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醍醐聰のブログ
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新旧宇都宮陣営は問題の重大性を自覚すべきである(1)
(注)この記事と次の記事で表記する「新旧宇都宮陣営」とは、「2012年の東京都知事選に立候補した宇都宮健児氏、その選挙母体であった政治団体ならびに選対関係者、宇都宮氏を支持した政党、団体、宇都宮氏を支持した個人と、今回の東京都知事選に立候補を表明した宇都宮健児氏、その選挙母体である政治団体ならびに選対関係者、宇都宮氏を支持することを表明した政党、団体、個人としての支持者」の総称である。
「宇都宮氏を支持する前にやるべきこと」はなされたのか?
私は1月4日に「宇都宮健児氏を支持する前にやるべきことがある」という標題で4つの記事をこのブログに掲載した。(次の記事以下に逆順で掲載している。)
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-041d.html
しかし、宇都宮氏は1月6日に都知事選にのぞむ基本政策を発表し、それを受けて日本共産党、社民党、いくつかの市民団体、個人が宇都宮氏支持を表明した。
この間、私が知り得た情報を見ると、「宇都宮さんを支持したいが、投げかけられた疑問にはきちんと答えてほしい」といった声を見かけた。しかし、上記の政党や団体、個人の支持表明を見ると、政策面での一致が強調され、私が指摘した「宇都宮健児氏を支持する前にやるべきこと」がなされたことを確認する術は今のところない。非公式になんらかの検討がされたのかもしれないが公にはされていない。逆に、この時期に、私(や澤藤統一郎氏)がしたような公の場での宇都宮陣営批判は敵陣営を利するだけだ、という声が一部からではあるが直接、間接に聞こえてきた。(これについては次々回の記事で応答する予定である。)
さらに、1月5日付で発表された弁護士3氏(中山武敏、海渡雄一、田中隆の各氏)の連名の文書「澤藤統一郎氏の公選法違反等の主張に関する法的見解」(以下、「法的見解」という)は、その結びで、「澤藤氏の主張する法的問題について簡潔に検討したが、それらのどれもが、些細な事務的ミスを針小棒大に取り上げたものであるか、悪意に基づく憶測によるものであり、前回の宇都宮選挙が、公職選挙法の厳しい制限のもと、市民選挙としてきわめてクリーンに行われた事実を私憤に基づいて中傷誹謗するものとなっていることは、きわめて遺憾である」と記している。
「些細な事務的ミス」なのか?
上の指摘のうち、「悪意に基づく憶測」、「私憤に基づく中傷誹謗」という指摘が当たるのかどうかについてはここでは立ち入らない。しかし、@「それらのどれもが、些細な事務的ミス」であるとの記述、A「前回の宇都宮選挙が、公職選挙法の厳しい制限のもと、市民選挙としてきわめてクリーンに行われた」という記述には疑問を覚えた。このうち、Aについては、冒頭に掲記した連載記事「宇都宮健児氏を支持する前にやるべきことがある」の(2) 前篇、(2) 後編で、澤藤父子の告発記事に基づいて疑問を呈した。ただし、そこでは、澤藤父子が一方側の当事者であることを考慮して、事の真偽を説明するよう宇都宮氏と旧宇都宮選対の関係者に求めた。澤藤父子の告発が事実なら、前回の宇都宮選挙は市民選挙らしからぬダーティな面を含んだ選挙だったということになるから、宇都宮氏ならびに旧宇都宮選対関係者は自らの信頼をかけて事の真偽を説明する必要がある。
他方、@については、私が入手した旧宇都宮陣営の「選挙運動費用収支報告書」とそれに添付された領収証に基づいて3つの疑問点を提起し、@に根本的に反論する以下の記事をこのブログに掲載した。
「旧宇都宮陣営の選挙運動支出に関する法的見解は真実の証明になっていない(1)」
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-cab2.html
「旧宇都宮陣営の選挙運動支出に関する法的見解は真実の証明になっていない(2)」
http://sdaigo.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-c45e.html
私が指摘した疑問点が些細な事務的ミスなら目くじらを立てることはない。私はそうは考えなかったので反論を書き、記事(2)の末尾でその要旨を述べた。しかし、やや慎重な言い回しをしたので、ここでは追加資料を添えて、より端的に記したい。
領収証も記載ミスだったのか? そのような説明は通用するのか?
