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細川氏(左)と小泉氏が掲げる「脱原発」は理想だが、問題も多い
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20140122/plt1401221810004-n1.htm
2014.01.22
東京都知事選(23日告示、2月9日投開票)で、細川護煕元首相(76)が22日夕、正式な出馬会見を行った。会見では「脱原発の同志である小泉(純一郎)氏から強いメッセージを受け、出馬の意向を固めた」と述べた。エネルギー問題に詳しいジャーナリストの石井孝明氏が、元首相コンビが掲げる「脱原発」の疑問点に迫った。
細川氏は14日の出馬表明で「原発について、国の存亡に関わる問題だという危機感を持っている」と述べた。小泉氏は「原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくして日本は発展できないというグループとの争い」と、過激に都知事選を定義した。
彼らの主張を合理的に解釈しようとしたら、頭が混乱するばかりだろう。2人は「論理」よりも「感性」で動いている人たちだ。
細川氏の「原発ゼロ」の具体策は見えない。ジャーナリストの池上彰氏が昨年末に出版した「池上彰が読む小泉元首相の『原発ゼロ』宣言」(径書房)では、細川氏がインタビューに答えている。
それを読む限り、細川氏はゆがんだ情報を真に受けている。英国の原発施設の周囲では「白血病が増え」ている。福島も「帰れない人たちが当分減ることはない」、そのため「原発ゼロにすべき」という主張だ。
しかし、英国政府の調査では白血病の多発は確認されておらず、福島でも「健康被害の可能性はない」というのが、専門家の一致した見解だ。根本的にリスク認識が誤っている。
そして、「安倍(晋三首相)さんが『オリンピックは原発問題があるから辞退する』と言ったら、日本に対する世界の評価は、もう格段に違ったものになっていたと思いますよ」と、五輪返上を主張していた。
池上氏はインタビュー後の感想部分で「安倍首相が東京オリンピックを辞退していたら、風評被害どころか、とてつもない問題になっていただろうと思います」と、当然のコメントをしていた。
そもそも、都知事の職分と、原発は直接結びついていない。
原発事故の後、「原発をどうする」など、エネルギーをめぐるさまざまな問題が噴出した。立場ごとに取り組むべき優先課題は違う。東京都は電力では「消費地」で、日本の全電力消費の約1割を使う。
その制約条件から考えれば、東京都の最大の課題は「省エネによる電力消費の抑制」と「安定供給手段の確保」「福島、新潟などの原発立地県への感謝」であり、これからもそうであろう。
ところが、「脱原発」は、そうした東京都が取り組むべき課題とはまったく方向が違う。
猪瀬直樹前都知事は、副知事時代に取材した筆者に「『水に落ちた犬は打て』という。東電をたたくのは今だ」と、品のない発言をした。そして、「東電の独占をなくす」「原発がなくても大丈夫にする」と目標を定めて、都内での大型天然ガス発電施設の検討を指示した。ところが、コストがかかりすぎると、都は2013年に計画を断念した。
猪瀬氏は自然エネルギーの振興も表明したが、国が固定価格買取制度に動いたため、都の出る余地は少なくなった。大体、東京電力は国の支援を受けて過半の株を国が保有する事実上の国営企業で、国の意向と大きく違う行動はできない。
猪瀬氏の経験が示すように、東京都が原発をめぐって、できることはかなり少ない。それよりも、都知事のズレた対応や配慮の乏しい発言が、都民や他県民に悪影響を与えてしまう。
福島市在住の主婦は「東京の電力消費を支えるために、福島県は原発を引き受けたわけですよね。それなのに福島のことを忘れて、いきなり『脱原発』って、好き勝手なことを言っていますね」と不快感を示していた。
14日発表の貿易統計によれば、日本の貿易収支は1兆2929億円の赤字で、17カ月連続となり、また過去最高となった。これは無計画に原発を止めた影響で、燃料輸入が増えたことが一因だ。日本経済の力が弱まる中で、ポイントを外した政治を続ける余裕は、日本にもうないはずだ。
細川、小泉両氏は、この現実に気づいているのだろうか。
■石井孝明(いしい・たかあき) 経済・環境ジャーナリスト。1971年、東京都生まれ。慶応大学経済学部卒。時事通信記者、経済誌記者を経て、フリーに。エネルギー、温暖化、環境問題の取材・執筆活動を行う。アゴラ研究所運営のエネルギー情報サイト「GEPR」の編集を担当。著書に「京都議定書は実現できるのか」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞)など。
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