それは引き金に過ぎない。世界の資金が、安全資産として、ドルや円を買う中で、円は対ドルで値を上げていると云うことは、ドル買いより円買いがより優勢なことを示している。NYでは一時、円は対ドル101円台をつけたわけで、27日の為替及び連動する株価は、一大事を迎えるかもしれない。
バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのディレクターは、「世界の投資家は引き続き強いリスク回避姿勢を保っている」、「アルゼンチンペソの急落などをきっかけに新興市場国相場が今週大幅安となったことで、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和縮小で(新興国から)資金が流出するという懸念が再燃した」と分析した。(ロイター通信)日銀黒田は、今後も金融緩和に前向きだし、世界の潮流とは別世界だ。しかし、中国経済に減速の兆候や、一部中央銀行の金融の引き締めは確実に起きるので、円のみが安全資産になって行く流れを変えることは困難だろう。日経新聞も流石にアベノミクス賛歌だけを唱えるわけにもいかずに、以下のように報道している。
≪ 週明け株安・円高か 新興国通貨安に市場動揺
アルゼンチンの通貨急落に端を発した新興国の通貨安が世界の市場を揺さぶっている。24日の海外市場でも株が売られ、安全資産とされる円や債券に買いが集まった。週明けの東京市場も株安・円高で始まる可能性が高い。金融緩和の縮小を議論する米連邦公開市場委員会(FOMC)が28〜29日に迫っていることも市場の不安材料となっている。ただ、先進国を中心に景気は堅調で、混乱は短期間で収束する公算もある。
「2014年は世界経済に大きなリスクはないと高をくくっていた市場は不意をつかれた」。富国生命投資顧問の桜井祐記社長は話す。
24日の米市場でダウ工業株30種平均は約1カ月ぶりの安値をつけた。外為市場では円相場が1ドル=102円25〜35銭と、前日に比べ約1円の円高・ドル安。シカゴ市場では日経平均先物3カ月物が1万4945円と、東京市場の終値を450円近く下回った。
27日の東京市場もこうした流れを引き継ぎそうだ。野村証券の田村浩道チーフ・ストラテジストは「日本株はしばらく慎重に見るべきだ」と指摘する。円安が企業業績を押し上げてきただけに、仮に1ドル=100円を超えて円高が進めば「日経平均は1万4000円まで下げる」(第一生命経済研究所の嶌峰義清・首席エコノミスト)との声も出ている。
当面は安全資産とされる債券にマネーが集まる可能性が高く、長期金利は一段と低下(価格は上昇)しそうだ。
ただ、混乱が一巡すれば、昨年から続く円安の流れに戻るとの見方が市場では強い。
「円高局面を待っていた輸入企業にとっては絶好の買い場になる」(みずほ銀行の唐鎌大輔マーケット・エコノミスト)ためだ。
国際通貨基金(IMF) は21日公表した世界経済見通しで日米欧の実質経済成長率の見通しを上方修正し、先進国を中心に経済は力強く持ち直すとのシナリオを描いた。「アルゼンチ ンの混乱は世界経済を揺るがすほどではない」(シティグループ証券の高島修チーフFXストラテジスト)との声は根強い。
今後の焦点の一つがFOMC。米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和の縮小に動くことは織り込み済みで、証券購入額を減らすペースに注目が集まっている。 ≫(日経新聞)
日経は立場上、直近の相場への警鐘以上のことは言えない点を考慮して記事を読めばいい。明らかに、今後の相場は、ヤバイと思っているのだ。安倍政権の唯一の自慢話の種が消え去るとは、彼らは口が裂けても言えない人種と云うことだ。筆者は、いくらでも安倍の経済政策に文句を垂れることが可能なポジションにいる。端から破綻する経済政策を行ってわけだが、一時は時の運に愛されたのだろうが、運がいつまでも続くわけがない。円安が進み、株高になり、企業利益は大幅に改善された。しかし、その利益は、為替による差益であり、有価証券評価益によるところが、殆どである。
