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自民が手ぐすね…/(C)日刊ゲンダイ
異例ずくめだった都知事選「細川出馬会見」 識者はこう見た
http://gendai.net/articles/view/news/147456
2014年1月23日 日刊ゲンダイ
22日の細川護煕元首相(76)の都知事選出馬会見は何から何まで異例だった。
まず、報道陣の数。カメラは50台前後、記者は200〜300人。細川が「原発ゼロ」を最大の政策に掲げていることもあり、多数のネット記者や海外メディアも押しかけた。新聞社やテレビ局は地方選挙の場合、社会部がカバーするが、今回は政治部の記者も入った。それやこれやで、「石原・猪瀬時代もここまでごった返したことはない」(都庁記者)ほどの大盛況になったのである。
その会見で、細川は「今の国の目指している方向、その進め方に何か危ういものを感じる」と言った。そして、〈憲法、安全保障、近隣諸国との関係でも懸念していることがいくつもあります〉といきなり、国政に切り込んだのだが、これも都知事選の出馬会見としては異例だろう。
細川は〈成長がすべてを解決するという傲慢な資本主義から幸せは生まれない〉〈原発がなくても日本は発展していけると信じている人々の先頭に立って闘う〉と言い切った。
これらは全て、痛烈な安倍批判であり、安倍へのアンチテーゼだ。
中韓に拳を振り上げ、右傾化路線をひた走る安倍。株価がすべてで原発再稼働にシャカリキの安倍。それに対して、細川は原発政策のワンイシューではなく、憲法、外交、安全保障、経済政策、成熟社会のあり方など広範囲にわたって、安倍への挑戦状を叩きつけたわけである。あり方など広範囲にわたって、安倍への挑戦状を叩きつけたわけである。
さて、この手法、戦法は正しいのか。どれだけ都民の胸に届いたか。
「細川さんの主張には、私もその通りだと思いました。細川さんが立つ意味は、危険な安倍政治を止めることです。弱肉強食を進め、近隣諸国とケンカしても構わないという傲慢な政治をストップさせること。これを都民に問うのは意味があるし、立った以上、何が何でも勝たなければなりません。負ければ、安倍首相の路線が正しいことになってしまう。都民が認めたことになってしまう。それだけに、負けられない戦いになったな、と思いました」(政治評論家・森田実氏)
慶大教授の金子勝氏も細川会見を評価する。
「主張には説得力があり、切実な感じが伝わってきました。細川さんは、原発を止めて再生エネルギーで新しい産業を切り開くべきだと語っているが、これぞ世界の潮流です。それなのに、この国は現在の成長路線を維持するために原発による古い経済構造を守ろうとしている。それでいいのか。それとも、再生エネで新しい経済構造に変えていくのか。それを争点にしたのです。自身の高齢批判に対しても、『元首相として、文明的な転換をやり遂げなくてはいけない』と言いました。責任感と説得力を感じました」
人口減が著しいのに、全ての諸問題を成長で解決しようとする経済成長至上主義に疑問を投げかけた細川は、記者会見の後、出演したインターネットテレビでこう言っていた。
「口で批判する人はいるが行動する人はいない。今度も誰か出てくるかと思ってみていたが、誰も出ないので出ることにした」
高齢での出馬は将来世代に対する責任感の強さと覚悟の表れともいえる。
「細川さんは、3・11の際、東京の一部で水道水が飲めなくなったり、停電になったことを挙げ、『原発は都民の生命と財産に関わる問題だ』と主張していました。なぜ原発が都知事選の争点になるのかを明確に説明できていた。原発再稼働が最も重要だという主張は極めてクリアでした」(元外務省国際情報局長・孫崎享氏)
安倍・自民党は今後も盛んに細川の問題提起にイチャモンをつけるのだろうが、どんどんやればいい。そうした言動こそが、細川の正しさを裏付けることになるからだ。
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