上原公子氏と服部泉氏に支払われた各々10万円を「選挙運動費用収支報告書」に「労務者報酬」(人件費の1種)と記載したのは事務的ミスで、正しくは交通費や宿泊費などの実費の一部を弁償する支払いだったとしよう。弁護士3氏によると、このような形で支出費目の訂正届けを東京都選管に提出するとのことである。しかし、それなら、上原、服部両氏が各々、この10万円の受領につき宇都宮健児事務所宛に提出した「領収証」はどうなるのか? そこには、「人件費―5」、「¥100,000」、「但 選挙報酬として」(以上、上原公子氏名の領収証)、および、「人件費―6」、「¥100,000」、「但 選挙報酬として」(以上、服部泉氏名の領収証)と記載されている。これらの記載もすべて事務的ミスとして訂正届けを出す(出せる)のだろうか? これらの記載すべてが、正しくは「交通費」や「宿泊費」の実費弁償のための支払い(受け取り)であったのに「誤って」、「人件費」「選挙報酬として」などと記載してしまったという釈明が通用するのだろうか?
上限のない交通費を含む実費弁償であるなら、これらの領収証に記載された金額がともに10万円という切りのよい同額になったのはいかにも不自然ではないか? 2人がそろって、これら数か所の記載を勘違いするということがありうるのだろうか?
また、交通費を含む実費弁償額が「10,000円×10日」という積算で、日当かのように計算されたのも不可解である。
以上のような疑問点が当たらないのかどうか、3名の弁護士ならびに「選挙運動費用収支報告書」の出納責任者でもあった服部泉氏は、わかりやすく説明してほしい。
さらに立ち入って言おう。これらの領収証に記載されている「人件費」はどちらも手書きではなく、あらかじめ領収証の受領者が入力したとみられる印字である。そして、これら2通の領収証に対応する人件費が計上された「選挙運動費用収支報告書」の支出の部の【4】ページを見ると、上から順に「事務員報酬」として3名宛の支出が記載され、それに続く4番目にM氏に対する「労務者報酬」が、5番目に上原公子氏に対する「労務者報酬」が、6番目に服部泉氏に対する「労務者報酬」がそれぞれ記載されている。ここから、次のような推定が成り立つのではないか。
つまり、上原公子氏名の領収証に印字された「人件費−5」は、「選挙運動費用収支報告書」上の選挙運動報酬の5番目の支払いであることと突合するために付された番号であり、服部泉氏名の領収証に印字された「人件費−6」は「選挙運動費用収支報告書」上の選挙運動報酬の6番目の支払いであることと突合するために付された番号だったのではないか? こういう解釈が誤っているというなら、「人件費−5」、「人件費−6」と付された番号が何を表すものだったのか。これについても3名の弁護士ならびに服部泉氏はわかりやすく説明してほしい。
2014年1月11日 (土) 政治
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新旧宇都宮陣営は問題の重大性を自覚すべきである(2)
領収証の記載に間違いがないなら違法な選挙報酬の支払いとなる
しかし、想定を変えて、上記2つの領収証が記載のとおり、上原、服部両氏に対する労務者報酬(選挙運動報酬)の支払いを意味したのだとしたら、公選法で選挙運動報酬の支払いが禁じられている選挙運動統括者らへの報酬の支払いを裏付ける資料となり、公選法違反を免れない。
この点を少し解説すると、公選法上、東京都内の選挙運動で実費弁償とは別に報酬を支払うことができるのは、@自分は決定権を持たず、選挙事務所内で責任者の事務的作業をサポートする選挙事務員(1日につき1万円以内)、車上等運動員(いわゆるウグイス員。同上1万5千円以内)、手話通訳者(同上1万5千円以内)、A電話の取次ぎ、ビラや証紙貼り作業、演説会の設営・撤去作業などを行う要員(基本日額/1万円以内、超過勤務手当/基本日額の5割以内)、とされている。
したがって、公選法上、上原公子氏がそうであったような選対本部長や服部泉氏がそうであったような出納責任者には事務員報酬であれ、労務者報酬であれ、支払いは禁じられているのである。
この点でいうと、他ならぬ出納責任者であった服部泉氏自らが、「選挙報酬として」と記載した領収証を、違法性に気づかず提出したとなれば、それ自体、初歩的な法令順守義務違反に当たり、重大な批判を免れない。また、かりに、真実は交通費や宿泊費の実費弁償であると認識しながら、「誤って」「選挙報酬として」と直筆した領収証を提出したのだとしたら、出納責任者としての適格性を著しく欠いた行為と言わなければならず、そうした人物を選任した宇都宮健児氏の責任も問われなければならない。
真実は2つの想定のどちらなのか?
