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2014年01月23日
細川護煕の記者会見の模様は色んなネットサイトにアップされている。文字起こしもあるので、あえて筆者が参考に掲載する必要はないが、細川の考えの肝の部分は、読解する意味で書き起こしておく。周りを囲む記者連中が、具体的、具体的とマニュアル的解を求めるのだが、細川が一番言いたかった部分はこれからの日本の将来であり、これからの人類が選択すべき道を語っていた。ゆえに、俗的なモノの見方考え方に慣らされた記者連中は、細川の本旨に迫る者は誰一人いなかった。想定質問を、為にする下劣な問いを繰り出すだけで、細川の会見の本質に迫ることはなかった。まずは、肝の部分だけ抜粋しておく。
【 細川候補出馬記者会見 】
≪ ………
なぜ決意をしたかということですが、今の国の目指している方向、進め方に何かと危ういものを感じているからです。憲法でも安全保障でも、あるいは近隣諸国との関係でも、懸念していることがいくつかあります。デフレ脱却について、安倍さんはがんばっておられますが、現在の1億3千万人の人口が50年後には 9千万人、100年後には江戸時代に近い3分の1の4千万人くらいにまで減ると予測される、これからの時代に、今までのような大量生産、大量消費の、経済成長至上主義ではやっていけないのではないか。
腹いっぱいではなく、腹七分目の豊かさでよしとする抑制的なアプローチ、心豊かな幸せを感じ取れる、そういう社会を目指して、成熟社会へのパラダイム転換を図っていくことが求められているのだと思います。これは世界でもおそらく初めての歴史的実験になるかも知れませんが、世界が生き延びていくためには豊かな国がその生活のスタイルを多消費型から共存型へと変えていくしかありません。成長がすべてを解決するという傲慢な資本主義から幸せは生まれないということを我々はもっと謙虚に学ぶべきだと思います。
………
この都知事選挙は小泉さんが言ったように、原発がなくても日本は発展していけると考える人々と、原発がなければ日本は発展できないと考える人々とのまさに戦いです。私は原発がなくても発展していけると信じている人々とともに、その先頭に立って戦う決意です。原発問題は都知事選の争点にふさわしくないという人がおりますが、都知事の第一の任務は都民の生命と財産を守ることです。東京から100キロ200キロぐらいのところにある浜岡とか、東海第二とか、柏崎刈羽などでも、もし事故が起こったら都民の生活、安全、財産というものは壊滅的な被害を受ける。オリンピックや消費税、TPPどころではないんです。すべてのものが吹き飛んでしまうわけですから、原発問題こそ、今度の選挙の最大の争点、東京の最重要テーマであることは疑う余地がありません。
さて東京は2020年のオリンピック、パラリンピックの開都市に決定しました。私は当初、大震災後、仮設住宅などにまだ30万人近くの人たちがおられることを思いますと、原発事故後の復旧、復興にまだめどがつかない状態下で、オリンピック、パラリンピック招致に諸手をあげて賛成する気持ちになれませんでした。しかし開催が決まったからには、2020年を新しい東京、新しい日本の建設にとって絶好の目標年にできると思い直して、むしろこのオリンピック、パラリンピック開催を歓迎し、これを新しい日本をつくるチャンスとしてとらえるべきだとの気持ちに変わりました。
ちょうど20年前、私は総理就任後最初の所信表明演説で、質の高い実のある国家、質実国家をめざすということを政権の旗印として掲げました。大量生産、大量消費、大量廃棄の経済や生活を転換する必要を痛感していたからです。大震災、原発事故を経てこのような方向は今こそ決定的になったと感じています。オリンピック、パラリンピック開催を大きな目標に日本の経済や生活を変えていく。首都である東京はその先頭を走ってそのお手本になりたいと思います。
脱原発社会は我々に地産地消の自然エネルギーの普及とともに、経済活動や日常生活での電力消費の無駄の節減を要請しています。私は原発に頼らない東京を実現するために、公的部門、民間部門での自然エネルギーによる発電を促し、一方で電力消費の節減に向かって都民の協力を求め、さらに省エネのための技術開発を促進していきたいと思います。
災いを転じて福となすという言葉がありますが、大震災、原発事故は日本を変え、東京を変えるまたとない機会にしなければ成りません。東京オリンピッ ク、パラリンピックでは、オリンピックの3大ムーブメントすなわち、競技、文化、環境の分野におきまして、さまざまな形で東北の皆さんに協力して頂き、その実質は東京・東北オリンピック、パラリンピックのようにできないものかとも考えております。
私の世代は結果的に原発を推進、容認してきました。その世代の責任を感じるとともに、国の最高責任者としての責任が私にはあります。それは小泉さんも同じです。その不明の責任を感じ、何としても我々世代の最後の仕事として、新しい経済、新しい生活の展望を開いていきたいと思います。いずれにしても、原発ゼロの具体的な取り組みについては東京エネルギー戦略会議というものを立ち上げ、脱原発のエネルギー基本計画を立てていきたいと思います。
私は首都東京の景観にも強い関心を持っております。防災上の観点からも情緒あふれる水と緑の回廊を実現したいと思いますし、日本橋の上の首都高速を排除したり、あるいは可能な路面電車の復活も考えてみたいと思っています。
