49. 2014年1月24日 23:33:57
: esmsVHFkrM
>>41さま、>>44(>>46)さま、>>26です。 わたしの拙文をお褒めいただきありがとうございます。大変うれしく思います。 >>44さまがご指摘の点については基本的に同感ですが、多少愚考がありますので申し上げます。 >>44さまの「この構図からは逃れられないのでしょうか?」とのご質問の「この構図」とはアメリカの日本支配という「構図」を意味しておられると理解します。 この構図は確かに存在するのですが、それをそのまま大雑把に受け入れるならば、「だから自民党支配は変えられない」という現状維持論か「だから戦後を清算してアメリカから独立しなければならない」との戦前復帰論の両極端の誤った主張になってしまいますので、その内実が正しく理解されなければならないと思います。 わたしには「アメリカの日本支配の構図」はこう見えます。 戦前の天皇制ファシズム官僚政府は、その利権支配の存続のため大陸侵略を図りその帰結としてあの無謀なアジア太平洋戦争を引き起こし、2000万人を超えるアジア人を殺し370万人もの日本人を犠牲にした挙句に敗戦しました。本来であればこの天皇制ファシズム官僚政府の戦争責任と戦争中の幾多の残虐行為に対する戦争犯罪責任は日本人自身の手によって裁かれなければならないはずのものでしたが、残念ながらそれはアメリカを始めとする連合国による東京裁判という形をとりました。 東京裁判とは端的に言って、アメリカと天皇制ファシズム官僚との「手打ち」です。戦後の冷戦を見すえて日本の再建を模索するアメリカは、必死に命乞いする天皇とそのファシズム官僚政府に注目してこれを利用することとし、彼らとの間で以下の取引を行いました。 1.日本は国家として戦争責任と戦争中の残虐行為の責任を認めること。 2.ファシズム官僚政府はアメリカの走狗となって、反共政策等のアメリカの国益を東アジアで実現する政策を遂行すること。 3.以上を条件として、天皇とファシズム官僚政府は戦争責任と残虐行為責任を免責され、一切の戦争責任は軍部だけに負わせることにする。ファシズム官僚政府は引き続き権力に留まって上記2.を遂行する。天皇は象徴となって無力化される。 これが東京裁判です。 戦後改革で日本は民主化され新憲法の下で民主主義的な選挙制度と代議制が確立されましたから、東京裁判取引で生き残ったファシズム官僚政府が民主主義的選挙の結果に干渉されないために常に選挙で勝利するべき強大な保守党として、東京裁判取引で免責された文官A級戦犯でCIAのスパイとなった岸信介の手でCIAの資金により自民党が作られました。自民党はその後長くCIA資金を受けてその政権を維持することになります。 これで明らかなように、アメリカの日本支配は、日本の右翼保守勢力、すなわち自民党、利権官僚政府(旧天皇制ファシズム官僚政府文官)、保守言論人、民間右翼組織と組織暴力団、を通して行われてきましたし今もそれが続いています。 だからこそ、戦前は「鬼畜米英」であったはずの右翼保守が戦後は「対米従属」となり、再軍備から始まって、朝鮮戦争、安保条約、ベトナム戦争、アメリカ国債の買取り、イラク戦争に至るまで一貫して米国従属政策を行いつつ、それと平行して戦後民主主義とその憲法のなし崩しの無力化を推し進めてきました。そんな戦後民主主義の否定に反対する社会主義および民主主義勢力は、米国従属政策に反対し反米となって結果として「愛国」となりました。 この「愛国」を唱えるものが「米国従属」で「民主」を唱えるものが結果として「反米」となる「民主と愛国」のねじれは東京裁判取引の結果であり東京裁判取引への正確な理解なくして戦後日本政治は理解できません。 これが「支配を受ける」日本側ですが、「支配を行う」アメリカ側も単純な一枚岩ではなかったと思います。端的に言って、現在の共和党に結集する右翼勢力と民主党のリベラル勢力です。 