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2014年1月16日
「桐一葉落ちて天下の秋を知る」
とは、
「落葉の早い青桐の葉が一枚落ちるのを見て秋の訪れを察するように、わずかな前兆を見て、その後に起こるであろう大事をいち早く察知することをいう。
また、わずかな前兆から衰亡を予知するたとえとしても使う。」
(出典:「故事ことわざ辞典」)
http://kotowaza-allguide.com/i/ichiyouochite.html
安倍晋三氏は昨年年末の東証大納会に出席して、
「アベノミクスは来年も買いだ」
と述べた。
これを、
「2014年は株価が小休止したとしても日本経済は強い」
と述べていれば、状況はまったく異なるものになる。
2014年に安倍政権は史上空前の超緊縮財政を実行する。
このことを念頭に置けば、
「アベノミクスは来年も買いだ」
の言葉は出てこない。抑制の利いた発言を示すのが、勝負師である。
「欠く」ことを避けることは、「満つる」ことを防ぐことである。
「満つれば欠く」のが、この世のことわりである。
2013年は安倍首相にとって順風満帆の年、わが世の春を実感した年であった。
しかし、冷静に考えれば、成果と言えるのは円安・株高が進行したくらいのものだった。
安倍首相はこれをアベノミクスの成功だとアピールするが、金融変動を詳細に分析すれば、それも正しくない。
円安が進行した最大の背景は、米国長期金利の上昇にあった。
米国の10年国債の利回りは2012年7月に1.38%の最低水準を記録した。
これを起点に上昇トレンドに転換し、2013年9月、12月に3%台に乗せた。
この米国長期金利上昇がドル高・円安トレンドを生んだ。
日本株価は円ドルレートに完全連動しており、ドル高=円安トレンドの実現に連動して日本株価の上昇トレンドが発生した。
アベノミクスの第一の矢、第二の矢である、日本の財政金融政策発動はこうして生じた円安・株高の流れを補強したに過ぎない。
翻って2014年には、大いなるリスクが潜む。
私はこのリスクを
『日本経済撃墜−恐怖の政策逆噴射−』(ビジネス)
にまとめた。
安倍首相にも、その骨子は伝わっているはずであるから、安倍首相は2014年の見通しを語る際には、用心深さが必要である。
単純に
「アベノミクスは2014年も買い」
ということにはならない。
この安倍政権の2014年を占う、重要なイベントが1月19日と2月9日に実施される。
沖縄県名護市長選と東京都知事選だ。
いずれの選挙も、安倍政権としては、絶対に取りこぼすことのできない選挙である。
沖縄には札束をばらまく算段を整えた。
東京都では、「絶対勝てる候補」の擁立を支持した。
これで安倍首相は勝てると思っているのかも知れない。
しかし、現実はそれほど甘いものではないように思われる。
名護市では直近4回の市長選で、辺野古基地建設推進派が3度勝利している。
前回の2010年選挙だけ、辺野古基地建設反対派が勝利した。
いまの稲嶺進市長が勝利したのである。このときは、鳩山由紀夫政権が普天間の県外・国外移設を推進していたときだ。
政権が変わり、安倍政権が辺野古基地建設を推進しているのだから、金の力で名護市長選も勝てると安倍首相は考えているのだろう。
東京都も、世論調査でナンバーワンの舛添要一氏を擁立すれば勝てると思っていることだろう。
しかし、安倍首相の想いと現実との間に、微妙なすれ違いが生まれ始めている。
安倍政権の「終わりの始まり」がどうやら動き始めているのではないか。
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