野口悠紀雄ではないが、製造業が日本を滅ぼすことになるかもしれない。円安・株高で何が起きているのか。デフレからの脱却は起きているかもしれない、企業の景気が若干上向きかもしれない。しかし、円安の影響は庶民の日常生活に関わる経費を増大させる問題を誘発している。夏冬のボーナスが上がった、上がったと喧伝するが、一部の大企業に限られたことである。賞与などと云うものに縁遠い中小零細企業で働く人々、非正規の社員には、生活費増だけが大きくのしかかる。国家財政も、円安株高に関わらず、貿易赤字は記録を更新しているし、わが国の財政上の強みであった国際収支まで赤字に転落した。
アベノミクスは、トリクルダウン現象が、必ず起きる前提で経済政策を続けている。経団連も定昇アップを容認した姿勢を見せているが、官公労、電機事業連合など限られた企業の枠内の話で、7,8割の中小零細の従業員や派遣社員には、無関係な話である。当然、年金生活者も無関係者の一員である。骨太の社会保障は影も形も見せていないが、負担増と支給減だけは、着々と実行されている。革命が起きても何ら驚きがないような政策が実行されているのに、怒り出す人々が少ないのはなぜなのだろう。世界の七不思議だ。
おそらく、日本人の家族間に蓄積された現預金及び資産が底を尽き掛けていない為なのだろう。当面は、何とかやり繰りすれば食べていける状況が残っているのだろう。多くのジジババ、両親が持ち家を保有しているし、車もある。家を購入する人生的イベントから解放されている、若い世代にとって、低収入は自明で、特に異を唱える程のものではないのかもしれない。このような考えも、分を弁えた正論なのはたしかだ。しかし、現在の若者世代の子供や、孫の世代まで、この戦後の高度成長経済の蓄えが残っている可能性はゼロだろう。やはり、国の舵取りが、あらぬ方向に向かっている、と考えるのが妥当だ。
細川・小泉連合の性格を把握するガイドラインとして、ビデオニュースのコメンタリーで宮台真司が適切に解説している。
http://www.youtube.com/watch?v=tmnmfKZCA-I&feature=youtu.be
都知事選における彼らの「脱原発」の公約がシングルイシューのように受けとめられているが、二人の老政治家が打ち出した「脱原発」は、国ありかた方向性を暗示する示唆に富んだもので、有権者は、その意図を十分に吟味する必要がある、と筆者同様、高度な細川・小泉の政治哲学を解説している。たしかに、宮台の説明で意味が把握できる有権者がどの程度存在するかわからないが、小さな政府と大きな社会共同体な国家を、これからは目指して行かないと、すべての政治的努力が泡のように消えるばかりだ、と言っている。
やはり、かなりの感性や知識や理解する気力がないと、細川の腹八分目な国家像は理解するのは難しい部分もあるようだ。このような方向性は、“わびさび”の文化に親しんだ日本人には、本来理解されやすい哲学だが、現代人は、折角の美徳さえも、日本食文化とか云うフレーズで金銭的価値観に貶めようとするのだから、そろそろ異常値を示し始めている人類のテクニカルな傾向から一歩後退した“大人の矜持と達観”を示すべきなのだろう。EUで、そのスローフード観念が出来るのだから、日本人に出来ないわけはない。そういう意味でも、今回の都知事選は、日本人の教養度を知るのに大切な選挙なのだと思う。
未だに、マスメディアは舛添断然有利の世論調査を意図的に垂れ流しているが、街頭演説の雰囲気を見る限り、舛添断トツ報道は、眉に唾をつけて見聞きするしかない。筆者の周りの人間が希少価値人種だけが集まっているとは思えないのだが、断トツで細川に軍配が上がる。新聞テレビが単に既得権益死守の為に嘘を垂れ流し、自己保身に走っているとは思いたくないが、記者クラブ組織がマスメディアの命綱だとすると、こういう我田引水な報道一色になるのかもしれない。いずれにせよ、細川・小泉連合の都知事選における主張は、国家体系そのものを論じている。この高級で高度な政治哲学の主張が、選挙中盤以降、有権者に理解されることを祈るしかない。
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