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2014年1月12日
アベノミクスは第1の矢が「異次元の金融緩和、第2の矢が「公共事業への財政支出」であるが、それに続く「第3の矢」として、仰々しく打ち出されているのが「安倍成長戦略」である。
各ジャンルにわたる成長戦略を、数値目標を上げて説明する賛成派はいるが、その前に成長戦略自体が何であるのかという、基本的な部分を政府が国民に周知させているとは到底思えない。
それどころか肝心な部分をはぐらかしたまま、いきなり規制緩和至上主義に踏み込んでいる。
ここにこの政権が体現する暴政が、特定秘密保護法だけではないという話になってくる。
安倍政権が唱える規制緩和万能論には何が抜けているのだろうか。
それは「規制緩和」の出力がどこをめがけているのかという部分である。
簡単に言えば、彼らがやろうとする規制緩和が企業のためなのか、国民のためなのかという単純な話に行きつく。
おかしいとは思わないだろうか。
弱者保護や公益性を保証するために設けられた様々な規制が、時代のニーズや社会に合わなくなって内容を変える場合、その変更によっは、現在の弱者層の保護機能が残るのか、あるいは公益性などがきちんと担保されるのかなど、基本的な部分を慎重に配慮しなければならないはずである。
ましてや、安倍成長戦略で行う規制緩和の目的は時代のニーズではなく、企業のニーズオンリーなのである。
これがどれほど異常なことか分るだろうか。
例えば、資本力という観点で、個人経営店と企業を比べた場合、どちらが強者でどちらが弱者か言うまでもない。
社会を無秩序な自然状態に委ねれば、弱肉強食の法則が働いて強者は弱者を淘汰する。
資本力の大きな事業者が小さな事業者を淘汰し、駆逐することは目に見えている。
これを防ぎ、世の中で起きる過当競争の無残な弱肉強食を防ぐために規制は存在する。
これを国家論的に言うなら、修正資本主義体制が崩れるかどうかの瀬戸際に日本が追い込まれているということになる。
無制限な規制緩和は、この修正資本主義国家の解体と同義なのである。
つまり、新自由主義政策を展開することは、同時に、人々や弱小企業を守る修正資本主義体制を解体することなのである。
これが小泉政権以降の日本人に与えている苦痛の根源的な理由なのである。
多くの人に考えていただきたいのは、安倍成長戦略が修正資本主義の大破壊を狙っているという圧倒的な事実についてである。
案外、この基本的な構図に気づいていない人が多い。
注意を要するのは、安倍政権が成長戦略に言及するときは、規制緩和の経済賦活の側面だけを強調して、その緩和が国民生活や社会にどういう影響を与えるかという部分に関しては一切抜け落ちている。
もしも安倍内閣が、規制緩和に着手する際に、国民保護や公益性保護については慎重を期しながら、全体の利益のために行っていくと言うのであれば、まだしも分かるが、彼らは規制の存在理由に関する説明を一切省いたままに、企業優遇の規制緩和を総花。
口に出てくることは、規制緩和による総花(そうばな)的な成長論だけであり、国民生活に大打撃を与えかねないリスクアセスメントについては故意に沈黙する。
この総花的な成長論の唯一の根拠がトリクルダウン理論であることは、騙しの手口というしかない。
そもそも、規制とは何であろうか。
前大田区区会議員の奈須りえ氏は、規制について本質的なことを次のように述べている。
「規制は、自由な経済活動を阻害する障壁と位置付けられる傾向にありますが、それでは、すべての規制が悪でしょうか。
規制は、私たちの社会秩序の維持し、生命の安全、環境の保全、消費者の保護といった行政目的のために作られています。
経済活動にとって邪魔だと言われている規制は、一方で、私たちの生命や環境等を守るために存在しており、安易に規制を取り払えば、私たちの暮らしに与える影響は少なくありません。」
http://high-falutin21.rssing.com/browser.php?indx=11505924&item=83
まったく奈須氏の言う通りである。
我々を法的に守っている諸規制は、企業の収益活動にとっては阻害要因となる。
安倍政権はこの重要な側面を全く語っていない。
まさに政策詐欺集団である。
この詐欺手口は、グローバル企業の日本収奪のために、政府がCSISに囲われていることから生じている。
政権与党で、規制の負の側面について、奈須りえ氏のような説明を行っている人物は誰一人としていない。
その理由は、安倍成長戦略の“聖域なき規制緩和”が、新自由主義に基づく巨大な詐術的政策に他ならないからだ。
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