http://www.asyura2.com/14/senkyo159/msg/365.html
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細川護煕元総理が猪瀬直樹辞職後の東京都知事選挙に出馬することを決めたようです。
どういう政治勢力によって細川擁立が進んでいたのかを次第に知ると、これは相当に、日本の最高エスタブリッシュメント層に今の自民党の右派への危機感があるようだということがわかってきました。
単純にこの都知事選をどの政党がどの候補を応援する可能性があるかという視点でまず分けてみましょう。
舛添要一候補:公明党、自民党都連
田母神俊雄候補:旧太陽の党
宇都宮健児候補:共産党・社民党
細川もりひろ候補:民主党、生活の党
という感じになるでしょう。維新の会は自主投票、みんなの党、結いの党がどの候補を応援するかはよくわからないです。
舛添候補は安倍晋三首相を支持しつつも、懸念を示すという公明党の山口那津男代表の政治スタンスをうまく体現している候補です。舛添氏は、新年早々のブログで「東京富士美術館」への訪問記を書いています。報道もされました。
この美術館、八王子に有りますが、創価学会インタナショナル会長である池田大作氏によって創立された美術館です。過去に菅直人首相が突如訪問したことが有 り、その時も話題になりました。政治の世界ではこういうシンボル的な行為がよく行われます。事情通以外には、意味がわからないようにするわけです。
舛添氏は秘密保護法の進め方など安倍首相のスタンスをやんわりと批判しながらもあくまで支持。自民党を除名されたこともある舛添氏は公明党の山口代表に高 く評価されています。今はもう見られなくなっていますが、NHKのニュースサイトでは「山口代表 舛添氏は検討に値する」とする記事が掲載れていました。ところが公明党、まだ最終的には決めてないようです。模様眺めとなっていると産経では報じています。
(http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140110/stt14011022590006- n1.htm)
次に田母神氏を応援しているのは、維新の会(旧「太陽の党」)の石原慎太郎代表や平沼赳夫衆議院議員、中山成彬衆議院議員、西村眞悟衆議院議員らの 所謂「ウルトラナショナリスト」軍団です。ただ、田母神さんは、幸福実現党の意見広告にもゲスト出演していたことがあるので、その辺の支持層も睨んでいる かもしれません。(ただ、幸福党が独自候補をたてる可能性もあります)
田母神陣営は安倍首相の発言も意識して、首都防災を公約に掲げました。しかし、これは他の候補でも採用できそうな公約です。
そして宇都宮氏は、この太陽の党グループとは逆のウルトラリベラルというか、共産党や社民党に支援されているわけですから、かつての55年体制のポジとネガで言えば、ネガの部分に支持されています。
細川氏は、もともと日本新党の党首として総理大臣を務めましたが、この時には小沢一郎・生活の党代表(当時は新生党代表幹事)と行動を共にしました。今回は小泉純一郎元首相に支持されているようです。脱原発というロハスな政治スローガンを掲げています。
週刊大衆によると、小泉・小沢・細川の三者は以外なところで接点があると書かれています。
(http://taishu.jp/politics_detail759.php)
また、経新聞の報道によると、細川氏と小泉氏の接点は更に興味深いものが有ります。
(引用開始)
細川護熙元首相の東京都知事選への出馬検討は、小泉純一郎元首相の支援取り付けが前提となっている。ともに「脱原発」を掲げる首相経験者が連携すれば20 年ぶりのことになる。1994年、細川氏と小泉氏は国連安全保障理事会の常任理事会入りに慎重論を唱え、党派を超えて意見が一致したことがあるからだ。
当時、細川氏はすでに首相を退いており、小泉氏は「自社さ」政権側で、二人は野党と与党で対峙していた。結びつけたのは新党さきがけにいた田中秀征氏。細 川政権時代、外務省が推進した常任理入りに首相特別補佐の田中氏が待ったをかけ、細川氏が乗ったことに、野党・自民党だった小泉氏が注目し、田中氏と小泉 氏は国会図書館で話し合って意気投合した。