今、世界は文明史の折り返し点に立っています。環境や資源の有限性の壁に直面して、経済や生活の転換が迫られているのです。福島原発事故は転換に着手しない我々への緊急警報ではなかったでしょうか。東京には誰が知事に選ばれても取り組まなければならない重要で緊急を要する共通の課題があります。大地震に備えた帰宅困難者対策、耐震化の問題、密集した木造住宅の不燃化などの防災対策、高齢者、障害者に対する福祉、あるいは子育て支援、幼児教育充実などです。これらについては都議会や都庁職員の皆さんが知恵を絞って取り組んでこられました。これらの施策のうち継承すべきものは継承して発展的に受け継ぎ、確かな成果を上げていきたいと考えております。
………
また今回の決意の背景には、20年前の政権担当で、必ずしも皆さんのご期待に添う政治の実現に取り組めなかったという深い反省もあります。また借入金問題については、10年かけて全部お返ししたということを国会で誠意をもってご説明させていただきました。しかし残念ながら野党の方々にご理解を頂けず に、国会が空転することとなり、国民生活に関わる予算の成立を遅らせるわけにはいかず、総理をやめるということでけじめをつけさせていただきました。私の不徳のために多くの皆さんの失望を招いたことは、この20年間、私の脳裏を1日として離れることはありませんでした。 この点については改めてこの機会にお詫びを申し上げます。
このところ晩節を汚すなと多くの人たちから忠告を頂きました。確かに逃げる方が楽であることは間違い有りません。しかし日本の存亡に関わるときであり、志を同じくする方が立候補しない以上、私が一身の毀誉褒貶(きよほうへん)を顧みるときではないと考え、あえて多くの人の要請に応え、出馬の決意を固めた次第です。東京が世界の多くの首都に先駆けて文明史的な転換をなしとげ、新しい経済と生活の新しい形態について明るい展望を開く機会を迎えていると私は確信しております。
立つ以上は最善を尽くします。誇りを持って名誉を投げ打つことを潔しとする、私はこの歴史的戦いにすべてをかけて戦おうと腹を決めました。 皆様の深いご理解を賜りますようにお願いをいたしまして、決意表明とさせていただきます。 ありがとうございました。
≫(都知事候補・細川護煕会見抜粋)
長々と抜粋したが、細川の今回の出馬に決め手は、
『 憲法でも安全保障でも、あるいは近隣諸国との関係でも、懸念していることがいくつかあります。デフレ脱却について、安倍さんはがんばっておられますが、現在の1億3千万人の人口が50年後には 9千万人、100年後には江戸時代に近い3分の1の4千万人くらいにまで減ると予測される、これからの時代に、今までのような大量生産、大量消費の、経済成長至上主義ではやっていけないのではないか。
腹いっぱいではなく、腹七分目の豊かさでよしとする抑制的なアプローチ、心豊かな幸せを感じ取れる、そういう社会を目指して、成熟社会へのパラダイム転換を図っていくことが求められているのだと思います。これは世界でもおそらく初めての歴史的実験になるかも知れませんが、世界が生き延びていくためには豊かな国がその生活のスタイルを多消費型から共存型へと変えていくしかありません。成長がすべてを解決するという傲慢な資本主義から幸せは生まれないということを我々はもっと謙虚に学ぶべきだと思います。』
この部分がすべてと言っても過言ではないことだ。
つまりは、“マネーマネー”ではない世界を考える時期が来ているということだ。細川の政治の原点は哲学にある。そのため、具体的施策云々においては、他の候補に劣る場合も出て来るであろう。しかし、本当に、成長を目指す都市像や国家像を描いて、伸びるべきスペースが残されているのか、本気で考えるべき時代でしょう、と言っている。その大局的見地からの延長線上に、脱原発もあるし、町の景観の問題もある。勿論、人に優しい町か、カネを稼ぐために町か、と云う議論も提供している。成熟国家、成熟都市でいかにして、世界に日本ありきを示せるかだ、と言っている。
小泉純一郎元首相と細川は、世界観では、かなり違いがあるだろうし、具体的施策がブレークダウンした時点で、相違は顕著になるだろうが、それは問題ではない。小泉元首相にとっては、細川が当選し、脱原発を旗印にして、安倍晋三の時代錯誤を戒め、痛い目に合わせれば、目的は達する。竹中は市場原理主義だが、小泉が経済市場を、どのように捉えているかは、誰も聞いたことがない。多分、どっちでも良いのだろう(笑)。また細川は、東京都職員に対し、親和性を見せている点も面白い。舛添、宇都宮では、都庁がグチャグチャにされる恐怖を抱いている部分をやんわりと撫ぜている。
今回の都知事選の特長にS学会の組織力が、今までのように機能するかどうかと云う疑問符がついていることだ。週刊ポストの記事によれば、投票率が55%以上になれば、完璧に細川候補の圧勝を予測している。筆者の耳にしている限りの数字にも符合する。自公の基礎票は目一杯勘定しても230万票。それに対し、宇都宮の基礎票は60万、田母神が40万。残りの浮動票は250万票が細川・小泉連合に流れると読む。この数字は、投票率が55%という前提で、これ以上投票率が伸びれば伸びるほど、細川の優勢が盤石なる。マスメディアでは、絶対に公表されないが、自民党の焦り具合をみていれば、上述の数字が本当だと頷けるわけである。気の毒だが、安倍晋三の花道が“ソチ五輪開会式”で幕を閉じそうなムードになってきた。まぁ都民が、想像以上に舛添と云う男を好きなら、話は別だが、まさかと思う。
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