アメリカの日本占領政策の破行性に見られるように、アメリカの日本支配はこれら二つの勢力の間で破行的に展開してきました。占領期には、リベラルは日本の民主化を優先し右翼勢力は反共を優先しました。冷戦期には両者ともに反共を優先しました。冷戦終結後、右翼勢力は反テロを持ち出して日本支配を継続しましたが、リベラルはそれに引きずられてきました。 したがって、日本の保守勢力、すなわち利権官僚政府や自民党や右翼保守言論人に親和性が高いのはアメリカの共和党でありその右翼勢力です。アメリカの共和党右翼勢力は、戦後一貫して日本の保守勢力の後ろ盾となりその反共政策とそれに付随する戦後民主主義の無力化を支持してきました。 これに対してアメリカの民主党リベラルは、冷戦期を除き、このうような日本の右翼保守勢力を利用した日本支配についてそれほど熱心でないと思います。それは、本来の民主主義的な政治思想に加えて、戦後アジアにおいて反共であるというだけで腐敗した在来の右翼保守勢力に過度に依拠した結果アメリカ自体がその国の民主勢力から敵視され挙句に革命によってその国を失うという経験(南ベトナムとかイランとか)から、そういう「奇手」によるのではなく「正攻法」でいく、すなわち各国の民主化を援助して民主的な政府との間で合理的な利益共有関係を築いていくという方向を志向しているからです。 さらに、冷戦期にはアメリカの世界プレゼンスは冷戦勝利のために必要なもので避けられない負担と考えられてきましたが、冷戦終結後はそのような正当化が不可能となっています。そこで共和党右翼はその覇権志向を継続するため「テロとの戦争」を発明しアメリカの世界プレゼンスを正当化するとともにそれを部分的に拡大しました。これがブッシュ政権です。 これに対し民主党リベラルは当初は引きずられていましたが、徐々にこれを反省するようになり、アメリカの世界プレゼンスの本当の必要性とそれをどう整理していくかの検討にかかっているものと思います。オバマ政権はメディケアのような重要政権課題における議会対策上外交政策において妥協的にならざるを得ないため共和党右翼に引きづられて見えにくくなっていますが、その基調においてはこのような世界プレゼンスの合理化を志向していることは明らかです。 オバマ政権の東アジアにおける米軍再編がオーストラリアを驚愕動揺させたのはこの現れです。オバマは急遽オーストラリアに飛び当時のオーストラリア首相のギラードとノーザンテリトリーという田舎で首脳会談を行って、オーストラリアを見捨てないとの確約を与えその保障としてアメリカ海兵隊をオーストラリアに常駐させることにしました。オーストラリアは戦時を除き一切の外国軍隊の駐留を認めてきませんでしたから、このアメリカ海兵隊の駐留は異例のことでありそれをオーストラリア側から懇願したことにアメリカの後退に対するオーストラリアの動揺と焦燥が現れています。 日本に対しても、民主党リベラルは必ずしも軍事駐留に固執しないとの気配が見えます。日本が嫌がるなら引いてもいいということで、鳩山民主党政権下において沖縄海兵隊のグアム移転が打診されたのはこのためです。恐らくアメリカ民主党リベラルは、特に民主党政権成立前夜には、過度に自民党と右翼保守勢力に入れ込んで結果として日本を失うことになるよりは共和党右翼がやってきた「日本支配」を合理化しても民主主義国家同士のふつうの関係の中で同盟を維持していった方がいいと考えていた形跡があります。 だから、現在のオバマ政権の安倍自民党政権への冷淡ぶりはこのようなアメリカ民主党リベラルの志向、すなわち、反共(反テロないし反中国)より日本の民主化を優先する、腐敗した右翼保守勢力への過度の加担を避ける、アメリカのプレゼンスの合理化を図る、このような調整を平和裏に行うために現在の平和国際秩序を維持しそれの変更をゆるさない、に基づくものです。 共和党右翼は、このような志向がありませんから、そのイデオロギー上の親近性もあいまって、一層安倍自民党と強固に結びついていく、すなわち、安倍はその政権維持のために共和党右翼が必要で共和党右翼は東アジアにおける軍事的プレゼンス維持のために便利な道具として一層安倍自民党を必要としていく、ものと思われます。 