細川、小泉、田中3氏の研究会は、自民党が政権に復帰したこともあって、それほど政界の関心事にはならなかった。そのころから小泉氏は「変人」で通っており、細川氏との連携に生臭さを覚える向きも、そんなにはいなかったのが実情だ。
3人の研究会は国際社会での国連改革の機運そのものが衰えたこともあって、自然に終わっていった。だが細川氏と小泉氏の関係は続く。細川氏が新進党に合流 してからは、田中氏を交えて行政改革の研究会を発足させた。小泉氏が政権に就き、靖国神社への参拝などで中国との関係が悪化した際、細川氏が小泉氏の特使 のような形でひそかに訪中したこともある。二人のパイプは連綿と続いていた。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK09013_Z00C14A1000000/
(引用終わり)
この細川・小泉の組み合わせもまた以外なところで接点があったという話です。要するに、石原慎太郎とネット右翼に担がれた田母神氏以外の候補は、濃淡に差はあれ、すべて「反安倍」のリベラルの気風を持つ候補。
アベノミクスは大成功のはずなのになぜこんなふうな動きが出ているのか。その背景にはやはり安倍首相の靖国参拝があります。
安倍首相が靖国神社を参拝したのは12月26日。その三日前は天皇誕生日でした。昭和天皇と現在の天皇陛下は、首相の靖国参拝については否定的であることは、あの「富田メモ」を残した富田朝彦氏のような宮内庁関係者の記録からうかがい知れます。
更に踏み込んで言えば、安倍晋三首相率いる自民党の戦後の歴史認識について、日本の「ゆるキャラ」(象徴)ともいうべき天皇陛下が、かなりリベラルな状態が続いてきた(つまり戦争がなかった)日本国憲法下の現状を踏まえて懸念を抱かれていたのではないかと思えるフシがあります。
もちろん、天皇陛下は国民統合の象徴であり、政治的権能はありません。しかしながら、天皇陛下のお考えは「お言葉」を通じて発表されます。戦後の「国体」 というものが、東京裁判の判決を受諾することで、日本が独立を果たしたことで軌道に乗ったわけですから、この体制に疑問を抱くことは昭和天皇、現在の天皇 陛下ともになさらなかったことであるわけです。
それは12月23日の天皇誕生日に当てて出された陛下のお言葉にこんなふうな記述があることからわかります。
(引用開始)
戦後、連合国軍の占領下にあった日本は、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、様々な改革を行って、今日の日本を築きました。 戦争で荒廃した国土を立て直し、かつ、改善していくために当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。また、当時の知日派の 米国人の協力も忘れてはならないことと思います。戦後60年を超す歳月を経、今日、日本には東日本大震災のような大きな災害に対しても、人と人とのきずな 絆を大切にし、冷静に事に対処し、復興に向かって尽力する人々が育っていることを、本当に心強く思っています。
http://www.tokyo-np.co.jp/feature/koushitsu/131223/
(引用終わり)
そして、震災復興に向けて歩んでいる東北に足を運んでいるのがキャロライン・ケネディ大使であります。キャロラインはオバマ大統領の名代であるわけです が、同時にアイリッシュの政治家でもあります。アイリッシュといえばカトリックです。バイデン副大統領もカトリックです。安倍首相に、昨年末の来日時に尖閣問題で懸念を表明したと伝えられるのがバイデン副大統領です。
バチカンでは、前の保守派のベネディクト法王に代わって、現在の比較的リベラルな南米出身のフランシス法王が例のバチカン銀行や米国におけるカトリック聖職者の幼児買春などの問題行動に対して改革の姿勢を見せています。
日本のみならず世界のカトリックには反共保守の渡部昇一氏のようなタイプと、リベラルなタイプがおり、キャロライン大使やバイデン副大統領は後者のタイプでしょう。
そして美智子皇后や天皇陛下はかつて聖書に親しまれたことはよく知られています。正田家は、美智子様の祖母きぬさんが昭和2年にフランス人宣教師ヨセフ・ フロジャック神父より洗礼を受けられてから、カトリックには縁の深いのだそうです。(http://101newlifenet.cocolog- nifty.com/newlife/2012/07/post-6148.html)
