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流域治水条例案の修正案提出を見送り、理由を説明する嘉田知事=11日午後、県庁(写真:産経新聞)
産経新聞 1月11日(土)12時27分配信
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「トラックに積んで東電の前に持っていきませんか? クリスマスプレゼントとして…」
本気か冗談か、このせりふに一同が困惑した。滋賀県高島市の鴨川河川敷に、放射性セシウムを含んだ木材チップが大量に投棄されている問題で、同市の福井正明市長が早期の撤去を求めるため滋賀県庁を訪れた際の、嘉田由紀子知事の発言だ。
これを聞かされた福井市長は会談後、記者団に対して「冷静さを欠いている」とつぶやくしかなかった。それだけではない。嘉田知事が、ダムに頼らない独自の治水政策として華々しく掲げていた「流域治水推進条例」案も議会や地域住民からの反発を受けて継続審査となったままで、先行きが見えない状態となっている。(小林宏之)
■再三にわたり撤去要請
琵琶湖に注ぐ高島市の鴨川河川敷に、大量の木材チップが放置されているのが見つかったのは昨年4月。住民からの通報で河川を管理する滋賀県が調査を進めたところ、放置量は約577立方メートルに及び、最大で1キロ当たり3千ベクレルの放射性セシウムが検出された。
国の放射性廃棄物処理基準(1キロ当たり8千ベクレル)に照らし合わせると、通常の廃棄物として処理できるレベルで、周辺の水道水や農産物などから放射性物質は検出されていない。
このため、県は「健康への影響はない」と説明しているが、関与した業者への接触に難儀しただけでなく、処理を受け入れる施設も見つけ出せない。地元の高島市は、県の無作為ぶりに対して業を煮やし、撤去要請を繰り返した。
「クリスマスプレゼント」発言があったのは、そんな状況で高島市が3度目の撤去要請をするため、昨年11月13日に滋賀県庁を訪れたときだった。
嘉田知事は涙ぐみながら対応に当たり、「市長や住民の不安、怒りは私も共有しています。私たちがこんなに大事にしてきた水源に、放射性物質を不法投棄するなんて、前代未聞で許しがたい」と力説。
しかし、河川法や廃棄物処理法などの法令に基づいてどのような法的手段があるのかを模索しながらも「行政代執行で撤去しようにも持って行く先が見つからず、出口が見えない」と訴えた。
■環境汚染は排出者責任
さらに、「この問題の本質を考えたら、やはり環境汚染は排出者責任ですよ」と矛先を東電へ。
「東電の原発事故がセシウムをばらまき、それが森林へ行き、製材所へ行き、どういうルートだか知らないが、ここへ捨てられた」とし、「チップをトラックに積んで東電の前に持っていきませんか? クリスマスプレゼントとして」という発言につながったのだ。
福井市長は困惑した表情で「『東電が出したから東電へ持っていく』という考えを提案されると、私たちの市民感情からすれば『県管理の河川敷なんだから、県へ持っていったら』と思うのと同じ。冷静に対応する必要がありますよ」といさめた。
それでも嘉田知事は「冷静に考えると、環境問題は排出者の責任…」と反論。福井市長は「排出者責任は分かるが、では県はこれまで東電と協議したんですか」と尋ねると、嘉田知事は「これからします」と答えた。
会談を終え、福井市長は「排出者責任は理解しているが、公共団体としてできることかどうか、法令に照らして冷静に判断してほしい。あまりにも時間がかかりすぎている」と、徒労感だけを残して帰った。
放置されたチップの撤去作業は昨年12月14日にようやく始まり、1月末までに終了する見込みだ。
■看板政策も継続審査
嘉田知事は昨年9月、大雨で浸水が想定される地域への罰則付きの建築規制などを盛り込んだ流域治水推進条例案を県議会に提案した。
「ダムに頼らない治水」を掲げる嘉田知事の看板政策で、県内に極めて大きな被害を与えた台風18号の襲来のすぐあとだったこともあり注目を集めたが、「浸水危険区域」に指定される見通しの地区住民への説明が不十分などとして議会側は継続審査とした。
この条例の主な内容は、200年に一度の大雨が降った際に浸水の想定水位が3メートル以上になるエリアを浸水危険区域に指定。区域内で住宅や学校、病院、福祉施設などを増改築する場合、敷地のかさ上げや避難場所の確保を義務づけ、違反した場合に罰則を設けた。こうすることで、ダムなしで治水を進めていくという考え方だ。
これより前の昨年8月、知事と県内各市町長が出席する「自治創造会議」が開かれた際、同条例案が議論となり、首長側から「住民に規制や罰則を科すのはおかしい」「危険区域に指定されると地価が下がる」「まずは河川整備に力を入れるべきだ」などの意見が相次いだ。
これに対し、嘉田知事は「罰を与えるのが目的ではない。安全を誘導するための規制だ」「滋賀県の河川整備率は全国9位で整備をさぼっているわけではない」と説明。会議終了後、報道陣には「条例の必要性について合意できた。大きな前進だ」と述べた。
■合意はなされてない
その翌日、この知事の発言に対し、県市長会がかみついた。「合意はなされていない」という意見書を提出したのだ。
意見書では、「命を守る考え方には賛成するが、制度や効果、負担など多岐にわたる問題がある」と指摘。「県の河川整備への取り組み姿勢や罰則などへの対応によっては、条例の必要性に議論が及ぶ」とクギを刺した。
県は現在、「罰則を当面適用しない」などとする修正案を示し、県議会各会派に理解を求める一方、指定が見込まれる地域への説明会も実施した。
しかし、対立する自民は対案をまとめ、知事を支持してきた民主などは「安易な修正には賛同できない」との立場を取る。住民らは説明会で「なぜ今、こんな条例が必要なのか」「河川整備を進めれば、条例は必要ない」などの不満や意見が相次いだ。
このほかにも、台風18号で被災した住民らからは「計画通りダムが完成していれば、水害は起こらなかった」などの声があがった。
振り返れば約1年前、冬の衆院選を前にして大々的に「日本未来の党」を結党したのもつかの間、総選挙で大敗し、その後は分裂、消滅…とさんざんな末路をたどった。
求心力は弱まる一方で、まさに八方塞がりの状態。7月19日に任期満了を迎える知事の真価が問われている。
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