つまり安倍自民党は一層アメリカの走狗的になっていくということですが、それは片面のアメリカに過ぎずもう片面のアメリカからは一層嫌われていくということです。 現在のアメリカの構図はこうであったとしても、また現在がオバマの民主党政権であったとしても、今後のアメリカはどうなっていくのかということが問題ですが、注目すべきは、日本のメディアはあまり報道しませんが、ブッシュ政権の終焉をもってアメリカの共和党右翼の時代は終わりつつあるということです。 2012年にオバマは再選されました。その際の投票分析で、黒人やヒスパニックさらにアジア人の投票参加の増加やアメリカ南部や西部における都市化の進展等により、共和党はその勢力を失いつつあるとの観測が相次ぎました。具体的にはヴァージニア、フロリダ、テキサス、アリゾナ、コロラドといった州を失っていくだろうということです。実際その際同時に行われた上院選挙で民主党は勝ちましたがヴァージニアでも勝っています。さらに昨年の知事選ではヴァージニアで確か何十年来始めて民主党が勝ちましたし、下院議員補選では共和党のティーパーティ候補が全滅しました。 今年の中間選挙は上院改選議員に民主党議員が多いので予断はは許しませんが、上院では確実に民主党がひょっとすると下院でも民主党が勝つでしょう(下院は共和党が多数を占める各州知事のゲリマンダーによって選挙区割りが共和党有利になっていますので全国での得票数では民主党が上回っていながら共和党の議員が多くなっています)。 すでに共和党本流ではこれに危機感を抱き、ティーパーティではない穏健な中道右派の候補者を出していこうとの議論が強まっていますが、共和党の予備選挙でそのような穏健な候補者がなかなか勝てなくなってしまっているのが問題です(共和党の右傾化はそれほど根深いということです)。2016年大統領選挙で共和党が勝てる穏健派の候補者としてニュージャージー州のクリスティ知事が注目され実際昨年の知事選でも順当に勝ちましたが、現在ブリッジゲート事件でけちがついていて、共和党は2016年に穏健派候補者を用意できないかもしれません。 というわけで、アメリカ政治においては今後ますます民主党とそのリベラル勢力が強くなっていくだろうし、共和党はそれに対応して極度の右傾化を正して中道穏健へ戻っていくだろうと思われます。そうなった場合には共和党政権であってもその共和党本流の本来の孤立主義的傾向から、民主党政権以上に対外プレゼンスの整理と東アジアからの急速な退行を行うかもしれません。 いずれにしても安倍自民党には厳しい時代が来ることは確実です。 というわけで、いろいろ雑多な議論になってしまいましたが(>>44さまの問いはわたしには手に余るようです、今度ゆっくりどこかのスレに書いてみたいと思います)、結論としては、 1. アメリカの日本支配は存在するが、それは徐々に清算ないし希釈していくことが可能だ。 2. それは共和党右翼勢力と日本右翼保守勢力政権の組み合わせのときが最悪だ。 3. したがって日本では一刻も早く非右翼保守政権を作る必要がある。 4. アメリカ側においては民主党リベラルが今後強くなっていくだろうから民主党リベラル政権が続くだろう。 5. そのうような民主党リベラルと日本民主勢力政権の組み合わせにおいては「アメリカの日本支配」を整理合理化して普通の同盟関係に転嫁していくことが出来るだろう。 6. アメリカ共和党もその党勢退潮の中で中道穏健派が復活しつつあるので、共和党中道穏健派政権であれば、民主党リベラル以上に「アメリカの日本支配」を整理合理化するチャンスがある。 以上、急いだ書きなぐりですが、>>44さまの問いにお答えしたいと思います。
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