そして、ここからが重要なのですが、ケネデイ家と細川家にもオリンピックのつながりがあるそうです。日刊スポーツは次のように書いています。
(貼り付け開始)
新都知事には、行政経験や、2020年東京五輪の「顔」となる、国際感覚が求められる。細川氏は熊本県知事を2期8年務め、93年8月から94年4月ま で、約8カ月の短命ではあるが、第79代内閣総理大臣も経験した。知事時代には、スキーで国体にも出場したスポーツマンでもある。加えて力強いサポート役 が、佳代子夫人だ。
夫人は長年、知的障害者のスポーツを支援するスペシャルオリンピックス(SO)の活動に携わり、94年にSO日本を設立。 05年に長野で開かれた冬季大会にも尽力した。SOは、キャロライン・ケネディ駐日米大使のおばにあたるユニス・ケネディ・シュライバーさんが創設。ス ポーツを通じた日米交流の基盤も備えた「国際派」を、身内に持つ立場でもある。
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20140107-1240634.html
(貼り付け終わり)
このように、細川元首相は元朝日記者、元熊本県知事で、なおかつ夫人は国際派の文化人でもあるわけです。細川元首相は、米国務省主催の「インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム(1980)」の参加者でもあります。
ここからわかることは、安倍首相は調子に乗りすぎたということです。安倍首相の進める中国との緊張激化路線は、戦後の日本の平和なリベラルの秩序を壊すと いうことです。安倍首相は潜在的に反米的な右翼に支援されていますが、この反米右翼路線は、国を誤るということです。さまざまな点では違うでしょうが、こ の大きな点では私は米国のリベラル派と意見を同じくします。
細川氏の周辺を見ていくと、細川を政治の師匠と仰ぐ、野田佳彦前首相を支えるシンクタンクの大樹総研に行き当たります。ここのネットワークには長島昭久、細野豪志の両氏ような民主党の政治家もいますが、フェローには徳川家の現当主である徳川家広氏がいます。
野党結集軸としては結局、もとの日本新党・民主党のメンバーに頼るしかないわけです。ここに小沢一郎も乗ったわけです。その背景には日本のリベラルな指導 者層の安倍首相の支持層の歴史観に対する懸念があったと思われます。そこに天皇陛下のお言葉があり、日本の中道右派から保守リベラルとも言える層までが、 「もうケンカをしている場合ではない」ということに気がついてまとまりを見せ始めたのかもしれません。
細川元首相が都知事に成るかは公明党が本当に舛添氏を応援するかどうかにかかっていると言えそうですが、その舛添氏にしても潜在的に反安倍の山口那津男代表の分身として活動するわけです。だから安倍晋三や自民党都連の下村博文や萩生田光一議員らの暴走を防ぐ形になるでしょう。
都知事選の結果にかかわらず、細川氏は大樹のラインで細野氏を支援するでしょう。かつての「一・一ライン」ならぬ、いわゆる「細―細ライン」の誕生です。
安倍首相の掲げる「保守」はやはり長州閥の歴史そのものであり、その意味では明治維新以後の歴史を体現しているに過ぎません。細川氏は藤原摂家の出身です。
その周辺にいる徳川氏もまた旧い歴史を持ちます。もちろん明治以降の歴史も重要ですが、歴史観が危うい。そこに出てきたのが、藤原氏、徳川氏、そして 小泉氏というわけです。地主層や資産家層を大事にしながら、国民の生活を考える政治というものが生まれる流れと、言い方はキツイですが無産層(ネット右 翼・ネット左翼)の層との争いでは、旧来のエスタブリッシュメントの層の厚さにはかないません。
藤原氏の政治よりも優れた近代的な政治体制をつくろうとし たのが小沢一郎の政治革命でしたが、これは失敗しました。今回もやはり接ぎ木で行くようです。
このような流れは安倍首相の靖国参拝によってはじめて生まれてきたものであり、この流れがどのように日本の政治に影響を与えていくか非常に注目されます。
http://blog.livedoor.jp/bilderberg54/
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