一つ前の記事で、私は上原公子氏と服部泉氏に支払われた10万円の趣旨に関して、2つの解釈を併記し、どちらが真実に近いかについては判断を留保した。以下では、それぞれの解釈ごとに道義上、どのような問題が生じるのか、公選法上、どのような扱いになるのかを述べた上で、私は2通りの解釈のどちらに信ぴょう性が高いと考えているかを、根拠を添えて述べたい。
領収証の記載が虚偽なら公選法違反となる
弁護士3氏の連名で公表された「澤藤統一郎氏の公選法違反等の主張に対する法的見解」(以下、「法的見解」と略す)によると、上原、服部両氏に対する支払いを「労務者報酬」としたのは事務的ミスで、「交通費」、「宿泊費」の実費弁償と訂正するとのことである。「選挙運動費用収支報告書」上は、このような訂正申告(要するに記載すべき「支出費目」を取り違えたという事務的ミス)で事は済むかに見える。
しかし、この10万円の支払い(金額、日時、支出の目的等)を証するために作成され、報告書に添付された上原、服部両氏名を受取人とする領収証は訂正箇所の上書きでは済まず、全面的な訂正、すなわち差し替えが必要になる。果たして、領収証の遡及的差し替えがそれほどたやすく行えるのだろうか?
ここでは、仮定の話として記すが、公選法第246条第5号に次のような定めがある。
「第246条 次の各号に掲げる行為をした者は、3年以下の禁固又は50万円以下の罰金に処する。
<中略>
五.第188条の規定に違反して領収書その他支出を証すべき書面を徴せず若しくはこれを送付せず又はこれに虚偽の記入をしたとき。」
もし、上の領収証が事実と異なることを認識したうえで作成され、東京都選管に提出されたのだとしたら、虚偽の領収証を提出したことになるから、上記のとおり、公選法第246条第5号に違反した行為となり、3年以下の禁固又は50万円以下の罰金が課されることになる。
「法的見解」は事実を隠ぺいする文書に当たる疑いが強い
しかし、私は問題の領収証が虚偽記載に該当する可能性は低いと考えている。その理由は次のとおりである。
「法的見解」は、上原氏(ら?)に対する「交通費や宿泊費など法的に認められる支出の一部にすぎない10万円の実費弁償に何の違法性もない」と記している。ここからすると、訂正するのは支出費目だけで、10万円という支払い金額は訂正しないと解される。しかし、それなら、
@交通費、宿泊費といった異質な実費に対する弁償について、1枚の領収証が発行されるということがありうるのか?
A上限のない交通費を含む実費の弁償といいながら、上原、服部両氏に対する支払いが、なぜどちらもぴったり10万円で同じなのか? なぜ、毎回(10日分)、常に両氏とも1万円なのか? この1万円とは労務者報酬として支払うことが認められた基本日額の上限額1万円を意味したと理解するするのが合理的である。
B上原氏、特に出納責任者でもあった服部氏が、自分宛に支払われる真の目的が交通費や宿泊費の実費弁償であると自覚していたなら、サインを求められた領収書に「人件費」とあらかじめ印字されていたことを不審に思わず、自ら「選挙報酬として」と直筆することがありうるだろうか? むしろ、真実、支払いを受ける目的が選挙報酬だと認識していたからこそ、「人件費」という印字を了解し、「選挙報酬として」と直筆した(あるいはそのように記載するよう促されたのに応じた)と解釈するのが自然である。
以上、一つ前の記事とこの記事で示した事実、そしてそこから合理的に導けると考えられる推論の帰結として私は、弁護士3氏が「選挙運動費用収支報告書」の作成に関する基礎的規程を理解したうえで連名で「法的見解」を公表したのだとすれば、その「法的見解」は真実を立証するに値しないだけでなく、真実を隠ぺいする意図をもって作成され、公表された文書である疑いが強いと考えるに至った。「些細な金額にどうしてそこまでこだわるのか」という反問が出ることを承知の上で、この記事を書いた主な理由はここにある。
念のためにいうと、ここでいう「真実」とは、上原、服部両氏に対して支払われた10万円は「選挙報酬」という趣旨・目的での支払いであったということである。これが確かなら、両氏に対する10万円の支払いは報酬の支払いをできる者を制限した公選法第197条の2に違反したことになる。
かりに、弁護士3氏、宇都宮健児氏、あるいは当該「選挙運動費用収収支報告書」の作成責任者(出納責任者)であった服部泉氏、その他関係者が、私のこうした推論に誤りがあるというなら、それを反証する証拠を公開して、どこがどう誤っているのかを説明するよう要望する。
2014年1月11日 (土) 政治
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